07初甲子園ナイスゲーム!

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負けてなお強し。ドラゴンズに対する正直な感想だ。


5回ウラ5安打を集めた逆転劇だったが、鳥谷ショート左、赤星レフト前、金本ライト前、今岡ショート右、得点に絡んだ4本は、いずれも野手のグラブの先端ギリギリのところでヒットになった打球。しかもたまたまそういうところに飛んだということではなく、いずれもクリーンヒットの打球であるにもかかわらず、守備位置、守備範囲の広さ、際の際まで打球にチャージする執念によって生み出される「ギリギリ」だ。実際のところ、この「ギリギリ守備」によって、走者はスタートが切れず、本来奪ってもおかしくない塁をとれない。
逆に、濱中の捕球体勢が悪いと見るや、浅めのライトファールフライでも躊躇無く二走森野がタッチアップで三塁を取る。山本昌を降ろした後の継投も、目先を変えながら、また今後に生きるような試運転をやって来る。3点差でKJFと繋がれても、追撃への集中を決して切らすことなく丁寧な打席を重ねてくる。
別にビビる必要はないけれど、まあ強いわ、このチームは。
しかしこの試合の大テーマ、「去年の悔しさをぶつけろ!」はやってくれた。序盤でリードされても、大きなチャンスを潰しかけても、良い目をしていたからね。
先発ジャンは、その悔しさを知らないし、ドラゴンズの特徴である、チーム全体で精神的重圧をかけてくるということも知らない。ちょっと間の抜けたところがあって、ポロンポロンと点は失っても、ドミニカーンなテンポでどんどん投げていくので、守備から攻撃へのリズムは作りやすいかも知れない。
そしてこの試合はシーツが素晴らしかった。連打グセのあるジャンの「あ、今ヤバイ」という瞬間にすすっとマウンドに歩み寄って、抜群の間を取った。ジャンの6回2失点の陰にシーツの冷静さありだ。打っても外をしっかり見極めていたし、守っても(難しい打球でエラーとされたのが一つあったが)ファインプレーを連発。試合の基礎を作った。
久保田、良かったねぇ。二死から谷繁にはいつものヤマカン二塁打を打たれたが、代打立浪の最後空振り三振を奪った外角低め146km/h直球は本当に気持ちの入った素晴らしいボールだった。
ウィリアムスはストライクとボールがはっきりする良くないジェフ。ウッズに一発出れば同点という場面を演出してしまった。しかしそこで気合い入ったね。ハッキリ言って最後の直球はど真ん中だったけど、もう気迫で押し込んで一ゴロ併殺に仕留めた。
前回イマイチだった球児、今回は良かった。高めの直球はしっかり浮き上がっていたし、低めに叩いた直球もビュインと伸びて来た。それでもね、森野はスゴイや。今度大事な場面で当たる時、オール直球では行けないね。それにしても李に4球、ノリに4球、森野に3球、谷繁に3球、全部まっすぐで空振り三振3つ。ウッズもオバケだけど、球児も負けてないね(笑)。
5回ウラ、打者一巡。鳥谷ちょっと積極性がダウンしていたけど、昨日は気持ちが乗っていた。凡退した打球も悪くない。三遊間ライナー性で破って一死一塁。
赤星、落ち着いていた。この日一番の仕事は、この打席レフト線へのヒットもさることながら、前の打席で2?1と追い込まれてから2?3までしっかりボールを見極めて、その後直球を3つファールして、最後ちょっと打ち損ねて三飛になっちゃったけど、嫌がらせしたこと。この打席で3回終わって昌の球数50。こういう仕事が5回に生きてくるのだ。赤星シフトにはまりかけたがなんとか落ちて一死一二塁。
シーツ、外の出し入れを読み切っていた。直球、シンカーの誘いにのらず四球、一死満塁。
最高の状況で金本を迎え、場内は「わっしょい」で大ベテラン山本昌を追い込む。力まないことだけを考えたというこの打席。ここのところヒットは出ていても、好機での凡退が目立っていた。本来貧打の責は、6番8番ではなくクリーンアップにある。3球続けたシンカーをライトへライナー性、深く守っていた福留が猛チャージするがわずかに及ばずショートバウンド。2?2同点となって、なお一死満塁。
一度歓喜に弾け飛んだスタンドの熱気がもう一度集中する。今岡に打ってもらいたい。わっしょいのボルテージが上がったように思う。初球はスローカーブがすっぽぬけ。昌にしては珍しい。バットを握り直す今岡、右手の小指から1本ずつ力を加える。去年痛みに苦しめられた右指が思うとおりに動くことを確認するかのようだった。満塁。初球のスローボールが外れたことで、今岡の頭の中はスッキリしている。外角低めの直球でストライクを取ってくる。描く弾道は一二塁間をライナーで破るライト前ヒット。ボールは思ったところよりやや内に来たが素直に反応した。鋭いゴロが投手左を抜けるマウンドで小高く弾む、井端が打球に追いすがる、捕れば併殺、抜ければ2点…抜けた!赤星、シーツ生還、4?2逆転!なお一死一二塁。
濱中、ヒットは出ていないが、センターから右方向に打ち返すことを頭に入れて、良い打球は打っている。1打席目二ゴロ併殺、2打席目セカンド正面へのライナーあわや併殺。ツイていない。ここはもう気楽に、勢いに乗って!投手ラミレスに交代、その2球目外角直球をセンター右へクリーンヒット。これで一気に戻るね。良かった。一死満塁。
矢野。この試合の数多い隠れヒーローの一人。0?2とリードされた4回ウラ、敵失とヒットで得た無死一三塁のチャンスを、今岡三振、濱中凡退で潰しかける。当たっていない関本を控えて、勝負を避けられるかと思ったが、逆に満塁で関本に開き直られるのを恐れたかまともに勝負。ここできっちりとセンター前タイムリーで追撃の1点を取った。これがなければ、さらに相当な苦戦が続いていただろう。甲子園名物「わっしょい地獄」で矢野押し出し四球。5?2、一死満塁。
あとは関本。あかん目が、目が…100m自由形。タイミング合わないチェンジアップを連投され遊ゴロ併殺。チェンジ。頑張れ負けるな健太郎!
野球はみんなでやるもん。一人一人が勝利に執着して、心を熱くして、頭を冷やして、やるべきことに集中すれば、ボールの行き先にも気迫が込められ、ツキが向いてくる。スタンドで声援を送ったファンを含めてみんなで勝ち取った甲子園初戦勝利おめでとう!ナイスゲーム!

コメント

  1. 洋上道三 より:

    しょっちゅうROMってましたがはじめてカキコします。
    TORAOさん。いきなり飛ばしすぎです。
    今回のエントリをみてTHE GAMEを思い出しました。特に今岡タイムリーの打席のくだり。
    まあ、私は2?1で負けている段階で見るのをやめたヘタレですがwww

  2. fmamiya より:

    おはようございます。
    昨日はナイスゲーム!だったらしいですね。
    (甲子園開幕に会議いれる会社なんてやめようかなぁ)
    という事で観戦はできなかったのでtoraoさんのおっしゃって入る事を鵜呑みします(笑)
    岡田監督も試合前のミーティングでこのブログ選手に見せたほうが良いんではないでしょうか。
    ある意味浜中も関本も気分すっきり、前に進めるのかも・・・
    淡い願望です。
    という事で、さぁ、今日も勝つ!!

  3. たまねぎおじさん より:

    4回先頭打者シ?ツが ファーストフライの時ウッズの視界に入るように軽く蛇行して しかも全力で走ってエラーを誘ったのはナイスランニングでした。 流れを持ってきたと思います。 前回も書きましたが 私は今年シ?ツから目を離さないで応援していきます。

  4. 西田辺 より:

    ドラの2点。
    まぁ、あそこに投げたら打たれるわな、そら。
    って感じの失点だったので、しゃあないしゃあない。
    相手のエラーから、何とかかんとか点にした。
    あれが大きい。
    いつもやられているパターンで反撃の口火を切った事で
    相手もチョット嫌な感じになったかな?
    どうよ、いつもやってる野球を、やられた感想は?落合さん。
    浜ちゃんは打ったけどセッキーは、あの5回のドサクサ
    で1本打っとかにゃあ。
    >目が…100m自由形
    ウププ、そんなに激しく泳いでましたか(笑)
    せめて古式泳法並みに、優雅に泳いでくれたら・・・。
    それと昨日目を引いたのは、相手ルーキーの浅尾投手。
    いい素材ですねぇ。
    パームと言う厄介な決め球も持ってるし。
    ただ、肩肘の故障が怖いフォームですけど。
    中田・佐藤・中里、良い若い投手が芽を出しています。
    ご用心、ご用心。

  5. あーちゃん より:

    toraoさん、熱いっすねぇ(笑) 
    今日の文章に、昨日の試合の素晴らしさと同時に、今までのフラストレーションの大きさが現れてます。負け試合を分析するのは辛いけど、勝ち試合の戦評はどれだけ書いても疲れないんですよね。
    今日のデイリーにジャンのコメントが載ってました。
    http://www.daily.co.jp/baseball/2007/04/11/0000297932.shtml)
    シーツの間のとり方は、ジャン本人にとっても絶妙だったようですね。どこのインタビューか忘れたけど、アンディが「阪神に来る外国人選手には、英語が通じる限り、知るかぎりのことをアドバイスしていくよ」と言っていたのを思い出しました。
    ジェフもブルペンの精神的な柱のような存在になっているようだし、最近の助っ人さんたちのこういう姿勢はすごくありがたいですね。

  6. 酔虎伝 より:

    あそこで、関本に一本出ていれば、
    100点満点の大満足試合でしたね。
    まあ、今日打って貰いましょう。
    その為には、右肩が出ないように、
    左の引き手だけで、バットを振って欲しいです。
    右のイチロー版のような感じで。
    若しくは、ローズの様に。

  7. 匿名 より:

    昨日の興奮を一晩寝かせて熟成させて、味わいが増したとこにtoraoスパイスが効いて、絶妙な美味しさを反芻できました。いつもいつもご馳走さまです。

  8. いわほー より:

    名無しは私です。

  9. torao より:

    to 洋上道三さま
    ようこそ!
    字数は多いけど、気持ちとしてはまだそれほど飛ばしてないかな(笑)。でも、あの逆転の回、KJFの投球にはかなり興奮しました。
    確かに反発力がなさそうな今のTでしたからね。この逆転勝ちで、ちょっと変わってくるでしょう。
    to fmamiyaさま
    まあ、だいたい「鵜呑み」OKだと思いますよ、この内容なら。時々、ホントっぽい創作をまじえる時があるので、あんまり鵜呑みにされすぎるとダメなんですけど(笑)。
    こんな素人ブログを選手が見たところで役になどたちますまいて(笑)。
    to たまねぎおじさんさま
    あ、それは気にして見てなかったです。へえ、見直してみよう。なんでもやってみるもんですね(笑)。
    to 西田辺さま
    スローピッチやってると、ついつい「シングルはOK」とか「ソロHRはOK」とかって思っちゃうんですけど、ちょっと甘い球でしたね(笑)。
    しかしいつもは簡単に併殺を打つのに、ゲッツーシフトの無死一三塁となるとショートゴロもセカンドゴロも打てなくなっちゃうのはなんなんでしょうね(笑)。
    浅尾、良いですね。また困りそうなのが出てきました。
    to あーちゃんさま
    熱い試合をしてくれたら、こっちも感謝と力を込めて書くのです(笑)。
    いやそれが、負け試合だとどこかビジネスライクに書いてしまうのですが、ナイスゲームだとあれこれ言いたいことが出てきたりしまって、逆に疲れるんです(笑)。
    本当に、アンディ、ジェフともすごい柱ですよ。ありがたいです。
    to 酔虎伝さま
    ねえ、本当に。映像も見てるでしょうし、理屈はわかっているのでしょうに。しかし、あれだけファールで粘れる打者が、こんな風になっちゃうんですね。打撃は怖いです。
    to いわほーさま
    いわゆる「昨夜の残りのカレー」ですね(笑)。そういえばうちゆうべカレーだったな(笑)。

  10. より:

    赤星の当たりも金本の当たりも本当ギリギリで、中日じゃなかったら絶対大量点でしたね。
    塁を一つしか進めなかった、いえ進ませなかった中日。相変わらず憎ッたらしい!
    でも、久々に気分のいい5回の攻撃でした(^^)v
    一昨日からのもやもやがスッキリ!
    もっとも、今岡の前で満塁になった時はドキドキでしたが^^;
    4回の矢野さんのタイムリーで、みんなの呪縛が解けたかな?
    あとは関本の金縛りが解ければね。。。

  11. メル より:

    >どうよ、いつもやってる野球を、やられた感想は?落合さん。
    今朝読みました。「こんなゲームやって勝ったら(ファンに)失礼。よその球団もそんなに甘い汁を吸わせてくれないよ」
    なんか、人をなめたような感想でくそーーっって気になりました。開幕時の発言といい、かなり阪神、甲子園を意識してますね。

  12. KEN より:

    >ウッズの視界に入るように軽く蛇行して
     このときさらにシーツはウッズに何か言ったらしいですよ。
     「オトセッ!」とか(笑)
    TV見てたら一枝さん(やったかな?)が言ってました。
    「シーツ何か言うとるなあ」みたいに(笑)
    そういやエラーの後ウッズもシーツの方見てニヤニヤしてたし。
    シーツ流「ささやき戦術」が完成したようです(笑)! 

  13. NANCY より:

    あっさり負けてはくれない落合竜。憎たらしいったら・・・。
    浅尾投手ですか?すごいタマ投げますやん。
    もうホントに次から次と・・・。
    岩瀬がチームに帯同してないとか川上がインフルエンザとかチーム中に風邪気味が多いとか
    「えっマジで?」とニヤッとしながら
    今夜も勝ってほしいと願うアホなファンです。
    今日は誰かの誕生日じゃないよな?。

  14. Salut より:

    おー引き分け。すごい試合だったようですね。
    JFK、特に久保田、よくがんばりました。
    岩瀬を引っ張り出せなかったことは残念ですが、2003年の4月の東京DでのG戦引き分けのように
    この試合が今期のターニングポイントになるような気がします。
    勝てなかったが、3点差を2度追いつき、負けなかった。
    この粘りこそ、忘れちゃいけない勝利への執着心。
    まさに明日につながる戦いだと信じます。

  15. 観宙斎 より:

     ホンマ、『いば・らき』の守備範囲の広さが憎い! (^^ゞ
    えぇ意味で、ですが…
     ウチにも欲しい…
    今後の『鳥猿』に期待!?????
     orz このネーミング、没ですな。
    トリザル → トラザル = ×

  16. torao より:

    to 夜さま
    憎たらしいけど、素直にこういうチームを作っていることをすごいと思いますし、尊敬します。
    to メルさま
    いや、守備のミスには厳しいですからね。なめたようというより、まあ、らしいというか…。
    to KENさま
    おもろいなあアンディ(笑)。
    to NANCYさま
    両チームとも、立派なピッチングスタッフだと思います。
    to Salutさま
    すごい試合でしたよ。でも追い越せなかったところがホント残念でした。でも何度も負けかけていたわけですから、まあ立派な試合でした。
    to 観宙斎さま
    虎じゃなくて、鳥なんですから、ヒットを「取り去る」でいいじゃないですか。