◇5月4日(祝)阪神?巨人6回戦(巨人4勝1敗1分、18時、甲子園、46434人)
巨 人 000 000 000?0
阪 神 002 031 00×?6
【巨人】●内海(0勝3敗) 西村健 オビスポ 古川 M・中村
【阪神】○下柳(2勝2敗) 江草 アッチソン 筒井
この日のヒーローはインタビューに登場した下柳だろう。ピンチでも良く粘って、簡単にイチかバチかをしなかった。勝ててない内海に援護を、と焦るG打線の心理を巧みに利用するような素晴らしい投球だった。
あるいは2本のタイムリー二塁打を放った金本もお立ち台に値する働きだった。勝負がかかった瞬間、体の不調も忘れ、集中力だけでヒットにした。
でもとにかく私の印象に残っていて、この試合を勝利に導いたのは、鳥谷の三塁打だったと確信する。だってそうだろう。いくら細心の投球を続けていても、いくらコツコツと加点しても、どこからでも飛び出す3ランHR一発で粉砕されてしまうのだ。それに勝つためには、勇気を奮い立たせ、勢いをつけて、打てるもんなら打ってみろ、打たれたら打ち返せばいいじゃないか、そういう気運を持ってくるしかない。それがあれば、そう簡単にHRなんて打たれるもんじゃないし、意外と簡単に点が取れるもんなんだから。
ただ鳥谷の三塁打は象徴的なシーンであって、勝因は「手を抜かない全力疾走」がチームとして意思統一されていて、それがチームに勢いを生んだということ。調子が悪いから投げても打っても結果が出ずに負け続けている。そういう時にやるべきこと、やれること、それはできることを精一杯やり続けること。集中して、ほんの少しのチャンスを逃さずに、躊躇なく全力疾走すること。
先制点は3回ウラ。一死からエラー出塁赤星を一塁に置いて、関本が走者への警戒を利用しながらカウントを整える。2?3で赤星スタート、クロスファイアをしぶとく左前に転がして赤星一気に三塁へ。鳥谷がどういう狙いで打席にいたか、ぜひ聞いてみたいところだが、結果は追い込まれてからの高めを転がして遊ゴロ、これが併殺崩れとなって1点先制。送球に勢いが乗りにくい6?4?3なら一塁セーフの可能性が高い。全力疾走で一塁に生きた鳥谷、続く金本の打席、誘ってきたスライダーがワンバウンドになり捕手が小さく弾いたスキを衝いて二塁を奪う(記録は盗塁)。金本の詰まった打球が右中間に落ちて生還。この時金本も「思うところあり」という風な全力疾走で二塁を獲っていた。チームとしての意思統一を感じた。
しかしたったの2?0。何と言っても負けっ放しのGが相手。ましてや藤川が離脱している状況では、そんなリードはリードとも思えない。球場全体が、テレビ、ラジオを含め、この試合と時を共有するすべての者が、まだこんな2点じゃ試合の行方はまったくわからないと思っている。
そんな空気をガラっと変えて、タイガースに勢いを与え、試合の流れを制圧したのが鳥谷の三塁打だった。5回ウラ二死走者なし。外角高めのスライダーを上から被せて弾き返すと打球は大きく開いた左中間を突破、あっという間にフェンスに達する。全力疾走の鳥谷、躊躇なく二塁を蹴って三塁へ、最後は思いっきりダイブ、ガッツ溢れるヘッドスライディングで三塁セーフ!これ!これなんだよ!この疾走が、精神を揺すぶって、パワーを生み出して来るんだよ。左中間三塁打ほど、そのパワーの誕生と成長を感じさせる打球はない。打つ、抜ける、走る、走る、走る、滑る、セーフ!球場が燃える。金本が燃える。新井が燃える。桜井が燃える。
金本も躊躇なく三塁を回り、内海をKOし、ちょっとしたバッテリーエラーで新井も二塁を奪い1ヒットで二塁から帰る(スライディングのひどさは相変わらずだけどw)。正に鳥谷が作り出した連打と疾走だった。
その後はバットの振りも力強く6回にも1点加え、投手陣も気迫をもって攻めていた。特に9回を担当した筒井、6点差といっても完封リレーのクロージングという重要な役目、よう頑張った。江草かと見まがうような投げっぷりの良さ。追い込んでから慎重だったのも好感を持って見ていた。良く頑張って3三振を決めた。確実に大きくレベルアップした。次はもっと痺れる場面で使って良いよ。
さて過去のことは反省はすれど振り返らず、未来に向かって躊躇なく全力疾走。鳥谷が先頭切って、風切って、突っ走って行って欲しい。
コメント
負けて悔しいときも勝って有頂天のときもこのトラオさんのブログで慰められたり、勇気を頂いたり、今更申し上げるまでもなく昨日の鳥谷選手のヘッスラのようにグイグイ私の心に迫ってくるこの迫力!!本当に素晴しいタイガース愛に満ち溢れた表現力、もう脱帽しかありません。
タイガースの選手もこのブログで元気をもらい、頑張ってくれたらと祈る気持ちです。
今季初コメントです
遅ればせながら
今 金本知憲著 「覚悟のすすめ」を読んでおりました
その中で鳥谷選手の走塁のまずさに激怒したこと
その後鳥谷選手が走塁に興味を覚え
ぼくはいままで何をやっていたのだろうと思います
走ることに対する意識なんて全然なかった
いますごく楽しいです
と言っていたこと
これを読んで
先日の広島戦でのサヨナラ劇
金本が 鳥谷ならホームに還ってくれると思っていたと言っていたこと
そしてそして昨日の三塁までの走り!!
もう胸がいっぱいになりました
今日からも素敵なプレーを見せてほしいです!!
デビューして暫くは無気力と揶揄されるほど、感情が表に出てこない鳥谷。
しかし、去年辺りから絶好の場面で凡退すれば唇を噛んで悔しがり、得点を挙げれば高揚した表情を表すようになってきた。
昨日の3塁打の時のヘッドスライディングの写真がWebに上がってましたが、葛城ばりに「うおおおおおお」と雄叫びながら
飛び込んでいるように見えました。
相変わらずインタビューなんかは「そぉ?っすねぇ(棒)」と素っ気無いですが(笑)
これだけプレーの中に喜怒哀楽の表情を垣間見せるようになったのは、チームの中での自分の立ち位置が自覚できてる
証拠でしょう。
自分のプレー一つ一つが勝敗へ直結する度合いが年々高くなるのを感じてるのでしょう。
「次代の虎のリーダー」が段々形になって来たのかも知れません。
理屈抜きで嬉しい!うれしい!ウレシイ!
たかが1勝、されど1勝。
toraoさんの描写のすばらしさはいつもながらですが、鳥谷の3ベースからの4連打は、先日の横浜戦の9回2死からの5連打逆転サヨナラにも匹敵する"今季思い出のシーン"です。こういう場面が多くなれば、結果は当然付いて来るのですが・・
筒井に、びっくりしました。最後の寺内を三振に取ったボールは、素晴らしかった。
チェンジアップも自分のものにした感じだし
あとは、修羅場の経験ですね。
先輩の江草だって、頭角を現した2005年に、押し出しのフォアボールを出した時も、ありました。
その翌日、岡田監督は、また江草使って抑えてから
今の江草が、あります。
辛抱強く、筒井を使ってほしい。
筒井は、それに応えるボールは、持っていますね。
>勝ててない内海に援護を、と焦るG打線の心理を巧みに・・・
まさに「打たなきゃ」っていう打者にはシモさんですね。ライト外野から見てても同じようなハーフスイングストライクが多かったように見えました。ランナー背負ってもギリ抜けるのはシモさんワールド。
鳥谷は走る姿がかっこよかったですね。あの姿をよく知る人にしてみれば「もっと走塁に高い意識を持て」と言いたくなるのも判るというものです。
それにしても筒井はビックリです。これまでの心身ともに縮こまっていた印象がガラリと変わりました。クリキントン飛雄馬のご意見に私も賛成です。
「抑える経験」こそが若手投手の何よりの財産だと思います。昨日のGの外国人投手も球は素晴らしいのに簡単にはじき返されるパターンの見本のようでしたが、逆にここのところの筒井は「ここまでは大丈夫」とか「こうすれば上手くいくはず」と言う勘所を掴んだような印象を受けます。その上で、更なる打たれる経験と抑える経験を積んでいくことができれば待望の「頼れる左腕」が得られるのではないでしょうか。
小田嶋起用に救われました。調子がいくら悪かろうがスンちゃんはガッツやラミ以上に怖いです。イガー君なんかHR率五割くらい打たれてる印象あるからな?。
筒井、ちょっと変わってきましたね。同期の鳥谷に続いて飛躍の年になりそうです。
二軍は絶好調で今日から甲子園で対広島三連戦。いずれもCS放送があり楽しみです。
岩田先発、林先制2点タイムリー!
ほんと鳥谷の激走3塁打はチームを鼓舞しましたね。
正直最近、ひとつでも先の塁目指した積極走塁してるのは赤星と鳥谷ぐらいで、他の打者に対しては「最初から狙ってスタート切ってたらもうひとつ行けただろ・・・」と思う場面が時々ありました。
なので昨日の鳥谷の必死のヘッスラによって、他の野手が我にかえったというか、士気が高まった感じがします。
昨日の打のヒーローは間違いなく鳥谷だと思います。
天性の才能や、外的要因に左右されることなく、常に実行可能な全力疾走。
攻守交代時も含めて、チーム全員で、シーズン通して実行してほしいです。
鳥谷の闘志剥き出しのあの走塁とヘッドスライディングが他の選手たちを鼓舞し火を点けたのはその通りだと思うし、本当に良かったと思います。
でも赤星なんて毎試合で選手を鼓舞するようなプレーを見せてくれてるのに、何で他の選手たちに火が点かないんだろう?とも思います(笑)
もちろん偶々なんだと思うんですけど…。