前夜は試合のない月曜日。ペナントレースはちょうど半分が終わって貯金1。9月はいよいよ超過密日程だなあ。あと連戦の舞台裏では飯田←→小林のトレードなんかもあったね……みたいな感じになると思っていたら、「藤川球児今季限りで引退」の報道があった。
2005年の阪神タイガーは漫画みたいなチームだった。まあエッジのきいたキャラクターが揃いまくっていた。盗塁マシーン赤星、最強金本、チャンス泥棒今岡らが並ぶ打線もすごかったが、6回までリードをとればベルトコンベアーのように勝利を運んだJFKなんて、『水戸黄門』の斬り合いから印籠みたいな感じ。ドラマ以上にドラマチックなチームだった。
なかでもゴチャゴチャした試合にケリを付ける球児のストレートがもたらす精神浄化たるやものすごかった。一筋の美しい光を見るようだった。
「ありがたい」――野球をみていて、神的な感覚を得ることは多々あるが、その多くは「野球の神様」によるいたずらのような試合展開についてだ。ひとりのピッチャーが生み出すボールに神が宿っていると感じることなどめったにあるものではないが、この年以後の藤川のストレートには、敬虔な態度にさせるだけの神秘の力があった。
こんなありがたいものは、そういつまでも見られるものではない。もう当初から直感的に思っていた。これは奇跡のバランスの上に成り立っているものであって、藤川自身にも制御できないような偶然の産物であるにちがいない。この1球が最後かもしれない。そんな繊細なはかなさを秘めた美しいボールだった。
ところが、藤川球児はこの神からのギフトを自分のものにした。偶然性を排除しても再現できるようにした。努力によって技術を身につけた。そこが藤川球児の強さだ。
おそらくその強さは、弱さを克服しようという強い意志が結実したものだ。その地位を確たるものにするまでは、故障も多く、メンタルの弱さに起因する失敗も多かった。素質はいいのに「弱い」存在だった。それをなんとかしようと支える人たちがいて、その人たちに応えようと努力を重ね、神のボールを手に入れた。だからこそ藤川球児はその才に溺れることもなく、周囲への感謝の気持ちを口に出しながら、ギフトを技術へと変えていけた。
人間藤川球児は多角的で魅力にあふれている。
でも私にとっての藤川球児は神の球を投げる人。今も思い浮かんでくるのが2005年当時、トレードマークである高めに浮き上がる直球で勝負するより前の姿だ。ワンバウンドするかのように叩きつけたボールがピンポン球のように浮き上がってくる。呆然と見送る打者の視線の先にはストライクゾーンで捕球する矢野のミットがある。
なんでももう一度マウンドに立つ決意だという。そうなったらいいと思う。でも、そうならなかったとしてもいい。あのボールには、目を閉じればいつでも会えるから。最後のマウンドになるその日まで、藤川球児を鑑賞する。
コメント
素晴らしいコラムが心に響きます。
JFK=相手の戦闘意識を消失させる「水戸黄門の印籠」(たまに開き直って歯向かう奴もいるけどww )まさにそんなイメージでした。
05年頃の藤川球児=「ツーストライクに追い込むと、矢野捕手が中腰に構える」
→「相手打者は100%ストレートに張っている」
→「浮き上がる高めボール球を空振り三振」何度見た事か、
当時スピードだけなら数字的にはクルーンとかが速かったけど、回転が良く打者が打てないストレートを投げるのは圧倒的に藤川球児でした。
あの美しいボールの軌道は忘れません。
「球児を最高の花道で送り出してあげたい」
我々もそうですが、彼のボールを一番たくさん受けたであろう矢野監督が、その気持ちが誰よりも強いはず。
苦しい連戦ですが、ベンチも集中力を切らさず、チームの為、そして藤川球児の為にもペナントレース後半戦は、しっかりした采配で勝利を重ねて欲しいです。
残念であると同時にホッとしたような不思議な気持ちです。球児がタイガースで頭角を現してからの登板はまさに神がかったかのようなものでした。ただの真っ直ぐに球界の名だたる強打者たちのバットが空を切るマジックショーを見ているような感覚。打たれたことが事件になるような安定感にはむしろ退屈に思えるほどの重さがありました。それが今年は通用しない。そんな姿を見ているのが辛かった。区切りをつけてラストにもう出し切ったはずの気力を絞り出す決断に敬意を表します。
リーグ優勝、日本シリーズ制覇に250Sを花道に送り出しましょう!
球児の表現の難しい崇高なピッチングをみごとにtoraoさんが言語化してくれました。
それでもまだ言葉に尽くせないものも多いと思いますが、今はまだ引退の意思を表した段階。
本当に引退するその日までは現役。
なのでまだ「お疲れ様」は口にしません。
数日前のコメントに「福留か糸井、どちらかのピリオドが決まっているのが矢野監督優勝発言の根拠か?」と書いたが…まさかの球児。去年から相手打者との戦いよりも自分自身との戦いの方が厳しかったとは。昨夜は何度も流れた球児と矢野のハイタッチ。試合がない日に発表する球児の真面目さに頭が上がらない。矢野監督の根拠…受け入れるまで時間がかかるな。
けど優勝発言したからには全力で掴まなければならない。球児の名球会入りの為に試合を使うのは相手にもファンにも、球児にも失礼。
球児は「もう負けられないぞ」と言ってくれているかのよう。早く優勝を決めて球児のセーブ数を増やせるように。まだまだ終わりじゃないよ、球児。
誰もが必ず通らなくてはいけない。
どんな偉大な功績を残した選手でも、やがて「その日」はやってくる。
上肢の故障。
それも手術が必要な状態だとか。
藤川球児が藤川球児でいられなくなった。
だから、マウンドに登る事を良しとしない。
彼が決断した事ですから、最大限尊重したいという気持ちと、あと5に迫った
通算250セーブまで何とかと言う気持ちが錯綜します。
彼の性格からして、そんな記録に未練は残してないでしょう。
2004年のシーズン終盤。
突如として、今までと全く違う藤川球児がマウンドに現れた。
豪快なスイングの長距離砲も、魔術のようなバットコントロールの巧打者も
振っても振っても当たらないストレート。
そんなものは、漫画の中だけの出来事だと思ってました。
もうそこには、故障と伸び悩みでドラ1の期待を裏切り続けた藤川球児は
いませんでした。
彼が引退のその時に、「悔いがない」と思ってくれればファンとしてもそれで
満足です。
来季からどうするのか、彼しか分かりませんが、一度間を置いても構わないから
指導者としてタイガースを支えて欲しいですね。
将来、村山実さん以来の生え抜き投手出身監督が出るとすれば、球児以外考えられませんね。
藤川球児
この選手だけは今の阪神の中でも
別格な存在だった。
見ろ!これが俺達の球児だ!
阪神フアンの誇りだった。
残念だか誰もが通る道だし球児らしい
キレイな引き際だと思う。
球児の最後のマウンドだけは何が
あっても見たいと思う。
今思いおこせば、矢野、金本、桧山、関本の引退試合を現地で見届けて来ました。
そして今年は球児がユニホームを脱ぎます。
是が非でも現地で球児の勇姿を見届けたい。
このご時世色んな縛りがあり、島根から駆けつけるのは容易ではありませんが、コロナに感染してもいいから、現地に行きたい。そんな気持ちに今はなってます。
何度、球児がマウンドに上がる姿をワクワクして見てきたか。
阪神タイガースでユニフォームを脱いでくれる事に感謝の思いです。
メジャーに行ったけど、阪神の球児でいてくれてありがとう!
いい時も悪い時も、「球児!」と叫ばせてくれてありがとう。
チームは残り試合を勝負に徹した戦いで勝利を重ねてくれるよう必死で応援します!
それが球児の望んでいる事だよね!
さぁ、今日も戦おう!涙は似合わない、常に勝利を目指して!
開幕前も優勝して花道を飾ると言ってましたからね。昨季も球団に1度は伝えたそうですから、今季で引退は決めていたかもしれませんね。優勝を目指すのは当然ですし。
何にしてもお疲れ様でしたし、ホント誇りですね。
先日、アントラーズの内田の引退セレモニーで、ファンは席を離れることなく、コロナ禍のマナーが守られていました。タイガースファンはどうかな。
昨年も引退を申し出ていたとのこと。
球児自身には250セーブのこだわりはないんでしょう。
それでも、春のキャンプでは、ファンがそれを待っててくれるからという理由で、250セーブへのこだわりを語っていた。
これから戻ってきてすぐに抑えというのも難しいかもしれないし、球児の性格的には断りそうな気もする。
それであれば、もうちゃっちゃと優勝決めて、そのあとに球児にセーブ機会で投げてもらえばいい。
はよ、優勝してまえ、タイガース。
今までに200回以上のガッツポーズをさせてくれたのは藤川球児でした。
私事ですが、結婚パーティーで嫁と入場する時の曲はLINDBERGの「藤川球児の曲」でした。みんなから盛大な拍手を貰えたのは藤川球児のおかげでした。ありがとう!
京セラドームでウッズと勝負をして打たれた時に一緒に号泣したのも私です。
話せば長くなるので、この辺で…
今日は寂しい気持ちを抑えながら聖地甲子園で応援してきます!
今日も頼むよ!高橋遥人!
頑張ろうタイガース!
頑張ろう日本!
球児、引退。
ビューーーン、と唸りを上げて、ビシッ、とミットに飛び込む。バットはボールの下をくるりと回る。
リンドバーグの♪every little thing every precious thing♬が球場に流れると降臨。リリーフカーを降りてマウンドを向かって駆け出す。まるでスポットライトを浴びているかのようにマウンドが輝く。大観衆が静けさを取り戻す。固唾を飲む。さあ勝利の儀式の始まり。まさしくクローザーだった。球児は投げる姿で元気と感動を与え続けた。ありがとう。
体が悲鳴を上げている。そうなんだろう。いつかやってくるのだろう。が、この時期だったのか。
球児は最後の力を振り絞って再びマウンドを目指すという。何とかあと5度、マウンドに立って欲しい。もちろん、ラストは甲子園。2万人くらい入れたらいいのに。
さあ、後半戦だ。
髙山が抹消されて、誰があがってくるのだろう。
井上、だったらいいのにね。
今夜は奮発してSMBCシートからじっくり観戦。遥人、キレのある投球をみせてくれ!
いつも本当に愛情のこもった記事をありがとうございます
“2005年”を見てtoraoさんにまた感謝の言葉を贈りたくて
あの中村豊の記事から15年、ようやく球児もファイナルラップに入ったんですね、、、