追い上げるも一歩届かず

スポンサーリンク
定期投稿

西海の地で斎戒のキャンプを再開した日には、まさかコイツに再会するとは思わなかったが、最下位が確定したそうだ。

「生まれながらの名監督」でなかったことは本人も周囲も認めているだろう。球団は何を求めて金本監督を留任させるのか。その目的は、「既成品」を買ってくる旧読売型の「買収ビジネス」ではなく、優秀な選手を自前で育てる広島型の球団運営に転換させることにある。
なぜ金本だったか。一つに自分も広島で育てられたため、その目的の重要性を共有していること。一つに、栄光に彩られた過去の実績により、過渡期の成績不振も「アニキ信じてる」で乗り越えられると考えた。そして、大記録を打ち立てた不屈の精神力に期待した。

「アニキ信じてる」は幻想となりつつあるが、それでも不屈の精神力を発揮している。常人には耐え難いこの局面は、金本を強くしている。

しかし、三つの理由は「他にいない」の根拠にはなるが、「適任」を保証しているわけではない。現に自前で育てる土壌づくりが進んでいるのかどうか、確証はない。二軍日本一は一歩進んでいる証拠のようであるが、実際はそのメンバーが一軍で同じような力を発揮できて初めて評価されるべきもの。現時点では、それぞれがそれぞれに動いているだけにしか見えないので、3年間の成果としてはいかにも小さい。

「暗黒時代以来」と最下位を大げさに喧伝する向きもあるが、別に大した事ではない。4~6位が混戦なら、(こそっとわからないように)最下位になるのはメリットのほうが大きい。なんとなく過去にもそんな風に感じるチームがあった。阪神がそうだとはちっとも思わないが、とにかく今季の最下位なんかより、将来の浮上のほうがよっぽど大事なのだ。

金本監督が適任者になるには、すべてをそつなくこなす名監督をあきらめることから。現場責任者である監督にはやることがたくさんあるが、大別すると「コマンダー」「マネージャー」「モチベーター」の3つ。
コマンダーは試合での意思決定。様々な方法で集められた情報をもとに選択する。これは誰か(軍師)に任せることができる。
マネージャーは組織の運営。組織としての機能をアップさせるために、権力(人事権)を行使しながら様々な調整を行う。これも誰かに任せることができる。とくにこまやかな配慮というのは金本監督が苦手とする分野のように見えるので、適任者による補佐が必須だ。
「心を燃えさせる」という役割であるモチベーターだけは、他人に任せることはできない。他人任せで自分は燃えてないような大将を、担ぎ上げたいと燃える兵士はいない。チーム全員が願う優勝とは、監督を胴上げすることだから、その強い思いをチーム全員に共有させられるのがモチベーター。金本監督をこれだけに集中させればいい。技能を教えることも非常に重要だが、ハッキリ言って教わってできるくらいの技能なら誰だって習得できる。とてもできないと思うような難しいことを「できる」と信じ込ませるのがモチベーターの仕事。金本監督はここも弱いのだが、「とてもじゃないが足しか見どころのなかったオレが、ここまで登りつめた」というかけがえのない成功体験を持っている。だからお前にも可能性はあるんだと語りかけていけばいい。選手ひとりひとりにそれだけをやっていけばいい。
屈辱を耐え忍ぶ責任者の姿は、選手の燃料になる。コマンダーとマネージャーを適任者に任せ、自分はどうやって選手に火を点けていくかだけを考えればいい。そうすれば、選手は自分で教材を求め、自分で成長していく。

糸原、場所が場所なので、大事ないことを願う。

コメント

  1. とらかっぱ より:

    またしても殴られっぱなしの敗戦。8回に得意の追いつかない程度の反撃をみせるも、梅野暴走で勢いが止まってしまった。今季梅野の成長はリード・打撃面で大きなものがあったと思いますが、時折ゲームの流れを読めていないプレーが目に付きます。理想論が強すぎてリスク配慮が足りない様にも見えます。キャッチャーがそれでは困るのですが・・・誰か梅野に泥臭くても勝つ野球ってのを教えてあげて欲しいです。

    血の入替が断行されるようですが、一・ニ軍の入替だけ済ませようって甘い考えでは、大きく変化は望めないでしょう。作戦面が機能しなかったヘッドコーチ・作戦コーチ、打撃面が散々だった打撃コーチ、福留以外にまともな守備が出来る外野手を育てられなかった外野守備コーチ、この辺りのコーチは3年間で結果が出せなかった訳ですから、ご退陣いただくより他に道はないと思います。これを金本監督が承服しかねるのであれば、監督自身もご退陣いただかねば仕方のない事だと思います。金本ファンである私としては残念な事でありますが・・・

  2. 京都 より:

    今日のトラオさんの記事を、金本監督、球団社長及び球団幹部に読ませて欲しい!
    絶対読むべき!

  3. 虎蜂 より:

    現状、金本監督のコメントを聞く限りではモチベーターとしての才能も感じられません。就任直後であれば現役時代の威光も利用できたでしょうが、3年間ですっかり求心力は低下してしまいました。
    ただ、戦術も選手の起用もそれ以上に期待できないのが現実。このオフは人を動かす術を徹底的に勉強して欲しいですね。

    糸原、左目付近に当たったようなので今後に影響がないことを祈ります。

  4. 西田辺 より:

    今年は13年ぶりのリーグ優勝を!と誓い合った年にまさか17年ぶりの最下位
    がやって来るとは・・・。
    金本監督就任時、他の事はともかく選手を鼓舞するモチベーターとしての役割に
    大きく期待したのですが。
    外国人を始めとする打線の低迷とか、ストロングポイントであった投手陣が事の外
    振るわなかったとか、若手に成長が見られなかったとか、色んな要素はあったと
    思われますが、それにしてもこれだけ勝てないとは。
    何度も言いますが、決してチーム作りの方針は間違ってはいない。
    他所からかき集めて作るチームの限界を一番知っているのは、このチームだろうし。
    自前で育てて作り上げたチームが長期的に見て強いチームが出来る事も、昨今の流れを
    見ればハッキリしている。
    でも、今のチームにおいて何かが間違っているからこの状態にあるわけで、それを
    探し当て、修正する事が来年の開幕までの球団の仕事になる。
    思い描くチームにとって障壁となる要素や、人物にはお引取り願う。
    それは決して目先の目くらましや、誤魔化しであってはならない。
    この最下位は監督やチームだけのものであってはならない。
    球団側が「全て監督にお任せしてますので」と言うのは、逃げ以外の何物でもない。
    所詮雇われの身の監督に、長期的なビジョンが必要な編成までも全て任せるのは
    球団側の保身でしかない。
    GMなり球団を大所高所から見れるポストを設置して、チームと球団の両輪で
    進んで行かない事には、一輪走行ではどこかで反故が発生する。
    今、監督の首を切れば一時的な目くらましにはなるでしょう。
    まるでトカゲのシッポ切りのように。
    この成績の責任を監督のみに押し付けるのならば、潔く身を引くべきはオーナーや
    球団社長以下球団幹部でしょう。
    金儲けだけが球団の仕事じゃありませんよ。

  5. 虎轍 より:

    監督に任せてるが、その監督が「コーチの進言があったから」と言うてる矛盾…
    進言があったから監督が起用する。
    わからんでも無いが、それを選手の責任にしては駄目ですよ。
    練習では良かった?
    試合前の守備練習から拙いプレーをしてる選手を使って、試合が始まってエラーをしてる選手も居るで。
    調子が上がってきた時に怪我をする。雨で中止に。いろんな要素があるが、打順を変えすぎやろ?
    そんなに毎日毎日打順、守備を変えられたら選手のモチベーションも変わるよ。
    レギュラーが居ないから?若手がチャンスをモノに出来ないから?チャンスがピンチやから?
    もう最下位が決定して、今さら終わった事を言うつもりはあまり無いんで、今日はメッセンジャーに日米通算100勝を飾ってもらおう!
    原口には代打安打更新をしてもらおう!
    Gに引導を!
    ドラフト2巡目でええ選手を獲ろう!

  6. ジュビロタイガース より:

    もう試合結果には1ミリも触れないところが面白い。
    竹安は久しぶりでもナイスピッチング。球の速い若手が増えましたが、速さだけで勝負しないピッチャーも必要だし楽しみです。

  7. なかっち より:

    読売が若手を育てられないと言われてるが、阿部に始まり坂本、亀井、長野、小林、岡本とレギュラークラスはほとんど生え抜き。若手も少しずつ出てきてる。
    投手も菅野、沢村、田口等は全て生え抜き。他にもいるが名前がわからない(笑)
    昔でも松井、高橋など中心選手はほとんど生え抜きでした

    買収してるイメージが強いが、必ずしもそうではない。

    逆にタイガースは中心選手をよそ様からきた金本、新井、福留、糸井に任せすぎたツケが今来てる印象です。
    中心選手であったのは鳥谷だけ。その選手ですら、金本監督に干されました。

    読売を擁護するつもりはさらさらありませんが、タイガースとは根本が違いますね。

  8. hi64 より:

    真弓監督、和田監督に決定的に欠けていたのが、このモチベーターとしての能力です。
    3年前は、監督金本なら選手を鼓舞し、チームの力を一つに出来ると思いましたが、逆に、選手の失敗を非難し、萎縮させる言動ばかり。
    期待していただけに、心底失望しています。
    ただこの部分は、監督の心がけひとつでいつでも改善できること。
    最下位になっても続投するのは、ある意味、辞めるのよりもキツいかもしれません。
    監督としてのプライドも選手時代の実績も全てかなぐり捨てて、チームを一つにまとめて欲しい。
    人のせいにせず、謙虚に全身全霊をもって来季の指揮をとってほしいと思います。

  9. ばるにい より:

    トラオさんの御説ごもっともでありまして、反論の一片もないんですが・・・僕はどうしても気持ちの面で、金本留任を承服できかねているんです。大好きな選手だったのに、自分の中で「顔も見たくない嫌な奴」になりかけていて、それがどうにも哀しい。
    コマンダーとしてもマネージャーとしても能力の不足は明らかですよね。そのうえモチベーターとしても怪しくなっている現状を、彼はどうひっくり返すつもりなんでしょう?それ以上にエンターテイメントとして、阪神ファンのモチベーションをどうするつもりなんでしょう?
    コーチ陣「入れ替え」と聞いて、もうお先真っ暗です(。>﹏<。)