価値ある守備試合

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 冷たい雨の中という悪コンディションの下ではあったが、両球団にとってなんとかやりたいこの時期の1試合。


ケガだけ心配なんだけど、走塁で「左ひざ大腿骨骨挫傷」してしまった銀次郎も重傷でなくて良かった。
 ライオンズにしてみればオープン戦期間はあと1週間ほどなのだから、もう完全にペナントを意識したメンバー起用、戦術選択だ。選手たちの気の持ちようもずいぶんと違う。個人個人の力を見せること、あるいは慣れて調子を上げていくことが求められているタイガースの選手と、組まれたオーダーを機能させ、勝つことを求められるライオンズ。だから帆足、涌井、藤田(太陽ね)、星野の完全勝ち試合継投に計4安打完封リレーを食わされたのは寂しいけれど、まあしゃあない。むしろそういうチーム相手に安藤3回、能見3回、二神2回、久保田1回という継投で、3安打1失点に抑え込んだのは非常に大きい。
 安藤、久保田が同じような新球を投げていた。ガボっと深くわしづかみで握るチェンジアップ。直球の腕振りで球は走らず、手元に来てからシュートしながら沈む。両投手ともモノに出来ていた。ちゃんとした直球さえあれば非常に生きる球。快調な安藤はもとより、久保田も復調途上に入っている。1失点した能見もまったく問題ない。
 現在不調の波にいると言われていた二神も2回をきっちり抑えた。制球が良い投手だけに、いかに有効なボール球も配するか、組み立て方が重要な投手だ。だからこの日途中出場した小宮山は左右高低、ボールゾーンまで使う配球でとても良い仕事をしていた。ま、オープン戦&悪コンディションだから、審判(ストライクゾーン)の加勢も活用できていたってのもある。
 さらには7回の栗山の二盗を刺した送球の見事なこと。まったくムダのない動作から、地を這うような低い球筋、ワンバウンドだろうなと思ったがダイレクトにベースの角に届き、下の悪さもあったろうが俊足栗山の足を余裕で待った。
 今年のオープン戦、狩野、城島、小宮山と盗塁を刺したシーンを見た。3つとも捕球した場所に足がやってくる素晴らしい送球だ。偶然だろうとは思いながらも、これも城島効果なんじゃないだろうかとも思う。
 前日のサンスポに、吉田バッテリーコーチの言葉があった。
 「4人とかにすると他の野手陣(の数)が困る。城島に何かが起こったときにディフェンス面がどうなるか、だけどね。(3人は)もう決まっているでしょう」
現実的、常識的に考えれば、城島、矢野、狩野で決まりだと。実績、経験、打力、さらには投手陣に与える安心感や走力という個性。城島がフルイニング近く守るであろう捕手を、4人にとは言えないというバッテリーコーチの立場も当然だ。
 しかしその常識、現実は疑った方が良い。1試合で代打代走で使えるのは矢野、狩野の内の一人だけだ。特に矢野のヒジに不安があり、しかも卓越した打撃力を評価してベンチに入れるのであれば、ここ数年の桧山と同じように守備なしの代打矢野として考えるべき。そう決まりきった判断である必要はないと思う。
 その中で、小宮山だってその3人、4人の中の一人として十分役割を与えられる。「もう決まっているでしょう」から省かれるような選手ではないと私は思う。そしてそのコーチ発言の後、残り少ないチャンスでもう一度自分への注目を持ってきた小宮山、持ってる持ってる。
 雨、陽も傾き、薄暗くなってきた倉敷で、途中から気合とともに出て来た小宮山と大和が輝いて見えた。

コメント

  1. バースと藤川命 より:

    「決まっているでしょう」は今はまだいらんと思いますがね。モチベーション下がりますわ。
    何回も言ってるから愚痴らんときますか。
    ところで投手陣はコマがそろってきてますな。
    安藤が私の期待を裏切って、今年は本当に柱になるんちゃうかってPでしたし、能見もすばらしかった。1点とられたイニングは、ストレートを試してた感じで、結果は求めていないもの。事実次のイニングからは、チェンジアップを投げ出して完璧でしたね。一昨年まで、ノミの心臓だったのが遠い過去にみえますな。二神は山口コーチ曰く「調子が落ちている」らしいが、そんな感じなかったなあ。まあ本当にコントロールがいい。久保田はやっとストレートに力でてきたかな。でもあんなもんじゃないだろ君は。打線はやっぱり機動力がなくて、シーズン中もきのうみたいないい投手の時は苦労するんじゃないかな。驚いたのは、太陽が自信を持って笑顔満面のPしてたこと。あんな顔我社ではみたことなかったぞ。あらためて渡辺久信のマインドコントロール能力におどろかされる。
    早くレンタル移籍制度を作って、鶴あたりを西武に1年間あずけてみたいものである。

  2. ジジィ より:

    『投手王国』を予感させます!
    藤川俊の打撃も光りましたネェ。非力ながら、バットにボールを上手に乗せて身体の回転を最大限に使った打球は、意外に延びました。
    それから、9回の攻撃でノーアウトランナー2塁(俊足大和)を進められなかった坂は少し残念。才能ある選手だけに、何かきっかけを掴めばいいのですが…

  3. ワン虎 より:

    小宮山の成長が素晴らしいですね。
    盗ってから投げるまでの動作。送球は狩野よりも上と思います。
    配球でも外のスライダーを意識させて最後はストレート2連発。
    緩急が使えない二神を上手くリードしてたと思います。
    久保田は腹筋、背筋のキレが戻って来ました。

  4. バースと藤川命 より:

    ことキャッチャーの「控え枠」って視点で言えば、個人的には本当は岡崎を野口的扱いで育ててみたい。バッティングはCランクだけど、あの肩及び送球のすばやさは、現上チームNO2なんじゃなかろうか(城島の次)。まったく今年は彼の噂が聞こえてこない。自由枠選手だしもっと期待してもいいんだけどなあ。なぜか岡田、真弓と評価がいまいちっぽい。このままじゃ一世代とびこえて小宮山にとられちゃうぞがんばれ。事情はあるんだろうけど均等にチャンスあげて欲しいなあ

  5. 拉麺 より:

    小宮山は全く人が変わったみたいですね。
    強肩の捕手とクイックや牽制の上手い投手が多い阪神なので、盗塁阻止率とかすごいことなるかもしれませんね。

  6. torakkochiyo より:

    捕手8人って多すぎのような。。。
    せっかくいい素材の選手たちがいるのに、試合に出る機会が少なくなるのは勿体ないですね。
    一軍はほぼ城島選手がでるでしょうし、ファームも、ただでさえウェスタンは試合数が少ないのだから、各捕手の出場機会が限られてくる。
    原口選手に出番は回ってくるのだろうか。
    適切なコンバート等を考えないといけないのかと思います。

  7. 西田辺 より:

    吉田コーチの「他が困る」。
    何が困るのか分からない。
    元々一軍戦力は、勝ちをもぎ取るために必要な戦力の集合体。
    矢野や狩野の打、狩野の機動力凌ぐ選手がいれば、そこにはめ込むだけ。
    城島の万が一に備えるため、どちらかを使えない愚を犯すのを是とする方針なのでしょうか?
    狩野を代走で使えば、矢野が使えない。
    矢野を代打で使うために狩野がベンチ待機を強いられる。
    余りにも用兵としては感心しない。
    来るべきポスト城島争いが熱いですね。
    熱い競争は高いレベルを産み出すはず。
    小宮山の成長を見ていると、狩野だって余裕綽々とはいかないはず。
    思わぬ「城島効果」ですかね?

  8. より:

    安藤・能見両投手の仕上がりは上々のようですね。久保田も去年と比べれば大分マシですがまだふてぶてしさが弱い気もしますね。
    捕手が8人となると控えの矢野・狩野などをどのようにして試合で使うのか?矢野さんは代打専門になりますが狩野を控えにするのは勿体無い気もしますがここは狩野を外野に転向させ、小宮山を英才教育させて「ポスト城島・矢野」なったらいいのですが・・・。

  9. IvyStadium より:

    ちょっと「病み上がり」のような風情の久保田投手でしたが、ちょっとだけ安心しました。
    でも、あのズドーン!ストレートにはほど遠いですね。どっかから空気が抜けているに違いない。
    藤川俊は、背後霊の強そうな子ですね。なんとなく開幕一軍ゲットしてしまいそうですよ。面白い子だ。

  10. きだたろー より:

    今更ながらに矢野へのフォローは大丈夫だよね?と今日のエントリーと皆さんのコメントを読んで思いました。
    シーズンオフに起用法に不満な矢野がFAとかないよねと。
    年齢的にそれはないだろう…とかってタカをくくってるとかないよねと。
    選手のモチベーション管理下手な球団なので…不安です。

  11. イアン より:

    背後霊・・・・
    タイガース久々のワクワク新人、個人的にちょっとだけ縁がある子で、心のそこから応援したいです。
    安藤は痩せてきりっとしてるところからして、やってくれる感がビンビンですね。いや、本当に今年は先発計70勝位ははいけるんと違うかと思えてきます(マジ)

  12. BUCK-TORA より:

    昨日の雨は冷たくてキツかったでしょう。投手有利な状況だったとはいえ、今の安藤なら「開幕よろしく」って素直にお願いできますね。
    小宮山は若手野手で一番輝いてますね。
    元々、キャッチングやスローイングはお上手でしたし肩も強い。ポスト城島の最右翼充分狙えますよ!