ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番

練習試合も始まって、応援にますます気合が入りますね。
さて、今日は私が気合を入れたい時によく聴く曲、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番op.30をご紹介します。

ラフマニノフのピアノ協奏曲は、このコラムでも既に第2番をご紹介しました。(2013年1月19日更新分)
第3番は2番ほどの知名度はありませんが、「最も演奏困難なピアノ協奏曲」と言われています。
映画「シャイン」をご覧になった方なら、主人公のピアニストがこの曲に挑むうちに精神に異常をきたしたのを覚えてらっしゃるでしょう。

(ちなみに私はあの映画はあまり好きではありません。プレッシャーに打ち勝って初めてプロとしてステージに立つ資格があると思うのです。
精神を病んでから立ち直ったのは素晴らしいことだと思いますが、それを映画にしたり、映画が評判になるとそのピアニストをわざわざ日本に呼んでこの曲を弾かせるのは感心出来ません。
前回も書きましたが、お涙頂戴的な話題で集客するのはどうかと思います)

ラフマニノフはアメリカ演奏旅行用にピアノ協奏曲第3番を作曲。
初演は1909年11月28日にカーネギーホールで、ラフマニノフ(ピアノ)、ダムロッシュ(指揮)、ニューヨーク交響楽団(後のニューヨークフィルハーモニー)により行われました。

私がこの曲を初めて聴いたのは、発売当初から現在に至るまで「名盤」と言われているホロヴィッツ&オーマンディ&ニューヨークフィル盤でした。



カーネギーホールでのライヴ録音です。(オーマンディ版のリンクが切れていたので、メータ版に差し替えました)
奇しくもラフマニノフが初演したのと同じ会場で同じオーケストラと共演。
ロシアからアメリカに渡ったピアニストという共通点もあるし、なによりホロヴィッツの華麗なテクニックのおかげで、この演奏はこれからもこの曲の「名盤」であり続けるでしょう。

horowitzホロヴィッツ

 

私が一つだけ不満に思うのがカデンツァです。
カデンツァとは、協奏曲(ソロ楽器とオーケストラが一緒に演奏する曲)で、ソロ奏者がオーケストラ無しで独奏することです。
もともとはソロ奏者が即興演奏をしたそうですが、次第に作曲家がカデンツァも作曲するようになりました。

野球で例えれば1点リードで迎えた9回。
相手打線は1番からの好打順。
ゆっくりとマウンドに向かう虎の守護神。
今日当たっている先頭打者をどうおさえるか、彼の一挙一動から目が離せないファン。

そんな状況で、味方も敵もファンも固唾を呑む中でゆっくりと足が上がり投じられた第一球。

・・・とまあこんな感じで、いかに守護神が相手打線を料理するのか、その技とカデンツァは通じるものがあると思います。

上の動画の11:40辺りから始まるカデンツァはラフマニノフが作曲したオリジナル版です。
実はラフマニノフはこれ以外にもう一つのカデンツァを作りました。
「ossia」と呼ばれるもので、ossiaとはイタリア語で「または」という意味です。

「ossia」は「オリジナルを弾くのが難しければ、こっちの簡単ヴァージョンを弾いてもいいですよ」と、元より易しくなっているのが普通ですが、ラフマニノフは「弾けるものなら弾いてみな!」と喧嘩を売るようなものすごく難しいヴァージョンを作りました。

Ossiaのカデンツァはこれです↓



すごいでしょう?
「おっしゃあ~~!」とガッツポーズしたくなりませんか?(ossia=おっしゃあ~!ってしょうもない駄洒落ですみません)
ホロヴィッツにもossia弾いてほしかったです。

私のお薦め盤はアシュケナージ(ピアノ)&ハイティンク(指揮) ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団盤です。
ASIN: B000CBNYOG


vladimir_ashkenazyアシュケナージ

 

この曲の作品番号(op.)は30番。
30番といえば久保田。
2005年のマウンドに仁王立ちする姿が今でも忘れられません。
今シーズンの復活に期待したいです。

なお、カデンツァに興味をもたれた方は、下記リンク先でいろいろ聴き比べが出来ますのでご利用下さい。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm12486563


http://www.nicovideo.jp/watch/sm12487350


週刊虎バカクラブ
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