ジャイアンツのやることが正しくなってきたことについては、実にいまいましい思いがある。補強についても、育成についても、球団経営の体制作りついても、伝えられてくる様子がいちいち正しくてムカツク。
対するタイガースが、何十年たってもジャイアンツのアンチテーゼ的存在、いや単なる後追い的な振る舞いに終始していることもまた腹立たしい。
とりあえず、そのいまいましさと腹立たしさを脇に置く。で、読売にはどうせ正しいことをするのなら、球団運営についてだけにとどまらず、さらに視野を広げてやって欲しいと思うわけだ。たとえ自分の既得権益を損ねようとも、プロ野球界にとって有益ならば地道にやっていこうと、そこまで行って欲しい。その姿勢が見えたなら、読売グループも多少の尊敬を得ることができると思うのだ。
余談だが、読売グループってある種の軽蔑を受け続けているように感じているのは私の偏見だろうか。特に読売新聞については、ナベツネ氏の発言や行動によるところが大きいのかも知れないが、権力の横暴を暴くという民主国家のジャーナリズムからは程遠いという印象を持っている。それは55年体制の頃も、今現在もあまり変わらない。
プロ野球については、読売がジャイアンツ人気でプロ野球を発展させてきたという功績は揺るがない。しかしその将来展望が不安定になってからは、従来のやり方、たとえば系列のテレビ局で全試合独占的に主催試合を中継することなどが、逆にプロ野球全体にとってマイナスの作用として働いている。その根拠となるG戦視聴率の衰退ぶりと、それに関する考察は他に譲るとして、ともかくこれまでの戦略で高視聴率時代を迎え、その継続で低視聴率時代を止められないという事実は認めるところだろう。またそれをもって、世間一般に「プロ野球の衰退」と捉えられていることも認めざるを得ない。だから、読売にはやらなきゃいけないことがあるのだ。
今ジャイアンツは、球団運営を素晴らしく上手くやっている。ジャイアンツ人気の再生は、球団に任せておけば良い。グループが考えることは、その土台であるプロ野球全体の支援だ。ジャイアンツだけが特別なのではないという姿勢が最も大切だ。ジャイアンツで活躍している…ではなく、全体の中で素晴らしい活躍をしている選手をしっかり伝えること。ジャイアンツの中にスターを作ることを主目的にしないで、本当の実力者に注目すること。中継でも、情報番組でも、そういう姿勢で構成していくことが大事だと思う。
さらに大事なのは、プロ野球だけを特別にしないこと。自分たちの得になる情報だけを流しているというイヤらしさが今のマスメディアに対する不信の源だ。ジャイアンツだけ特別にしないのと同様に、野球だけを特別にしないという姿勢が大切だ。
昔、娯楽の中心に野球があった頃は、「なんで巨人ばっかり…」というイライラパワーが「アンチ巨人」に結集した。それはそれで「野球パワー」に他ならなかった。しかし今は他にいくらでも逃げていく先がある。そして野球中心という横暴な態度をしていると、時にそれが「アンチ野球」という形で結集してしまうことがある。読売グループは、そういうことをわからなければならない。
読売以外の民放も大なり小なりプロ野球と関係がありながら、少しずつ冷ややかに距離をとりつつある。結局今もなお、「生きるも死ぬも読売次第」なのがプロ野球。いや正しくは、どこも生きようと必死でやっているが、読売のやり方で首を絞められ続けている…ってことだと私は思う。プロ野球はじめスポーツ中継のあり方、スポーツニュースや情報番組のあり方、読売が次にやるべき正しいことはそれだ。
コメント
出版、おめでとうございます。
毎日楽しく、クリックさせてもらっていますよ。
讀賣の功績の1つにテレビ中継の普及がありますが、
結局野球の「切り身」を売る手法が一般化してしまった。
それ以外にプロ野球を見る手段を持たない者は、切り身で我慢するしかなかった。
寡占状態の中では、他もそれに追随せざるを得なかった。
現在はと言うと、CS・CATVの出現で色んな種類の尾頭付きが味わえる。
ただその状況の中でも「切り身」をヒラヒラとチラつかせながら「尾頭付き」の購入を迫る。
他局でも「地上波じゃ物足りないだろ?金払えば全部見れんだぜ」と、地上波放送をCS加入への餌にする手法まで
讀賣のそれに追随する局もある。
何時までたっても、親会社の新聞の販売拡大促進・視聴率の獲得・CS加入者増大の道具に過ぎないんでしょう。
確かにここまでプロ野球が発展し、大衆に認知させた功績は認めるし、讀賣にはその自負もあるでしょう。
その自負があるなら尚更、責任ある行動指針が求められると思います。
ということは、あれですか?
日テレの巨人戦で絶叫するあの実況
「打ったぁぁぁ?!!!ホォ?ムゥラン、ホ?ムラン、ガッツ!のHRだぁー!」
みたいなのはダメってことですかね(笑)
なんというか、売り出す、アピールを全面的に。また、それ一色みたいなのは。
でも、たしかに今求められている形とは違いますよね。
より、公平かつ客観的な視点から物事を見て、そして判断し、行動できるか。
仰るとおり、報道だけでなく、日本プロ野球界の利益のためにも。
批判するにしても、結局、日本球界は読売におんぶに抱っこなのは事実ですしね(苦笑)
私たちは、いつも熱い応援をしているので気付きませんが、世間一般を見れば、プロ野球人気は落ちているようですね。
読売任せじゃなく、いまや12球団No.1の人気を誇る、我がタイガースも、プロ野球全体の人気回復に努めてほしいですね。
関西では、テレビ、ラジオ、スポーツ紙などは完全に阪神寄りの放送、報道が当たり前で、私はそれを喜んで見聞きしていますから、それとは逆に、読売グループがG偏向になるのは仕方がないと、半ば諦めています。
つきちゃん、
ありがとうございます。おかげさまで、すごい記録になっています。
西田辺さん、
しかし株式上場している各民放で、試合開始から試合終了まで中継するためには、それなりの広告収入がなければ成立しないです。関東ではもはやきつい状況です。尾頭付きはペイテレビに任せなきゃならないかもしれません。
どうせ切り身なら、放送日を減らして、放送カードを厳選したり、バレーボールのように編集したり(ディレイ中継)、あるいは中継ではない情報番組として構成したり…大きく発想を変えなくてはいけないのではないかと…。
THEスタぁ?さん、
新しいファン層を開拓するということについて、もっと掘り下げるべきだと思うのです。
ジジィさん、
例えば10年前と比較して、セ・リーグ各球団はあらゆる面で収益性を落としているでしょう。パ・リーグは上げているチームもあると思います。何も19時?21時に尻切れの巨人戦をやるだけが野球放送ではないと思うのです。
一虎ファンさん、
ところが東京という地域は、地元意識というのがまったく希薄なので、大阪における阪神と、東京における巨人というのは、まったく別のものであるのです。
例えばWBCは活躍すれば誰もがヒーローになりチームを宣伝するチャンスになると思うんですが
それでも読売主催だからどうのこうのと拒絶する人もいます
難しいですね
masaさん、
ええ。もう「読売主催」の部分の毒は、とりあえず食らっておくしかないと思います。
「通りすがりの巨人ファン」から改名しました。「通りすがり」と言うのも、確かにちょっと無責任なハンドルネームに聞こえるので。
で、遅れましたけど、出版おめでとうございます。野球ブログ界の快挙ですね。
その上で、ちょっと反論ですが、『読売のやり方で首を絞められ続けている…ってことだと私は思う』
これはもう少し具体的に聞きたいです。
もし巨人戦の全国中継のことなら、以前にも少し議論をしたことがあって、その時はtoraoさんは『例えば北海道で巨人戦も中継されると、日本ハムが北海道で人気を得るための足枷になる』というような主張をされたと思うのですが、それに対して僕が『地元に球団の無い地域には、巨人戦の放送が野球人気向上に寄与しているのではないか』と反論したところ、あまり説得的な反論が返ってこなかったように記憶していますが。全国中継の話以外にも何かあるんでしょうか。
また、一虎ファンさんも指摘していますが、阪神に対する関西マスコミの扱いも同じようなものだと思います。平等な扱いが球界のことを考えることになるなら、関西マスコミは近鉄やオリックスも同様に大きく扱うべきだったんじゃないでしょうか。
東京と大阪では地元意識が違う、という理屈も良く分からないので、詳しい説明を伺いたいです。
また、関西マスコミは阪神≒野球を特別扱いしてるんじゃないですか?
それと、アジアシリーズを後援してたのは球界に対する貢献じゃないんでしょうか。他にもジャイアンツカップなんかも該当すると思うんですが。
それとWBCの主催も貢献の側面があると思います。特に前回なんて、成功するか失敗するか全く分からなかったわけですし。
もしNPBが主催するなら、全球団から運営資金を募る必要があるようにも思いますが、そんなことできますかね?今だって、相当WBCに関しては球団によって温度差があるようですし。その状況で読売主催が「毒」と言うのも、ちょっと疑問を感じるところです。
それとも、WBCが軌道に乗ったら主催を手放せということでしょうか。それは逆に横暴な要求だと思いますが。
最後に個人的には、読売は巨人を積極的に特別扱いして欲しいと思ってます。それがグループにお金を落としてくれる巨人ファンに対する当然のお返しじゃないでしょうか。
同様に中日スポーツは中日を、デイリーは阪神をそれぞれ特別扱いすればいいのだと思います。
G3さん、
書き込みありがとうございます!
本日(12/9)の記事でお返事しました。