カネシゲ監督からの繋がりで知り合いになった山田隆道さんが、新作小説の本を送ってくれた。その名も「虎がにじんだ夕暮れ」。
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タテジマのカバー、黄色い帯には「”笑って泣ける”感涙必至のこれぞナニワ家族小説、ここに誕生」とある。なんてベタベタなんだろう。山田さんには悪いのだけど、この装幀とキャッチコピー、あからさまな虎ファン狙い打ち…あざとくないか?
冒頭の場面でもまだその印象を持っていた。いかにもな設定に、いかにもな情景…しかしこの先入観と決めつけは、読み進めるにつれて大きく裏切られ、ストーリーにどんどん惹き付けられていった。
舞台は大阪府吹田市、阪神が21年ぶりの優勝をする1985年から物語は始まる。小学校5年生の「僕」はここで大人になっていき、61歳の「じいちゃん」はここで老いていく。二十年近くにも渡る大河ドラマのすぐ脇を小川のせせらぎのように流れている暗黒時代の阪神タイガース。しかし少なくとも僕とじいちゃんの成長と老いは、阪神タイガースを中心に流れていくのだった。
読後に残るのは、一に「わかる。わかるよじいちゃん」、あふれる共感。そらそうよ。そらそうよ。
次に自分でも整理のつかない思いの数々。
・好きなものが好きなものとしてあり続けてくれることのありがたさ。
・だが、なぜ「あり続けるのか」を考えてみることは少ない。あり続けて当たり前のものがなくなってしまうこともあるのに。
・「好きでいるのが当たり前」、そんな人がいなくなった時、バランスは崩れ、世界は一変する。
・自分が今いる場所を疎ましく思い、遠い世界に憧れを見るけれど…。
・目端が利く少数の人が支配力を発揮し、それを迷うことなく是とするのが今の世の中だけど…。
・原始的で土着的な生き方に「本質」があるのかも知れない。
・阪神ファンは、そんなこんなの有象無象を、理屈ではなく感覚として現実として知っている可能性があるなぁ。
なんの偶然か阪神ファンになったことで、この物語を100%満喫できたことをありがたく思う。
さて作者の山田隆道さん、自分が好きなものを書くのは勇気が要ったと思う。自分と同じものを自分と同じように愛している、そんな人に向けて書くのは怖いことだ。同じ虎バカから見放されるのは辛く悲しいことだから。
読み終わってもう一度装幀を見る。帯を読む。書き出しを振り返る。このベタベタは「あざとい商売」なんかではなかった。自信の表出だった。作家山田隆道が勝負を賭けた、渾身のど真ん中のストレートだった。
四六判上製、税別1700円。第1版第1刷を愛蔵本として持っていていい本だ。
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・日本プロ野球最大のイベント、日本シリーズ中だというのにノータッチすまぬ。でもこの小説に夢中になってしまったのは事実だから。
・秋キャンプメンバー発表。公式よりコピペ。
【投手(13名)】
藤原、伊藤和、二神、秋山、小嶋、久保田、鶴、清原、松田、岩本、川?、白仁田、玉置
【捕手(5名)】
小宮山、清水、今成、中谷、橋本
【内野手(8名)】
大和、西田、坂、野原、黒瀬、荒木、森田、藤井宏
【外野手(6名)】
柴田、俊介、林、一二三、伊藤隼、田上
※参加選手はキャンプ中に変更される場合があります。
【日程】
11月1日(木)?11月19日(月)まで
休日 11月5日(月)、10日(金)、15日(木)
※雨天による変更あり
・阪神タイガースと村山実さんを敬愛していた藤本義一さんが亡くなった。合掌。
コメント
日本シリーズノータッチww
何だかダルビッシュにやたら気を使う工藤さんの解説や、統制のとれた美しい風船、満塁で味方がボール先行した時の観客の拍手、稲葉のヒーインをベンチで見つめる栗山監督などなかなか楽しめましたけど…!
「元祖虎キチ」みたいな藤本さんのご冥福をお祈りします。親に隠れて見ていた11PMを懐かしく思います。合掌。
私ん家のご近所にある谷町六丁目の隆祥館書店は、一見どこにでもある小さな町の本屋さんといった
佇まいなんですが、本好きの間では結構知られた本屋さん(露出の少ない百田尚樹さんもたしかここ
でサイン会してたような)でして、そこに著者がお越しになるというので、これは行かなくっちゃと
いそいそ出かけて買って、サインしてもらってきました。
著者の山田隆道さん、ラジオではちょくちょくお声は聞いてましたが、お会いするのは初めてだった
んですが、気さくな方でした。
なんでも50冊売るまで頑張るとおっしゃってたのを聞いて、いくらなんでもそれはちとキツイなあ
(私が買った時は3時を過ぎてて十数冊ほどでしたから)と心配してたんですが、閉店を待たずに
あっさり50冊売り切ったことを後から聞いてなによりでした。
サインいただく時、折角なんで「いわほーさんへ」と書いてもらったら、「え、いわほーさん・・・!?」
とまじまじと顔を見られたので、私も狭い世界ながらちょっとは知られた存在?(笑)
まあこちらのコメントかなんかで見覚えがあったんでしょうね。
本はまだこれから読むところなんですが、toraoさんの紹介文で俄然楽しみになってきました。
年を重ねてくと、いろんなところに先入観が立ちはだかって新し物を受け取る努力にブレーキかかっ
て仕方ないんですが、それらを払拭して受け取る感性だけは大切にしたいものです。
この本もあらぬ先入観ごときを難なく乗り越えてくれそうな雰囲気があります。
また読んだら感想文をどこかに書きたいな。
超久しぶりにコメントさせて頂きます。日本シリーズ、選手が痛む度に我先へとベンチを飛び出す栗山監督を見ていると、選手も安心して野球が出来ますよね。こういう場面一つ取ってもチャンピオンチームと五位では大差があるものですね。こちらのサイトで読んだベースボールオペレーションシステム。ウェブスポルティバにて日ハムの7%みたいな記事にて少し詳しく載ってますね。最高の指揮官に最高のスタッフ。ホントに眩しく見えますね。
藤本さんのご冥福をお祈りします。
わしの母親もチャキチャキの江戸っ子なのに
なぜか阪神ファンになり10月15日92歳であの世に逝きました。
メソメソした事が大嫌いでしたので出棺の際に六甲颪をかけ見送り柩には大好きだった村山のユニを入れました。
戦争も二度の大地震も体験した母が92歳まで生きられたのは阪神のお陰と感謝しております。
欲を言えばもう一度優勝する姿を見せたかったのですが・・・・