第27回●『トラポエム』

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勢い余って虎バカ本を出してしまう人は少なくない。だからこそ当コラムもネタに困らないわけだし、そもそもこの「虎バカマガジンWEB」編集長・鳴尾浜トラオ氏も2008年に『虎暮らし』なる本を出している。が、それはあくまでも出版社が企画を通したから世に出たものだ。というか、企画を通したのは就活時に阪神電鉄に履歴書と一緒に「タイガース改革案」を提出した虎バカ編集長で、現場で編集を担当したのは私なわけだが、とりあえず出版費用は会社持ちで、トラオ氏には相応の印税が支払われている。

然るに一方、今回ご紹介する本は、おそらく著者自身が出版費用を出している、いわゆる自費出版というやつだ。お金を払ってでも阪神タイガースについて語りたい! その衝動だけで作られたような本。虎バカ本としては一級の物件である。

松沢俊之『トラポエム』(文芸社)。タイトルからして一瞬、耳を疑う。何かの冗談かと思いきや、副題が「阪神タイガースの選手に捧げる詩の世界」というから、そのまんまの意味なんだろう。

著者は〈はじめに(トラポエムの説明)〉で、次のように語る。

〈このトラポエムは、妄信的阪神ファン詩人である筆者が作った阪神の現役&OB選手に捧げる詩の世界である。/昨年の優勝を機に、さまざまな阪神本が出版されたが、その多くがブームに乗ったカタログ本ばかりであり、私の心を打つものはなかった。ならば自分自身で“阪神という名の記憶”を形にしようと思い詩を書き始めた。その結果、過剰なる愛と妄想に満ちた詩が次々に誕生した〉

昨年というのは2003年のことだが、満足できる阪神本がないから自分で作っちゃえというあたり、まさに虎バカの真骨頂。で、肝心のポエムとは、どんなものなのか? 最初に作ったという「井川慶」はこんな感じだ。

 2003年のある夏の日
 首位を独走している
 プロ野球チームの大エースは
 伸ばしっぱなしの髪の毛を切りに
 行きつけの床屋に行った
 ところが
 休み明けの店は超満員
 エースは店に入ることはなく
 淋しく帰途についたという
 エースの名は井川慶
 誰よりも純粋で
 誰よりも純朴で
 誰よりも純真な男
 口がさけても
 俺は大物なんやから先に切らせろや
 なんてことはいいません
(中略)
 君は
 21世紀の宮沢賢治だ
 僕は君と一緒に
 銀河鉄道に乗りたい

……すみません、ポエムってこういうものでしたっけ? まあ、芸術とは自由な魂の発露であるからして、そういう意味ではこれも立派な詩なのかもしれない。井川を宮沢賢治に喩えるセンスも常人とは違う何かを感じさせる(純粋とか純朴とかいう以前に、井川が関西弁ですごむわけないんだけど)。
そして、2番目に作ったポエムが、なぜかいきなり「佐野仙好」だ。

 我こそは
 初代勝利打点王なり!
 でも
 いまや
 勝利打点なんていう言葉は
 完全に死語になってしまった
 でも、そんなことは関係ない
 神様が
 あなたに与えた2つのもの
 それは
 頭からフェンスに激突しても
 へこたれない丈夫な命
 そして初代勝利打点王の称号
(中略)
 藤田太陽が巨人の誘いを蹴って
 阪神に入団したのは
 スカウトである
 あなたの誠意に打たれたから
 そう彼は言っていた
 (後略)

まあ、確かに勝利打点ってあんまりインパクトないけど、〈完全に死語〉って……。あと、〈丈夫な体〉でなく〈丈夫な命〉というところがポエムっぽい気がしなくもない。
この調子で36人の選手&OBについて綴っていくわけである。できれば全部紹介したいがそうもいかないので、冒頭の部分だけ何人分か書き出してみよう。

 喜色満面
 天真爛漫
 いつも心に北川敏博!

 2004年4月7日水曜日午後8時50分
 春らんまんの横浜が
 地獄絵図と化した
 
 仏のゴロー
 それがお前のあだなさぁ~♪
 鈍足なヤツだったよぉ
 お前は最後まで~♪

 オリックス球団は
 なぜ中村勝広を
 GMに指名したのか

……はい、以上でポエム終了。ちなみに2番目のは名前が出てきてないけど、吉野誠に捧げるポエムである。

著者プロフィールによれば、〈現在も随時、執筆しておりホームページで閲覧可能〉とのこと。「トラポエム」で検索してみたら、ちゃんと出てきたので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。


週刊虎バカクラブ
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1件 のコメント

  1. Posted 2016年9月10日 at 6:14 PM | Permalink

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