遥人の不動、大山の情動

ヤンハービス・ソラーテ(32)との契約を締結(公式)
スイッチヒッターで、二遊間や外野も守れるという内野手だが、さてどう使うのか。
まずは現状の打線の中で「ややマシ」の範疇に入るマルテをどうするのか。ラインアップに外国人打者2人にするのか、それともあくまでもマルテとソラーテ(本当はもうひとり二軍にいるんだけど)は競争とするのか。
ひとりだけ使うとしたら、もうひとりは二軍なのか代打なのか。
枠としては実際のところPJ、ドリスは確定なので、ガルシア、マルテ、ソラーテから2人をどうやって使っていくのか。出場は7月末くらいになるようだから、それまでにマルテとガルシアがどうなっているかで決まるのだろうね。今と変わらない状況だったらどうだろう……なかなか悩ましい。ガルシアの代わりに若手投手をはめるのはいいけれど、マルテとソラーテを併存させる守備位置というのも決めがたい。もう普通に「マルテかソラーテのどっちか」がいいかもね。

試合は髙橋遥人と床田、両左腕の素晴らしい投手戦になり、スイスイスイっと昭和を思い出させる2時間29分の短時間試合。ともに待球しても自分が苦しくなるだけと思わせるのに十分な精度、変化球のキレだった。

チャンスっぽいところといえば、阪神が初回無死一二塁で糸井(二併)、二死三塁で大山(三振)のところと、5回無死一塁(高山凡飛、木浪一併)のところくらい。広島は3回先頭の床田が四球(野間遊併)のところくらい。いずれも併殺絡みで終わっている。

登板日は無援護が前提条件で、なおかつ必ず野手がエラーで足を引っ張るという苦行を強いられてきた髙橋遥人。この日も相変わらずの無援護だったが、ひどい守備はなく、ついに勝利に恵まれた。登板試合ほとんど勝っていてもおかしくないというのは西も同じだが、西以上にかわいそうだった遥人が「かろうじて」報われてよかった。

遥人は、この日もまったく変わらない。
投げっぷりの良さの裏にあるものは、「何も考えてない」ではないかとさえ思ってしまう。もちろん、状況判断とかサインや攻め方の理解はあるだろう。そういうことではなく、こうなったらいいなとか、ああなったらイヤだなといった、感情に根ざした状況の見方、もしくは「感情の揺れ」というのがないのではないかと思えてくる。だから、動揺しないし、大きく崩れない。それはある方向から見れば、何かが欠如しているようでもあるが、マウンド上ではとてつもない投手精神の完成に寄与している。
ゾーンに入ったときの躍動感あふれるフォームや、右打者へのクロスファイヤーは、同じ背番号である井川の全盛期をを思わせた。しかし、安易に型にはめてほしくはない。低めストレートの制球力と伸びという最大の武器を、もっとも活かせるスタイルを完成させていってほしい。
プロ最長8回零封。ナイスピッチング遥人!

得点シーンは7回ウラ、その前の守りで鈴木、松山、會澤というイヤなところを遥人がササっと片付けて、風船が気持ちよくぴゃーっと上がったあとだった。
先頭糸井が中前打で出て、打席に4番大山。ここで矢野監督が今季初めて大山にバントのサインを出した。完全に1点勝負の展開となり、ずっと好投が報われない遥人にどうしても勝たせたいという気持ちだったのだろう。
しかし大山は決められず、変化球二つをファウルにし、あっさり追い込まれる。
こういう場面、今まで何度見てきたことか。実際はこのあと凡退してチームの敗因となったケースも数知れずあるのだろうが、どちらかというとこのあと形勢逆転となる一打が出た記憶のほうが不思議と多い。そんなことはないと思いながら、わざとバント失敗したんじゃなかろうかと勘ぐりたくなるときもある。
大山は真面目だからそんなことはなかろう。だけど、バントのサインを出されたこと自体が悔しかったとは吐露しているようだ。期待が大きい打者ならば、ここでバントなどというサインは出ない。「大山でゲッツーならしゃあない」とは思ってもらえていないし、多くの人の脳裏に弱々しいフライが上がる幻影しか見えてこないのは大山自身の不徳。

2ストライクと追い込まれてから、冷静にボールを見極めてフルカウントに持ち込む。集中力が高まっている。
これで糸井がスタートを切れば、ゴロならバントと同じ結果。しかし、大山の頭の中にそういう考え方はなかったようだ。6球目、インハイに食い込んでくる床田の得意球シュートに対して、体を開きながらヘッドの返しを遅らせる見事な打撃で打ち返す。打った瞬間に左中間を破るのがわかる打球に、糸井は減速することなく長駆生還した。

配球への頭の整理ができていて、一発で仕留めてやろうと冷静に対応した。これまでの大山の打席内容とはまったく違う、意図を感じさせるものだった。

大山の中には何か理想の4番像があるのかもしれない。4番とはこうあらねばならないという確たる考えがあり、そのために自分を縛った中で打席を重ねているようにさえ映る。良くても悪くても言い訳せず、自分を信じてひたすらに続ける。そこが大山のいいところでもあり、理解してもらえないところでもある。
矢野監督はそんな大山の成長を信じて背中を押し続けてきた。その気持ちに微塵の変化もないだろう。しかし、どうしてもなんとかしてあげたい遥人という存在との兼ね合いの中で、「お前は特別だが、お前だけが特別なのではない」という選択をした。大山にとってはその理屈を冷静に認める一方、感情としては認められない部分があったはずだ。
なぜバントがファウルになるのか、それはまったく説明できない(もちろん下手だからというのはあるのだろうが、こういうケースはなぜか決まってファウルが2つなのだ)が、結果としてバントのサインという刺激により、これまで通じていなかった回路に電気信号が走り、スイングとコンタクトを変えたように見えた。


週刊虎バカクラブ
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10 コメント

  1. 虎ジジィ
    Posted 2019年7月8日 at 10:31 | Permalink

    ソラーテ、メジャーで捕手以外どこでも守れるユーティリティープレイヤー。
    タイガースで言うなれば植田のような存在か?!
    ほとんどの人が期待していませんが「ハマるかも」という期待をしてしまう私の体質は治りません(笑)。
    まあ、実際たくさんの助っ人を侍らせ調子のいい選手を使っている読売とSBは、その戦略で成功しているので助っ人の数を増やす事でガルシアも巻き込んで競争力も上がり良いんじゃないですか。

    ゲームの方、今やカープのエース級に成長した床田の投球は素晴らしかった。
    しかし、ウチの若き左腕高橋遥人は、それ以上に素晴らしい投球だった。

    勝ったから言えるのかも知れませんが、
    久しぶりに観るヒリヒリした最高の投手戦でした。

    遥人投手は昨日の試合で、ものすごい経験値を得たものと思われます。

    重たい試合展開の中、唯一のタイムリーを打った大山も素晴らしい集中力でした。
    「はぁ?四番にバント」その悔しさをバットにぶつけた最高にカッコいい一打でした。
    ただバント失敗は大いに反省すべきだし、いずれは筒香などのように「絶対にバントサインの出ない四番」に成長して欲しい。

    さて、今日から毎年こんなタイミング(ここで3つ勝てば!)で当たる読売戦ですが、苦い思い出しかないのでなんとか払拭して欲しいです。初戦がカギ!

  2. Posted 2019年7月8日 at 10:54 | Permalink

    ソラーテ獲得は喜ばしい話。欲を言えばもう一か月早くしてほしかった。外国人枠の問題で言えば単純にマルテとの競争(ナバーロはどうしてんのやろ)でいいと思います。色々守れるのはいいがタイガースが求めているのは「5番ファースト」。打てる方を使えばいいでしょう。今まで見てきて「どこでも守れる=どこも大して守れない」パターンなのでファーストがきっちり守れる人がいいのですけどね。

    ゲームは遥人に勝ちがついて本当によかった。あれだけの投球で勝てなかったらいつ勝てる?球審も遥人の伸びのある球に思わず手が上がったようなコールもありましたが、右打者インローへのクロスファイヤーはえげつない。あの球だけでご飯3杯いけます。あの鈍感っぽいのは井川からの背番号29の系譜?間のもう一人もあれくらい感じなかったら大成してたかな。

    大山。色々あると思うけど、頑張れ!別に優等生じゃなかってもエエんやで。わがままに「俺が大山じゃぁ」くらいでエエんやで。私は無条件に応援し続けます。

  3. yalkeys
    Posted 2019年7月8日 at 10:56 | Permalink

    私も大山がバンドを2度ミスしたあと、三振か凡フライを予想していました。嬉しい嬉しい誤算を恥入っています。それにしても遥人はよく投げました。今日からの3連戦、菅野を崩せば3タテも夢ではないハズ。その大前提は近本、糸原の1、2番の出塁。明日のデイリーが楽しみです。

  4. 虎轍
    Posted 2019年7月8日 at 11:06 | Permalink

    それしか無いよね。
    1点だけしか援護が無いからね…
    でもね…1点があれば勝てる投手がエースの称号を貰えるんだよ!
    遥人!ありがとう!よくぞ8回まで投げてくれたよ!
    ホンマにありがとう!GJ

    打撃陣は苦手な床田から虎の子の1点をよくぞもぎ取ったね!
    今まで4戦くらい対戦してるが、打ち崩してへんが、得点を出来たんやから、有りやわ(笑)
    ありがとうね。
    きっちり広島から貯金3をかせげたのはGJ!
    ありがとう!
    今日からは令和になって負けてへんGとの試合ですが、奢ることなく、きっちり勝ちましょう!
    為せば為る!為さねば為らぬ!
    為せよタイガース!
    勝つんや!タイガース!
    西にも援護したってや!

  5. 西田辺
    Posted 2019年7月8日 at 11:22 | Permalink

    やっと勝てた。
    不遇と言ってしまえばそれまでだけど、良い投球を見せながら勝ち星という
    ご褒美にあずかれないのは可哀想。
    仰るように井川との共通点が多く見える投手。
    いい意味での鈍感さを備えてるんでしょうねぇ。
    正面からのスロー映像が見れたんですが、かなり肘から先が遅れて出てきます。
    タイミングが取りにくいでしょうし、出どころも見にくい。
    真っすぐが良い所に来れば、アッと思った時には時すでに遅し。
    バットを振るタイミングさえ逸するフォームです。
    未だに肩回りの筋力不足という懸念はあるものの、体も出来れば相当な投手に
    なる予感。
    文字通りの虎の子の1点は大山のバットから。
    何かと、凡退の仕方や右方向への弱々しい打球で批判も多い打者だけれども
    4番として同世代の鈴木と打点でも遜色ない成績を残してます。
    試合を決める打点もかなり多く、印象と実像が乖離している感も否めません。
    糸井・マルテの打撃が向上してきた現状、マークが薄くなればもっと結果が
    出せると思いますよ。
    今日からオールスター前最後の3連戦。
    首位を突っ走る読売とは6.5G差。
    なんだか、08年の逆をやってみたいと思えてきました。
    直接対決でガンガンつぶして、最高の秋を迎えたいですね。

  6. こうさん
    Posted 2019年7月8日 at 11:29 | Permalink

    数日前のコメントに「なつと千遥、なかなか会わないのでイライラし始めてる」と書いたが、その後の手紙に号泣。なかなか勝ち星に恵まれなかった高橋と重なった。泣けてしまった高橋の勝利。二人の名前に「遥」が入ってるのも運命か?…偶然だ、ただの。

    どうしても高橋を勝たせたかった矢野監督。初めて大山の退路を断ったバントのサイン。「4番に⁉️」とは思えず納得のサイン。バント失敗が続き、もう後がない。ベンチが出来るのは、ファンが出来るのは祈るのみ。大山も悔しかっただろう。無理に右へ打とうとして「何かを変えなければ‼️」と苦しんでいた大山とは別人みたいに力が抜けていたヒットだった。

    坂本のスタメンを予想したが二択外しのプロとして仕事を完遂。福留がいないだけでチームが若返っている。底上げが出来た状態のところに福留が帰ってきたら更に強くなる。「お前ら変わったなぁ」と福留に言わせたいね。

    外国人が増えるとメッセの登録が助かる。
    今日は西。防御率で上位にいるが借金があるのは西だけ。前を向いている西だが自分の成績に納得しているはずがない。高橋がここまで折れなかったのは「諦めず前向きな」西を間近で見ていたからだろう。高橋に勝ち星をプレゼントしてやれたんだから、西にもしてあげないとね。

    順位を見ると「3タテして詰めたい‼️」と思いがちだが、まずは一勝。その先に連勝や3タテがあるのだから。ラミレス監督が初戦を気迫で掴み取った試合を間近で見て味わった矢野タイガースに期待。

  7. ジュビロタイガース
    Posted 2019年7月8日 at 11:49 | Permalink

    いやあ遥人が素晴らしかった。散発無四球で、2点を切った防御率でやっと2勝目。もう3点あれば完投だったかな。

    で、攻撃の場面。大山にバントは仕方が無い状況だったと思います。後半戦やPSなどを考えると、1度は経験しておかないと。
    失敗も仕方が無いし、粘って良く打ちました。自分には詰まったように見えましたけど。
    その後無策にマルテを打たせたこともどうかなと思いました。4番にバントなら、2三振の5番に代打でバントでも良かったのでは。あの飛び出しも焦りか未熟なのか。

  8. 虎世界一
    Posted 2019年7月8日 at 13:16 | Permalink

    4番とエース、10年くらい後にこの試合が一生の思い出になれば良いですね。

    ナバーロは土日に戸田球場で見てきたが、ワーストで凡打ばかり。新しい人も同じで無ければいいが。

  9. DAN
    Posted 2019年7月8日 at 13:45 | Permalink

    こんにちは。

    昨日は遥人に勝ちが付いて本当に良かったと思います。藤浪の制球力、江越のミート力と並んで、高橋遥の勝ち運というのが私の中で阪神三大これさえあればに入っていましたから。
    とはいえ、昨日も援護は1点。普通に援護があればどすこいと月間MVP争っててもおかしくないようなピッチングをしていたんですけどね。これを期に、運気が上昇してくれるといいな。

    私としては外国人枠や空きポジションなどを考えると新外国人獲得には懐疑的であったのですが、来ると決まったからにはソラーテも全力で応援したいと思います。実際に具体名が出て、どんな選手かなと見てみると、内外野守れるユーティリティで、両打ちで、でも通算75HRと、なんか使い道が100通りありそうな面白い選手連れてきたなと。

    得点力不足と常に言われる阪神打線ですが、一時調子を落としていたとは言え1、2番はチャンスメーカーとして申し分ないし、3番は3割打者、4番は育成中で徐々に様になりつつあり、6番以降は寧ろ他球団より強力。つまりウィークポイントは5番なので、そこにソラーテがハマってくれれば、確かに心強いですね。松坂によるとDアルモンテみたいなタイプとのことなので、本当にそれくらいやってくれたらと妄想が膨らみます。

    ただ、やはり外国人枠が悩ましいですね。マルテは大当たりとはなかなか言いがたいとはいえ、中当たり以上であることは間違いないと思うので、外してしまうのは勿体ないし、補強の効果が薄れてしまうのでどうかなと。

    するとガルシアを外すことになりますね。現状確かに好成績とは言いがたいし、藤浪、岩貞、秋山らが控えている先発陣からガルシアが抜けてもさほど痛手ではないかなとも思うので、仕方ないかなとは思います。
    ただガルシアに関しては、一度中継ぎで試してみて欲しいとも思っているのですが。中盤に捕まることが多いけど立ち上がりは安定してるし、対左の被打率も低いのでイケる気がするんですけどね。

  10. タクロー
    Posted 2019年7月8日 at 16:31 | Permalink

    お立ち台での高校球児のような純朴さと、堂々としたマウンドさばきのギャップがいい。
    しなる左腕から繰り出すキレキレのストレートがいい。高橋遥人はタイガースを背負って立つ大エースになる予感。このまま、真っ直ぐに伸びていってほしい。
    さあ、今夜からヨミウリを甲子園に迎えての3連戦。思いのほか空席があるので、参観しない手はない。3連戦、行くぞー。3タテ!
    まず今日は西。さあ、遥人に続け!スガノがなんだ!サカモトがなんだ!マルを抑えろ!
    1回裏の先制パンチを見逃さないように、早めに行くことにしよう。

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