岩貞の熱投が9回逆転勝利を呼ぶ

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勝利投手という記録は、基本的に先発投手を評価するために存在するものだ。5回を投げ切らなければ権利がないという高いハードルが設定され、しかも降板後にその権利を失うこともあるという仕様は、1試合責任をもって投げきり、チームを勝たせるのが真のヒーローだという考えに基づく。それだから、先発投手が勝利投手に値しない投球、つまり5回すら投げきれなかったのはもちろん、勝負が決着していないのに試合途中で降板した場合は、先発投手ではなくリリーフ投手が勝利投手になる。すると、先発投手を評価するときにはあんなに厳しかった「勝利投手の基準」が、そこに価値がないとなった瞬間、突如としてテキトーになる。基本的には「決勝点をもらった投手」。たとえその投手が不出来で、自らの投球のせいで誰かの勝利投手の権利を消してしまったとしても、その次の回で決勝点さえもらえれば勝利投手になれるのだ。もうこの時点で先発投手にとってあんなにも欲しかった「ヒーローの称号」が、むしろ不名誉なもの、「どうでもいいもの」に落ちてしまう。そもそも決勝点を取ってもらったまま先発が5回を投げきれず降板した場合は、残りのイニングを投げた救援投手の中から「スコアラーがテキトーに決める」というのが規定だ。
プロ野球は記録のスポーツだから、記録は大事にしなきゃいけないというのはごもっともだが、この矛盾に満ちた「勝利投手」だけは早いとこ変えなきゃいけない。本家アメリカがどうだろうと、国際的投手王国である我が国が率先して変えるべきだ。
変え方は簡単だ。決勝点云々の項目を廃止し、先発投手の勝利投手条件を一部変える。すなわち勝利投手とは、
(1)勝利チームで完投した投手、それがいなければ
(2)5回以上を投げた先発投手と救援登板した全投手のうちで、もっとも勝利に貢献したと認められる投手(公式記録員の判断)
に変えればいい。ただそれだけのことだ。
桑原を悪く言うつもりは毛頭ない。あんな厳しいところでばかり投げているのだから。
とにかく毎週毎週エースと投げ合って、内容で投げ勝って、それなのに勝利投手がつかない岩貞が不憫でならないのだ。理不尽も野球のうちだし、理不尽があるからこそドラマがあるのはわかっているけれどね。
この項は以上。

なんと梨田監督が辞意を表明、今日から平石ヘッドが監督を代行するという。借金20に達したためというが、1年1度しかない対戦、しかも3連戦の途中でこんなことがあると面食らう。昨年好成績の楽天がどうして今季ここまで他の5球団に置き去りにされたのか、ウォッチしていないからわからないが、阪神よりさらに打てず、得点力がなく、阪神ほどの投手陣はないということだから、それは厳しいだろうとこの2連戦を見ていても思う。何かの縁なので、梨田監督には「お疲れ様でした」と申し上げたい。

中継で画面の得点状況に、TとHをかたどった阪神のマークと、Eをかたどった楽天のマークがタテに並んでいたのだが、なぜか「両毛」と読めてしまって、一人でくすくす笑っていた。とくに北関東に縁はないけれど。

さて、試合は岩貞と則本の行き詰まる投げ合いだった。またいちゃもんっぽくなるが、両チームの打線の弱さと、球審のストライクゾーンの巨大さ&不定も投手戦を演出した。
福留なんて第1打席から3三振したが、もう両者の意地の張り合い。ボール2つ外れている(ように見える)外角直球を福留は延々と見逃し続け、球審は延々とストライクと言い続けた。まあ本当は、そこに投げ続けられる則本が「エライ」のだけれど。最後は失投を見事に打ち返していた。

無失点の岩貞を引っ張って引っ張って、最後は8回途中、一死一三塁とピンチを広げられたところで降板。121球の熱投だった。8回のマウンドに上げたことも、もう限界と見て交代したのも良い判断だったと思う。もちろん、岩貞は悔しい思いもあったろうし、野手たちも岩貞に勝ちがつけられずに申し訳なかったろう。
同じように則本を引っ張った楽天サイドだったが、リードした9回にクローザーを出さなかったことが悔やまれるだろう。8回終わって120球、すでに引っ張った結果の「決勝点」だったから。

コントロールで三振を奪う則本に対し、岩貞はボールの勢いと投球テンポの良さで相手打者をグイグイと打ち取っていった。打たれるのを怖がってベースの上に投げ込めなかったかつての「小心者」の姿はなく、「打てるもんなら打ってみろ」という気迫で投げ込むスタイルが板についてきた。心身のスタミナ面も十分で、今や「左のエース」の地位にある。ずっとこのままでいってほしい。

クローザー球児が2年ぶりのセーブ。やはり重圧は他のポジションの比ではないようで、最後はスタミナも消耗してハラハラだったが、よくしのぎきった。ボールはいいので、カンを思い出せば変わってくるところもあるだろう。とにかく代わりがいないのが現状なので、少なくともしばらくは頼む。

桑原が今江に先制打を許し、ついに1点ビハインドとなった9回表。5番DHでスタメンしていた伊藤隼太がストレートの四球(代走熊谷)。則本も疲労があったのだろうし、1点リードが重圧にもなっていたのだろう。
鳥谷が1球で送りバントを決めて一死二塁、打者中谷。結局、鳥谷→中谷というこの並べ方が「正解」だったのだから、野球というのは奥が深い。
簡単に追い込まれた中谷だったが、外角低めに決めに来たスライダーにくらいつくと、打球はバックホームに備えて前進していたセンター田中の右後方へ。再三広い守備範囲で長打をアウトにしている田中だったが、これは追いつけない。右中間を越えていく間に、地元出身の熊谷がゆうゆう生還し同点。

さらに一死二塁で梅野への代打原口。初球こそボール球に手を出したが、それで冷静にあとは見極めてカウント3-1。5球目、直球が真ん中に入る失投を三遊間に得意のバッティング、ランナー止まって一死一三塁。さらに植田に代えて高山を打席に送る。結果的にこの原口、高山という並びもまた「正解」だった。じっくりと相手に重圧をかける原口がお膳立てし、勝負の早い高山に狙わせたのだから。加えて言えば、今阪神でもっともヒットを打ちそうな糸原が1番にいることも絶対に高山と勝負しなければならないという心理にさせた。

この場面、高山はどの球を狙って、どんな打球を打とうとしていたのか。本人のコメントもなく知るよしもないが、おそらく「打ってやる」の一念だけだったのではないか。すでに同点となり押せ押せムード、嫌なプレッシャーはない。
相手バッテリーも、怒りにも似た高山の打ち気を感じ取っていたのだろう。初球はフォークで空振り狙い。しかしもはや則本の指先は疲労していた。落ちないフォークが浮く。コースは外のボールだったが、気のない半速球に対し高山は強気に踏み込みミートすると、鋭いライナーが一瞬のうちに三遊間を抜いた。
中谷、原口、高山の3連打で同点、逆転。四球の隼太、送った鳥谷を含めて、二軍やベンチでモヤモヤした時間を過ごしていたヤツラばかりだ。十分に圧縮された可燃性のガスはまだまだ残っているはずだ。

たった2連勝しただけだが、なぜだかまた単独2位に浮上し、しかも首位広島とは3.5ゲームに縮まったのだという。よほど広島が負けているということなのだけれど、わからんもんだ。交流戦があると、「強いから成績がいい」にならないからわかりにくいね。
いずれにせよ、せっかく好位置につけているのだから無駄にしないように。

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コメント

  1. Akira28 より:

    traoさんの今日のコメントには、全く同感です。岩貞には、勝ちをつけさせてやりたいピッチングでしたし、私も現代野球に即した勝ち投手ルール改定が必要な時代に来ていると思います。
    しかし登板毎に見せる岩貞の好投は、メッセ、秋山に加えて三本柱といって良いと思います。そこに、藤浪も復活の兆しです。
    中谷も状態が上がってきました。
    少しこれからのタイガースの戦いに希望が見えてくる中、なんといっても、藤川球児のクローザの場面は久しぶりに見ていて身体が硬直していました。
    必死に応援していました。
    銀次のファウルチップを原口が掴んでいれば、簡単に試合終了だったんですが、やっぱり野球もメンタルスポーツで、若干気落ちした球児のストレートがセンター前に運ばれててしまいましたし、その後の渾身のストレートも際どいコースがボールの判定。
    但し、原口も良く球児を盛り立てて、開き直ったストレートがキャッチャーフライ。
    掴んだ原口の喜びの笑顔は、ファウルチップを取りきれなかったことが重なっての歓喜の瞬間!
    その笑顔にニッコリした球児の微笑み返し。皆さん同様、バンザイ三唱した私です。
    球児、おめでとう!
    何気に、広島との差が3.5に縮まって、2位なんですね。
    今日も勝ちましょう!

  2. yalkeys より:

    toraoさんの久々の渾身の長文、拝読。
    梨田監督の辞任は残念ながら仕方ないと思います。彼が目安としていた借金20の内、ホームで17ではファンは声をあげるでしょう。我がタイガースは現在借金生活ですが、小生外出中のため、ホームとビジターの内訳は分かりません。
    さて、試合内容は逆転辛勝。則本の続投がポイントでした。解説の有田氏が何度も力説されていた「こういう展開でのキャッチャー交代(特に若手への)」が、タイガースにはラッキーとなりました。
    本日、才木の力投と打線の活性化を確信します。

  3. なかっち より:

    岩貞は本当に良く投げました。菅野に投げ勝ち、雄星と投げ合い、涌井と投げ合い、昨日は則本と互角以上の投げ合いをしました。
    交流戦の防御率は驚異の0.92

    今の先発投手の評価は防御率やと思ってます。確かに奪三振が多く、完投能力のある先発投手が沢村賞に選ばれたりはしますが、投手の分業制の時代になり、今先発投手に求められるのは完投数や勝利数よりもQS又はHQSの数+防御率やと思ってます。

    そういう意味では今の岩貞はチームにめちゃくちゃ貢献してると思います。岩貞は反省の弁を口にしてましたが、これを自信にしてほしいです。

    試合の方は9回に何とか逆転して見事連勝。交流戦初の勝ち越しを決めました。則本攻略の為に5犠打を駆使し、ようやく攻略しました。犠打を使う作戦を悪く言うつもりはありませんが、昨日も中谷に犠打のサインをだしてました。陽川も含め、犠打のサインを出すメンバーを考えてほしいです。

    9回鳥谷の犠打は良いとして、試合の序盤や中盤に中谷や陽川に犠打のサインを出す采配は個人的にどうも好きになれません。采配が前監督の和田さんに似てきてますよね。
    解説の時あれだけ和田采配を非難してた人が同じ事をするなんて・・・・・。
    去年までと采配が違いすぎてタイガースの野球が見てて楽しくないのは私だけでしょうか?

    話は変わりますが、楽天の梨田監督が辞任されました。
    同郷の島根県出身の監督で、個人的には応援してた監督だっただけに残念です。
    去年は打線が機能し、ペゲーロを2番で起用するなど斬新な采配でパ・リーグを盛り上げた監督でめちゃくちゃ寂しいですね。

  4. 西田辺 より:

    良いピッチャーはなかなか打てない。
    当然と言えば当然だけど、だからと言って相手の好投を指を咥えて眺める
    指揮官はいないし、選手だって攻略の糸口を探ろうとする。
    金本監督がこの日採った作戦は無死・一死で走者が出れば犠牲バント。
    一昨日も雨と藤浪に勝利投手の権利をと言う事で、バントを多用した。
    もう少し作戦にバリエーションがあっても、とは思うけど・・・・。
    昨日の則本の状態から言えば、球数を放らせて消耗を期待するか、2番手
    以降のピッチャーを仕留めるかくらいしか希望が無かったかも知れません。
    ただそのプランを実行するには、阪神側の投手が楽天を最少失点に抑える
    というミッションを遂行する必要がある。
    その点において昨日の岩貞は、ほぼ完璧に仕事をこなしたと言えるでしょう。
    失点は8回。
    則本を受け続けてきた嶋の2塁打から。
    ここで楽天ベンチは代走島井を送る。
    私はここが一つの試合のポイントだと思ってます。
    嶋に代走と言う事は、次の回に確実にキャッチャーが変わる。
    則本がその時どうなるか、それともバッテリーごと交代してくるのか。
    その後、一死1・3塁となり打者今江の所で桑原に交代。
    今江の打席で、外の球を明らかに右方向狙いのスイングで空振りをしていたのを
    梅野は分かっていたのでしょうか。
    また同じ球を放らせて、ライト横の二塁打を打たれたのはバッテリーとも
    十分反省材料にして欲しい。
    9回表、捕手が変わった則本は伊藤隼太にストレートの四球を出す。
    果たして嶋から足立に代えた影響がなかったと言えるでしょうか。
    確かに130球を超える球数を放っているとは言え、この場面で則本を救える
    リードが足立に出来たかは疑問。
    逆にタイガースにしてみれば、嶋のままの方が嫌だったかも知れない。
    まぁ、この辺は勝負事の綾でもあるので絶対にとは言えませんが。

    勝負事と言えば、昨日の敗戦で負け越しが20となった楽天梨田監督が辞任との事。
    去年前半は、外国人打者も機能してあわやと言うペナントレースを演じましたが
    後半から怪我人や不調者が目立ち始めて成績も急降下。
    今シーズンも、昨年を引き摺るようなチーム状態でパリーグの最下位に。
    球団と監督が・・・みたいな話も聞こえてきますが、そんなのが広まる時点で
    決していいチーム状況じゃないのは確か。
    ふた昔前のどこかのチームを思い出します(笑)
    まぁ、楽天のチーム状況にはご同情申し上げるけど、それと勝負はまた別物。
    勝率5割に戻る為に、今日は是非とも勝ちたい所。
    才木!ビシッと抑えてくれ!

  5. 虎蜂 より:

    先発完投の時代から完全分業の時代になり、投手の価値を勝ち星で測るのが難しくなりましたよね。名球会入りの条件も選手寿命が伸び、ハードルが下がった野手と比べ、投手のハードルはとても高いものになっています。改めて勝利投手の価値・基準について見直す時期に来ているのかもしれません。

    ようやく打線に反発力が出てきましたね。このままの勢いをセとの対戦にも持ち込みたいところ。いつの間にか交流戦順位でカープが下になっていて驚きましたが、まだまだチャンスはあるということ。今日のイーグルスナインはいろんな想いをぶつけてくるでしょうが、反発力を見せてやりましょう!

  6. 星の輝き より:

    偶然ですが、試合後に勝ち投手について私も同様なことを考えてました。
    岩貞は勿論ですけど、則本も熱闘報われずに負け投手となるのも少し可哀そうな気がしました。
    投手査定の評価基準の中の勝ち星の重さが現在どれくらいなのかは分かりませんが、記録はさておき評価だけはキチンとしてあげて欲しいですね。
    と書いているうちに、記録についてはまぁこのままでもしょうがないのかなと考えなおしました。
    守りにおいては確かに投手に一番の責任はあるでしょうが、野手もそれなりの責任はありますし、いくら堅守でも打って点を取らなけれなれば勝ち投手には永遠になれないのです。
    野球はチームプレーでもありますし、天候や運や審判にも左右されるスポーツですから、多かれ少なかれ不条理というのは存在しなければいけないような気がします。
    何故なら、人生そのものが大いに不条理であるからです。
    そしてその不条理があるからこそ、この野球というスポーツに我々が魅了されて止まないのでは?と考えを改めました。
    最後に尻切れトンボですが、頭の毛が無い私は「両毛」には大いに笑わせてもらい、またなんか羨ましい気持ちになりました。

  7. 大和 より:

    長い北海道(1試合)・東北(2試合)遠征を終えて帰阪しました。
    結果は3勝0敗で満足の行くものでした。

    しかし、これらの試合を見ていてこの監督ではとてもじゃないけど優勝できないと確信しました。

    この掲示板でも触れられていましたが、札幌での高山・陽川らのよく分からない使い方。

    仙台の初戦では藤浪が6回からボールが明らかに荒れ始めたのに7回まで引っ張って岩崎・桑原を無用にしんどい場面で投入。
    あんた開幕の巨人戦でまだ懲りてへんのかい!!今の藤浪にはとにかく勝ち星を付けてやって気持ちよく終わらせてやるのが第一やろ!

    昨日は岩貞が7回に100球を超えてボールが荒れ始め楽天打線に捉えられ始めていたのに8回続投。またまた桑原を過酷な場面で投入し失点を喫する。
    奇しくも梨田監督が則本に対して9回に同じことをして阪神に逆転を許しました。

    無死二塁で中谷の送りバントのサイン。将来のタイガースを背負う四番バッターに育てるんちゃうんかいな!!ライトスタンドの阪神ファンから猛ブーイングが出ていて逆にホッとしました。
    一死一塁で梅野に謎の送りバントをやらせて得点圏打率.033の植田に託したり、本当にもう?だらけです。

    岩貞に勝ちがつかないどころか負けがつくところをそれ以上酷い楽天に助けられただけです。

    とにかく攻撃にバリエーションが無く、継投では同じ間違いを何度も犯す。これでは優勝なんてお天道様は許してくれません。
    策がないのはキャンプからそういった準備をしてこなかった訳なので当然といえば当然です。

    連勝したのにわだかまりを持ったまま球場を後にしました。

  8. 虎轍 より:

    梨田監督も交流戦が終わってからでも良かったんちゃいますか?
    試合は岩貞と則本の投げ合いで締まった投手戦になりましたが、岩貞が相手チームのエースと遜色無く投げ合ってるのが当たり前になってきてるのが嬉しいですね。
    そんな岩貞に勝ち星を付けてやれないのがもどかしいですね。
    前日に球児のセーブが見たいと書きましたが、ホンマにせんでもええがな(笑)
    ナイスピッチングやったよ。
    代打の人選も良かったですが、それに応えた原口、高山の打つだけの選手が、キッチリ打ったのも良かった!
    高山の気持ちが見えました!
    今日も勝ったらええんやで!
    一つ気になったのが、卍の敷田審判員が突然倒れたってニュースが気がかりですね。
    大したことないと良いんですがね。

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