この連敗が始まる前、打線は良い感じだった。あの試合も早々にカープ先発長谷川を攻略したんだった。
そこでフェルナンデスが出てきてから流れが変わってしまった。だからなんとしてもフェルナンデスを引きずり降ろさなきゃいけなかった。
何も普通に打たなくたって良い。弱点は、四球、守備のフットワーク、下半身のスタミナ、走者を出してからの暴投やパスボール、盗塁。自滅が期待できないのなら、ただ打ちに行って術中にはまるのは愚の愚。私が監督なら、１番から９番まで全員に１球ごとセーフティバントの構えをさせ、ストライクの球だけを１塁線上ぎりぎりファールになるくらいにバントさせる。とにかくマウンドから駆け降ろさせ、打球を負わせ、ベースカバーに走らせ、マウンド上でふうふういわせる。ファールで１ストライク取られても、もう一度同じことをやらせる。さらにスリーバントでも投前にバントさせる。１巡終わる頃には何点か入ってるような気がするし、その後２巡目からは強打を交えても良い。相手が自滅するなり、球に目が慣れるなり、相手の守備位置がおかしくなったり、何かしら事態が変わってくるだろう。打てない球を打ったって打てないし、打てたところで次に繋がるわけでもない。
先発福原が序盤で３点を失う。継投も渡辺・江草で失敗し、６回表終わって０?７。超満員の甲子園はすでに絶望的な空気。しかし６回ウラ先頭赤星がフェルナンデスのナックルをファールで逃げて、最後焦れた直球を二塁打して、かすかな希望。しかしシーツの平凡すぎる左飛でまた絶望的な気分、しかし「金本なら」という願望に近い希望の中四球で繋ぎ、パスボールもあって一死二三塁。しかし今岡の何の役にも立たない左飛でまたも絶望。しかし二死二三塁で林。この今岡から林へと向かう時に感じる、地獄で天使に会うような感覚は何なんだろう。ここで林が流れを変える２点タイムリー。さらにパスボールを挟んで矢野が「林リズム」に乗ったタイムリー。バックアップに走ったフェルナンデスふくらはぎを痛めて交代、広池。ここで藤本に代えて狩野。３?７二死一塁、ここで狩野に代打ＨＲが出ればなぁ２点差になって、ぐっと勢いがついて…と都合の良い希望を脳内に展開していると、カーン行ったー！まばゆい光を放ちながら打球がレフトスタンドに吸い込まれる。本当に打った。なんだかスゴイものを見た気がした。
勇気が湧いて、希望が満ちた７回表、その光が眩しすぎたばかりに、次に来た絶望の闇は深すぎた。２点ビハインド、ここで久保田を使うことにもはや異存はない。しかし先頭新井を直球で２?０と追い込んで、さらに直球のファールの後、３つ続けたスライダー、最後は上手く下半身でタイミングを合わせられ、まさかのレフトオーバー。打った新井は凄い。だがここは久保田が凄いものを見せなきゃいけない場面だった。それは打たれるかどうかとは関係なく、この試合絶対に負けないという気迫のこもった直球。待たれていてもフェンスまでは持って行かせない直球だったと思う。
失意の久保田。ここでようやく気迫の直球を投げ始める。悔しいんだよな。しかし前田に技ありのセンター前。久保田のグラブをかすめたが仕方ない。森笠はセンターへ、嶋はセカンドへ、いずれもライナー性の打球を合わせられるが、ボールの勢いが押し込んでいる分野手が捕れた。二死一塁。石原の打球は三遊間、打球のコースとしては、絶妙な三遊間だったのかも知れない。しかし今岡の追い方、反応の悪さ、フットワークの無様さが、その打球をヒットだと認めることを私に拒絶させた。ここしばらくの今岡の反応、フットワークは去年のままだ。守備で足腰を鍛えたというオフの成果はどこへ行った…新井の一発は仕方ない、しかしこのヒットで今また私は闇に支配されていた。二死一二塁、代打尾形、最後インロースライダーは惜しかったが、結局「弱気サイド」に外れて四球。闇の力が久保田の指先にも働いたような気がした。
二死満塁で梵。久保田は渾身の直球を投げ続けた。それで良いと思った。矢野もようやく開き直ったようだった。２?２からの７球目直球、まん中寄りに入る。右中間に弾き返されるが、押し返している、赤星追う、赤星追う、捕れる…全速力で交互する赤星の両足、普段なら躊躇無く一直線に落下点に向かうのに、ほんの一瞬緩み、ほんのわずかに弧を描くように膨らみ、そしてダイブ。短く芝でバウンドしたボールが赤星のグラブに当たり体の下を転がった。赤星はそのボールをやっとのことで拾い上げ、近くまで追ってきた林にトス。返球。塁上を走る走者たち。プレーが終わった後も、赤星はその後うずくまったままだった。
ほんの一瞬の出来事だったが、赤星にとっては永遠に感じたかも知れない。痛みと痺れで赤星を苦しめる頸椎椎間板ヘルニア、生死の危険を伴う手術以外に決定的な治療法もなく、悪くすれば歩行にも困難をきたしかねない病。もはやこの病とともにプロ野球選手としての生活をしていくのだと決心した時から、常にこの瞬間が来たらどうするのか、その選択を迫られていたと思う。同じダイビングでも十分な受け身が取れる時と、ギリギリ精一杯の時とでは体に与える衝撃が違う。ボールを追う間、赤星が何を考えていたのだろう。それがあの一瞬のふくらみであり、そしてその後のダイビングだったのだと思う。
まともに歩けないような状態のまま、担がれながら赤星が退場した。私の心は真っ暗闇になった。連敗なんてどうだって良い。借金なんて増えたってかまいやしない。
どうかまたダイヤモンドを、芝生の上をトップスピードで駆けめぐる赤星が戻って来てくれるように。それだけを願っている。
コメント
まるでジェットコースターに乗っているみたいなＴＶ試合観戦でした。
情けなくって悲しいばかりです。
負傷で途中退場になった選手会長のために勝利を報告･･･なんて考えはベンチになかったのでしょうか？
何連敗するより赤星の事の方が心配ですよね皆さん！
できるだけの軽症を祈っています。
現場でした。イエローだったので梵の打球の軌道がよく見えました。
toraoさんのおっしゃる通り、詰まってたんですよ。
その分、赤星が思ったより来ない打球にアジャストしたように見えました。
あそこでトップスピードからボールにアジャスト出来る赤星に鳥肌が立ち、
うずくまった後は別の鳥肌が立ちました。
前回、フェルナンデス対策について広沢コーチがブログで
「ナックルに対策立てようがない」と
書いていて、実は俺、すんげーキレてました。
メジャーで恐ろしい実績を残してるわけでもなく
これまでも崩され、打たれたことが多くあるはずなのに
そのビデオすら見ずに、あるいは見た上で
「対策がない」なんて言うのならコーチ失格でしょう？
選手を信頼するっていうのは、進むべき道を示し、やるべきことを伝えれば
必ずそのようにやってくれるという信頼であるべきです
現場で伝わってくる選手のイライラが悲しかったけど、
逆にそれを見ながら、「コツン」って言う底打った音が聞こえた気もしました
だって、イライラの次には開き直りが来るはずやもんね！
怪我は、やだなぁ。
頚椎を痛めてる己が体の状態と、ダイビングをせざるを
得なかったチーム状況。
連敗中じゃなかったら、或いは無理をしなかったかも、
とか色んな事を考えてしまう。
今岡もそうだけど、特に守備面の消極性が目につきますね。
慎重にいかないと、と思ってのプレーかも知れないけど、
逆に１歩目を遅らせてしまっている。
６連敗中の失点は４２（平均７失点）。
先発にしろ、中継ぎにしろ、投手陣の踏ん張り
がないと、連敗脱出など有り得ないでしょう。
って言うかシーズンすら、こんな状態じゃ戦えないです。
さあ全員の打順変更して気分変えてみようか。
１ 中 52 赤松真人
２ 一 4 シーツ
３ 左 6 金本知憲 L
４ 右 31 林威助 L
５ 捕 99 狩野恵輔
６ 遊 1 鳥谷敬 L
７ 三 7 今岡誠
８ 投 36 ボーグルソン
９ 二 9 藤本敦士 L
最近 矢野のリードと肩に…..
ＧＷにこんな事言い出したらちょっとヤバイ。
昨シーズン以来、久々にコメントを書かせていただきます。
あ、でもいつも楽しく拝見させていただいてました☆
＞どうかまたダイヤモンドを、芝生の上をトップスピードで駆けめぐる赤星が戻って来てくれるように。
とにかくとにかく私も同じ思いです。
赤星がいない阪神なんて、私の中では考えられない。
どうかまた、あのあり得ないスピードで観客を魅了する赤星が見られますように。
私も祈ってます。
打線はそれなりに点は取っている
投手陣が踏ん張れてないだけ
ではいけない気がします
やはり今の得点はもらっている感が強く
ここぞという場面では点が1点も入っていない気がします。
これが投手陣にも悪影響を及ぼしていると思います。
最近クリーンナップを少しでもいいからいじってほしいという意見が目立ちますが
ここを見ている人はどう思っているんですかね
機会があったらアンケート等とってもらえると
うれしいです
昨日、お宮さんにお参りに行きました。
境内に車椅子に乗った子がいました。
赤い小さい車椅子でした。
楽しそうに出店を覗いていました。
お宮さんで手を合わせていました。
アイスを食べていました。
弟と遊んでいました。
その時は赤星の事は知りませんでした。
でも、祈りました。
負けたっていい。優勝しなくてもいい。選手の笑顔が見たいです。。と
ここんとこ同じパターンの負けばかりで、ちょっとは頭使えって言いたくなりますね。
もちろんまずは先発陣がもうちょっと踏ん張ることが重要。
打線もクリンナップが、シーツ２１の１、金本２０の３、今岡２３の２（前回のフェルナンデスとの対戦以降） ってやっぱり少し入れ替え必要ではと思います。
赤星の怪我は本当に痛いですが、例えば林センター、狩野ライトって考え無謀ですかね？？
（守備のリスク高すぎ、檜山も戻ってきてるやんという声も承知の上ですが….）
藤川が見たい
初めて書かせていただきます。
赤星の怪我、本当に残念です。
せめて、チームの「渇」になればと願います。
今季の低迷の原因は、シーツ、今岡の好機での凡打にあると思います。
あまりにも打点が少なすぎですよね。
今岡は、それなりに率は整えていますけど、シーツは絶不調です。
ファーストに林を入れて、ライトに狩野、桧山を入れてみたらどうかと思います。
この辺で、喜田、桜井あたりがデビューしてくれるのにも期待したいです。
今こそ、今季の阪神の層の厚さを発揮してほしいところです。