そういうこと4番大山

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「そういことやんか」と岡田監督は言う。以前は「そうかなあ……」「そうでもないだろう」と思うこともよくあったのだが、今や岡田監督が「そういうことやんか」と言えば、誰もが「なるほど」と納得するようになった。説得力があり、多くの現実がそういうことへと収まっていく。

名将と呼ばれる監督や、優れたリーダーにはありがちなこと。「何を言ったか」よりも「誰が言ったか」で、人々が動いていく。特に野球という競技は、「心理」が技能を凌駕する場面が多いので、リーダーの言葉が現実化しやすい。

岡田監督は「4番は大山しかいない」と決断した。野球に対する真摯な姿勢、覚悟が他の打者と比較にならないほど優れていると。つまり、岡田監督が4番に求めるものが、チームを背負う責任であり、チームの象徴たる存在感だとわかる。

多くのデータを集計して「4番打者」にどれだけの価値があるか、どういう意味があるのかを分析すれば、最適解が明確になるのかもしれない。しかし、日本の野球は数字よりも心理で動く。

現実は岡田監督の思うとおりだった。飛び抜けた攻撃力を持たない阪神打線は、普通に、ひたむきに、少なくとも精神的にムラなくやり続けた。ボール球を見逃して出塁率を上げ、そつのない走塁で進塁し、犠飛やゴロで得点につなげた。結果的にリーグ1位の555得点をあげた。

出塁率リーグ1位、どんな時もしっかり走る4番大山は、間違いなく阪神打線の象徴だった。「そういうことやんか」、そのとおりだった。

コメント

  1. 西田辺 より:

    「そういう事やんか」の後に「はっきり言うて」が付けば強調形。
    結果が出れば、そういう事にも説得力が増す。
    阪神の監督をやってなければ、チョット小うるさい大阪のおっちゃん。
    別のベクトルにはなるが、星野さんもノムさんも「言葉の力」を
    最大限に利用した指揮官でした。
    直接的に間接的に選手を鼓舞するタイプ。
    硬軟取り混ぜてチームに渦を巻き起こすタイプ。
    この大阪のおっちゃんは、自らの洞察力と観察眼を発揮した上で、それを
    周囲に「な、せやから言うたやん」と納得させてしまう。
    選手たちも、2023年のこれ以上ない結果に納得せざるを得なくなる。
    就任時には「古い野球を押し付けるんじゃないか」とか「選手と指揮官
    とのコミュニケーションが心配だ」と言う声も聞きましたが、シーズン中や
    終了後の選手たちの言葉を聞くと、特に問題もなさそうだし、優勝と言う
    結果の前では全てのマイナス要素は消え去ってしまう。
    もう早速、今期に向けて岡田監督も「言葉の矢」を放っています。
    それを選手がどう受け止め、力に変えてくれるかが楽しみですね。

  2. 虎轍 より:

    名将上田監督は「ええで!ええで!」で選手を鼓舞してましたね。知らんけど(笑)
    岡田監督は「そらそうよ。お~ん」で選手を鼓舞してますね(笑)
    去年のASGの時に各球団の投げ難い四番打者は誰?ってなって、各々の投手が大山と言うてたとか。
    それを聞いた岡田監督は喜んでたらしいですね。
    今のタイガースは近本、大山が引っ張っていってくれると思ってます。
    二人が元気なら3アレンパも出来そうですね(笑)
    頑張ろう日本!

  3. いわほー より:

    ボキャブラリー少なめ、オノマトペ多め、ベッタベタの大阪弁、おまけに選手とは直接のコミュニケーションをほとんどとらない監督でありながら、それでいて見事にチームを掌握して、選手に戦術を浸透させた監督の手腕ぶりには驚かされた。前監督が真逆のタイプだっただけにコントラストが冴える。
    なにも前監督のアプローチがダメとは思わないが、たしかに岡田監督の断定的な物言いには妙に得心してしまう力を感じる。反面、独断専行で結果が空回りしだすと、途端に瓦解する脆さもあるような気がする。
    ただ、そうなる前に早々と後進に譲り、自ら身を引く覚悟をお持ちの様だから決して名将の名折れになることはないでしょう。

  4. Akira28 より:

    前日の記事に岡田監督の指示率は驚異の数字が紹介されていました。
    はっきり覚えていませんが、99.7%前後だったと思います。アンケート対象者の総数は約1,900前後だったような。
    はっきり覚えているのは21名がNoだったようです。
    私は、いやいや21名もいるのかと思った次第です。
    この人達は誰なら良いのでしょうか。
    もっともアンケート対象者が全てタイガースファンかどうかもわかりませんが。(笑)
    私には岡田監督の凄さ、素晴らしさばかりに圧倒された昨シーズンでした。
    Toraoさんの文中にもあるように決して破壊力のある打線ではない中、四球の価値という視点に注力したことは前代未聞の発想でした。
    選べと言っても三振しない技術、追い込まれてからヒットを打てる技術が無ければこの作戦は意味がありません。
    今シーズンは二番煎じを仕掛けてくるチームもあると思いますが、そんな簡単にはいきませんよ。
    監督の指示、コーチの指導力、選手の技術、球団のバックアップあっての戦術です。
    その体現者がなんといっても四番・大山でした。
    タイガースの至宝です。
    死球禍にも泣かされましたが、とにかく岡田監督の四球はヒットと同じ価値という慧眼は素晴らしかった。
    セカンドに中野コンバートも見事でしたし、守備から入る野球で投手陣のレベルもアップしました。
    岡田野球は今年はどんな進化を見せてくれるかずっとワクワクです。
    森下は25本は打てる。
    佐藤はサードの守備をもっと鍛えれば、足腰が強くなり40本はいける。
    レフトのノイジーが大化けするか、若手がそれ以上に伸びてくるか。
    このあたりの手腕も岡田監督はしっかり仕掛けてくると思います。

  5. より:

    そういえば昨季のタイガースはセイバーメトリクス観点でオーダー組むとどうなるんやろと思いやってみました

    数字はOBP/SLG/OPS、5番打者まで
    パターン1
    大山 .403/.456/.859
    輝明 .339/.498/.837
    中野 .349/.343/.692
    近本 .379/.429/.809
    森下 .316/.375/.691
    パターン2
    近本 .379/.429/.809
    大山 .403/.456/.859
    中野 .349/.343/.692
    輝明 .339/.498/.837
    森下 .316/.375/.691
    パターン3
    近本 .379/.429/.809
    輝明 .339/.498/.837
    中野 .349/.343/.692
    大山 .403/.456/.859
    森下 .316/.375/.691
    パターン4
    中野 .349/.343/.692
    大山 .403/.456/.859
    輝明 .339/.498/.837
    近本 .379/.429/.809
    森下 .316/.375/.691
    パターン5
    中野 .349/.343/.692
    近本 .379/.429/.809
    輝明 .339/.498/.837
    大山 .403/.456/.859
    森下 .316/.375/.691

    基本的にはOPSトップ3を1、2、4番の何処に配するかがポイントですが
    中野の方が輝明より出塁力があるので中野より輝明の方を評価するパターンもありなのかなと