後半戦の始まりに

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とかく今の世は「遠回り」が許されない。手元の小さな板で一番の近道を調べることができるし、なんなら安全に無駄なく愉快に進む方法まで手取り足取り教えてくれる。

それはひとつの例でしかないが、とかく「一般に良しとされる道」を、一直線に進むことばかりが推奨される。

しかし「一般に」って何だ? 「良し」としたのは誰で、それはいつの話だ? その「道」は進みたいところへ続いているのか? と、考えることもない。なぜそっちへ進むのかと考えることもなく、流れるプールに身を委ねる。

去年あれだけ「普通にやればいい」と言いつづけた岡田監督。今年は「違う」とは言っても「それでいい」とは言わなかった。どういう意図だったのか正確にはわからないが、現在の地位にそう長くいるつもりはないと明言しているのだから、それは自分がいなくなったあとを考えてのこと、つまり「教育」なのだろう。

教育。
「一般に良しとされる道を一直線で進む方法を教える」いつからかそうなってしまった。その傾向はどんどん先鋭化している。
しかし、先人の中には「教育とは死なない程度の失敗を経験させること」といった言葉を残した人もいる。目指すべきところへ向かう「道なき道」を切り拓く力を身に付けさせることこそ教育だと。当然そこには幾多の遠回りが含まれる。

目標に向かって一直線に進んでいたつもりが、越えられない壁にぶち当たる。自分のできることの限界を目の当たりにする。そこで新しい自分を獲得するためにもがく。もがいていると、今までできていたことまでできなくなる。動作を体得するときにはよくあることだ。

「後半戦は結果」と岡田監督は言った。それは「教育の時間は終わり」という宣言にも聞こえた。

失投を逃さないアグレッシブさを見せた輝明。相手の守備陣形を見てヒットゾーンを狙った大山。下半身の粘りでタイミングを合わせることができた森下。クリーンナップで全打点お見事だった。打たれながらも拙守がらみの1点に抑えた村上、鉄壁の救援を見せた石井、桐敷、ゲラはナイスピッチング。いいリスタートだった。

コメント

  1. 春日部市虎番地 より:

    昨日は現地観戦でした。
    初回無死2.3塁になった時は2失点覚悟してましたが、なんと無失点。
    その裏、ワンチャンスをモノに出来たタイガース。
    普通なら優勢に試合を運べるハズが、とにかく劣勢。。
    ハラハラドキドキが止まりませんでしたが、森下の1発でその空気は一変しました。
    素晴らしいホームランでした!
    そして石井、桐敷が流れを相手に戻さず、ナイスなゲームでした!

    毎年1〜2.試合の甲子園観戦ですが、本当に本当に良い球場だと訪れるたびに感動します。
    そんな甲子園の100周年!秋に最高の形で祝いたいと心から願った夜でした!

  2. とらかっぱ より:

    「教育の時間は終わり」そういう季節になったんですね。前半戦で多くの失敗、回り道をしながら種を撒いて水をやってきたと思います。枯らす事なくキレイな花を咲かせたいですね。

    輝明、大山はクリーンアップの仕事を見事にやってのけた。初回に乗り遅れた森下は息の根を止める彼らしい一撃を放った。今日は近本中野がやった欲しい。

    滅多に見ない村上劇場でしたがよく踏ん張った。個人的借金返済まであと3つ。

    いい後半戦のスタートでした。

  3. 虎ジジィ より:

    ものすごく深いコラムで勉強になります。

    先発の村上は6回1失点ながら二回以外は毎回得点圏に走者を背負い、今季自己ワースト11安打を浴びた。逆に言えば不調ながら要所を締めた味のあるピッチングとも言えるかも知れません。

    打線は苦手 小笠原に苦しむ事が予想されましたが、苦手投手だからこそ初回から送りバントを使い成功。
    そして7回のダメ押しもピンチバンター長坂が、相手が100%バントシフトの中 初球で決めたのが森下のスリーランに繋がった感じがしました。

    あとは継投のタイミングもバッチリ。
    後半戦の初戦という事で4点差になっても桐敷やゲラを出し惜しみせず勝利に徹したのは良い采配だったと思います。

    後半戦、内容などどうでもいいのでとにかく「勝利」の時期、前半戦に教育を徹底した岡田監督の作戦が実る事を祈ります。

  4. 虎轍 より:

    村上の粘投に尽きますね。
    初回無死2.3塁を無失点で切り抜けたのもですが、無死満塁も抑えてくれましたからね。
    安打は打たれてましたが、要所を締めるナイスピッチングでしたね。GJ
    佐藤輝明もきっちり仕留めてナイス先制タイムリーでしたし、大山の打球でホームまでナイスランでしたね。
    森下はええとこで打てて良かったね。これからも頼むで!
    今日も大竹でしっかりと勝ちたいですね。
    ガンバレ!タイガース!
    頑張ろう日本!

  5. 星の輝き より:

    トラオさんの禅問答みたいなコラムは好きだなぁw
    一度読んだだけでは表層の意味しか分からなくて、二度三度読み重ねていくうちにとじわじわとその真意がにじみ出てくる。

    私はそこにもう一つ「寛容の精神」の必要性を加えたい気がします。
    事象や事件の結果に対して、その原因や成り立ちを考慮に入れないでストレートに断じてしまう今の世の中の息苦しさを皆がどう思っているのか?
    いずれ自分の身の上にも降りかかる可能性がある無邪気で清らかな「正義」が果たして世の中を良くしているのだろうか?と最近とみに思うのです。
    年を取ると、~~すべきだとか、~~しなければならないとか、あまり自信をもって言えなくなってきました。

    「正義」の対極にあるのは「別の正義」

    分かり合うこと許し合うこと、全てはそこから始まるし、そこに収まる気がします。

  6. 西田辺 より:

    前半戦、防御率や投球内容にそぐわない3勝7敗という結果に村上は
    何を思ったのだろう。
    確かに今年、初回の失点が多く打線の援護が得られずマウンドを降りる
    展開が多かった。
    昨日も勝ち投手になったとはいえ、6回96球で被安打11という数字
    にも表れるように、追い込んでから甘く入った所を痛打されている。
    よくこれで1失点で収まったな、と変に感心しますが。
    打線は今年全く打ててなかった小笠原から初回、佐藤輝・大山が連続
    タイムリーで2点先制。
    7回には悩める中軸、森下が久しぶりに彼らしいフルスイングでレフト
    に3ランを放り込む。
    昨日と打点は全てクリーンアップに付くという理想的な野球。
    これで貯金2で、わずかながら3位浮上。

    今回の岡田政権を見ていると、選手に対しては勿論なんだけど、コーチたち
    に対しての教育に力を入れているように思えます。
    ポスト岡田が誰になるのかは球団の判断ですけど、今のコーチ陣に対し
    現戦力での勝ち方を伝授して、来年以降どういう体制になろうとも強さを
    維持できるように腐心しているのではないでしょうか。
    岡田監督のマスコミへのコメントには、コーチの話題がよく出ます。
    監督の意識の中では、チームを強くするためにはコーチの力が不可欠と言う
    考えが大きいのでしょう。

    さぁ、結果最優先を宣言した後半。
    監督・コーチ・選手がガッチリとスクラムを組んで、ぺナントレースを
    突き進んで欲しいですね。

  7. 黄金バッテリー より:

    遠回りと言えば、高橋遙人選手と一緒に
    佐藤蓮、川原投手も育成から支配下に登録されました。

    佐藤蓮選手は球は速いがノーコン、川原選手は怪我で、苦労しましたが、長い育成期間の努力が実って、それぞれ、戦力化しました。

    高橋選手はもちろんのこと、この2人の一軍での活躍を楽しみにしています。

    • 黄金バッテリー より:

      リンクです。https://www.sanspo.com/article/20240727-ZYYXQEO4KNJWXDDKHNBBRAXEVE/?utm_medium=app&utm_source=smartnews&utm_campaign=ios

  8. 岩修 より:

    遠回りでもタイガース18年ぶりVに涙、涙だった。
    昨夜は村上の粘投にテルに大山。そして月に向かってフルスイング森下。石井、桐敷、ゲラの完璧リリーフで完勝。
    朝は難病と闘いながら雨のエッフェル塔で「愛の讃歌」を完璧熱唱のセリーヌディオンに涙、涙。
    オリンピックでの歌唱は30年ぶり。
    その時よりずっと歌声は深く味わい深かった。
    遠回りでも長い年月で熟成された阪神タイガース。
    春日部市虎番地さんに続きタクローさんが聖地参戦。今夜も絶対勝って六甲おろしが聴きたい。

    • 岩修 より:

      すいません、セリーヌディオンは28年ぶりの間違いででした。
      4年周期で30年はありえません。ったく遠回りしてもうっかりは直りそうも無いのが悲しい…

  9. Akira28 より:

    森下の当たりは打った瞬間でしたね。
    実に天晴れでした。
    失点の元凶になった中田の打球をエラーした時は、またやらかしたと思いましたが、後半戦には欠かせない選手です。
    失敗して成長する。
    まさに今日のtorao さんのコラムそのものの選手です。
    そういえばあれだけやらかしていた植田もこのところ、素晴らしい成長を見せています。
    タイガースは選手補強よりも育成路線ですが、最近の岡田監督のコメントを聞いていると、選手のみならずコーチ陣の成長・育成、自主性を求めた前半戦だったように思える私です。

  10. タクロー より:

    結果にこだわれ 勝ちにゆけ
     アレンパするにはチーム力を上げなきゃいけない。18年ぶりのアレをフロックだったんだ、と言わせないためにも、今まで89年チームが成し得なかったアレンパをしなきゃならない。若いメンバーだから伸び代はある。外からの力注入などいらない。個々の選手が1段階、2段階上がればチーム力は高まる、はずだ。はずだった。
     思い描いたようにいかないのが世の常。相手があることだし、昨季の続きのようにはいかなかった前半戦。攻撃陣はソコがどこなのか、下り坂がどこまで続くのかわからぬくらい誰も彼もが路頭に迷い込んだ。振い落としの勝負の8月は、もうすぐそこだ。後半戦、勝ち切ること、負けないこと、結果がすべてだ。

     よく打たれた村上。2桁安打されても何とか1点で踏ん張った。6回まで投げ切った。よく走った近本。前進守備の網をかいくぐって先制点。安打はなくとも塁に出てあとにつなぐ。よく打った、輝明。よく続いた大山。中軸が打点を上げれば一層盛り上がる。待っていた森下。ホームランを打った時のフォームの美しいこと。送りバントもしっかり決めた中野に長坂。
     後半戦のスタートは上々。さあ、今夜もそれぞれがやるべき仕事をして、勝ちにゆこう!