成長物語

スポンサーリンク

 最近はそうでもないけれど、子どもの頃は大相撲を見るのが好きだった。


北の湖全盛の頃は、強すぎる横綱にライバル意識を剥き出しにする輪島や貴ノ花を応援した。でも一番熱中するのは、昇り調子の若者がぐんぐん力をつけて、番付を急上昇して、三役、大関、横綱の地位にチャレンジして行く時だ。実際はもうその時には大きな話題になっているのだけれど、その成長していく過程を知っているというだけで、思い入れ度が高くなって、サクセスストーリーに入り込める。こう書いてしまうといかにも安っぽいのだけれど、それが典型的なファン心理であり、ファンとしての楽しみだ。
 少し長期的な目で見れば、ここしばらくタイガースファンもその楽しみを十分に味わったと言える。万年最下位のダメ虎が、なだめたりすかしたりぼやいたりの基礎教育を受け、絶対的ボスの闘魂注入を受け、何があっても平気な顔でやりつづける男の薫陶を受ける。球団として、企業として、チームとして、個々の構成員は少しずつ入れ替わりながらも、タイガースとして着実に成長していくストーリーを楽しんだ、そんな10年だったように思う。
 「成長物語」を続けていくのは難しい。成長とは「加速度」であって「速度」ではない。高いエネルギーをキープし、高速で走行していても、それが惰性でしかない場合もある。成長カーブが鈍化すれば、ファンを熱狂させるエネルギーも弱くなる。これが短期的に見たタイガースの近年だと言える。
 しかしこの高度成長に酔いしれることができるのは、限られた条件下でのみ。すなわち相当低いところ(単純に順位だけのことではなく「球団力」として)にいないと味わうことができないもの。現状のタイガースは、ファンの数や動員力やグッズ購入額などで12球団1位といわれ、年俸総額も2位。かつての「シブチン経営」は影を潜めている。潜在能力を「球団力」へと活用する方法を知ったわけだから、まあそう簡単に没落することはない(あくまでも「球団力」の話で、順位の低迷は別)。だから長期的に見た急成長物語は、一度限りのものだったと考えて良いだろう。これからの「成長なき10年」、タイガースファンがどういう変質を見せるのか、自分のことながら楽しみである。
 オーバーラップ。前章は終わった。しかし新しい物語を理解するには前章を読み返す必要がある。新しい成長物語の主人公が現れる2009年シーズン、見逃す手はない。
 とかなんとか言っちゃってるが、暴れまくりたいのが選手。勝ちたいのが監督。そして熱狂したいのがファンなのだ。
 予想通りにことが運ぶなんてクソ食らえ、わけのわからんことが起きて、わけのわからんことになって、右往左往しながら、涙目になって、大喜びしたり、ふさぎ込んだりするのがファンなのだ。そういう意味では過去も未来も大して変わりはしないだろうけどね(笑)。
 さあ、始まるぜ!狩野、頑張れよ!

コメント

  1. けいわい より:

    そうだ!狩野、波に乗れ!

  2. クリキントン飛雄馬 より:

    2009年、最後に9のつく年は、阪神の変革のある年です。
    1969年・ミスタータイガース田淵幸一入団
    1979年・西武にトレードされた田淵に替わり、掛布雅之がミスタータイガースに
    1989年・前年の掛布の引退、バースの退団、暗黒の本当の始まりの年
    1999年・野村監督就任、長期低迷の阪神が、本当に変わろうとした年
    2009年・歴史的なV逸から岡田監督から真弓新監督へ最近の黄金時代から、今年どうなるか?
    更なる前進か、また再びの低迷の時代突入か。
    もちろん、更なる黄金時代継続を期待しています。
    そして、松村邦洋さんも退院。
    本当に良かった。
    いよいよ2009年スタートですね。

  3. おばちゃん より:

    阪神は優勝してほしい。しかし、はらはらイライラさせる阪神も好きだった。なんだか、過去形になってきたが、今年の阪神は駄目トラに戻りそうで、やっぱり可愛いなと思わせる。この、おかしなファン心理を解析してください。

  4. 熊虎 より:

    祝開幕!
    今シーズンもよろしくお願いします。
    願掛けついでに始まる前から言っておきます。「真弓監督は優勝から逆算して勝ちに行っている」
    前任者は積み上げたものの結果としての勝利に到達する(或いは出来ない)タイプだと感じましたが、真弓監督は勝負師ですよ。例えば「The Game」を「演出」する様な・・・。toraoさんの文章の冴えが今年は特に期待できそうな気がします。(某阪神守護天使様は前任者の方がいじりやすそうですが・・・)

  5. sugiatsu より:

    今年もいよいよ今日開幕ですね。
    暗黒時代の再来覚悟してるファンもいますが、
    私は今年も阪神の良い試合、良いプレーを見させてもらえれば、勝敗の結果には拘らないで応援していきます。ただし覇気の無いプレーや試合には文句を言うでしょう。
    それから巨人戦に負けるのも嫌です。。。
    優勝より巨人戦に大差で勝ち越す事の方が嬉しい偏屈な男です。toraoさん今シーズンも宜しくお願いします。毎日楽しみにしています。
    桜井、狩野は我が息子と思ってます。頑張れ!

  6. 宮川 より:

    toraoさんこんにちは。いよいよですね。
    こんなに不安な開幕は初めてかもしれません。
    ここ数年は不安よりも優勝してほしいという期待のほうが大きかったし、
    それ以前は不安になるだけ意味がないというか、開幕前ですでに諦めの境地でしたからね(汗)
    だもんで、個人的にはある意味新鮮な気持ちで開幕に臨めるので、それはそれで結構楽しかったりします。
    でも、やっぱり秋にはその不安をぶっ飛ばして、最高の歓喜の瞬間を迎えたいもんです。
    toraoさん。
    今シーズンも喜びは何倍にも、そして悲しみは何分の一にもなるような素敵な文章を期待してます。

  7. ジジィ より:

    toraoさんは輪島、貴ノ花でしたかぁ。私は鷲羽山、旭国、北瀬海の小兵好きでしたネェ(古い)!
    当時、地元(鹿児島)ではタイガースファンはクラスで私しかおらず、よく馬鹿にされたものでした。
    今思えば、あの頃のタイガースは『成長物語』の途中かぁ!?「若虎」掛布が出て来た時のトキメキをもう一度、今シーズンは味わいたいですね。

  8. 虎之介 より:

    開幕!
    今季もよろしくお願いします!
    勝負のキーマンは…鳥谷!
    期待のキーマンは…バル!
    復活を望むのは…今岡!

    …と、上げだすとキリがないので、この辺でw

  9. ブラスと より:

    ワクワク、どきどきの開幕です!
    まぁ、去年のような開幕ダッシュは、たぶん望めないでしょうが、(とか何とか言って絶対期待してますよね、ファンの皆さんは(笑))まぁ、去年を体験している選手たちは、頑張ってくれるでしょう!たぶん(狩野!ほんまにがんばれ!)
    民放の枠を見ると、関西地方は読売テレビでの放送のみ 『え?何で読売、巨人戦やらんと、阪神戦なん?』とうちの読ファン嫁が、嘆いてましたがww

  10. 坂石チエ より:

    初めまして。
    いつも読ませていただいていますがコメントは初めてです。
    アクセス解析を見たらこちらのアドレスがありましたので見てみるとうちのブログのリンクが貼られているでは!!
    うわーーー!!!ありがとうございます!!うれしいです!
    阪神の事は大して書いていないという零細ブログなのに大変恐縮しております。
    早速うちのブログにもリンク貼り付けいたしました。
    今日は兄貴のバースデーHRもあり、松村さんの退院もありでいろいろめでたいです♪
    今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

  11. 太めのおじさん より:

    いやぁー、開幕戦勝ったみたいですね。
    これから、ハードディスクプレイヤーをスイッチオンです。
    酔ったいきおいで書いちゃうけど、矢野さん、ひょっとして、若手キャッチャーを育てるための、壮大な「三味線」ってことは・・・ないか。

  12. 西田辺 より:

    大相撲サクセスストーリー。
    千代の富士関が度重なる故障を克服して横綱まで一気に駆け上がった姿が特に印象的です。
    ここ数年のタイガース、過去を思うにつれ贅沢な望みを抱くチームになりました。
    強い意志と練習量で各セクションを引っ張れるオッサン連中がいて、負けん気人一倍のリードオフマン兼
    選手会長がいて、次代のリーダーと目される若者がいて、12球団でも有数の投手陣を擁し、
    見た目よりも強かな指揮官がいる。
    でも更に欲を言わせてもらえれば、既存の勢力を脅かす新星の誕生が欲しいですね。
    それも、飛び切りインパクトのある選手が。
    さぁ、出て来い!超新星!