カープ黒田が残留。何の根拠もなく言わせてもらえば、これは黒田本人がもっとも予想外だったんじゃないだろうか。
私は、「黒田タイガース入り希望」という説が真実だったのでは?と思っているから。
「全国に12球団しかチームがない。広島という県に球団がある。住んでいる土地にプロ野球チームがあるのはすごいこと。僕自身も大事さを感じている。選手も考え直し、強くなるためにどうするか考える。ファンもスタンドから選手に訴えてほしい」言外に込められている黒田の気持ちは、いっぱいに埋まった球場で、多くのファンに応援されながら、優勝争いがしたいという強い希望だろう。
それと「井川問題」での阪神フロントの余裕といったら、ちょっと普通じゃなかったから。阪神球団は八方手を尽くして、黒田側の感触を得ていたと思うし、だからこその「黒田T入り濃厚」の観測気球打ち上げだったのだと思う。
黒田獲得となれば、バランスが崩れすぎることや、カープがタイガースの戦力供給基地のようになっていることを非難されるところ。ただしエース井川を欠く事態があるのなら、当然その穴埋めが必要であるという「世論」を形成できると踏んでいたのではないか。ということは、黒田を獲るためには、井川を出さなきゃいけないってこと。それで、ホンネでは順序が後先になるが、「井川ポスティング容認」への世論形成を進めてきたって感じなんじゃないかな。
状況を変えたのはカープファンの行動だった。球団の本気度をアップさせたのも、黒田の決意を変えたのも、ファンが動いて「カタチ」を見せたのがすべて。実際にスタンドを埋めて赤地に白で「15」と書かれたカードを掲げる。多くの署名や嘆願書。そのファンの声に、目を覚ましたかのように本気で黒田を引き留めた球団の熱意。それらのすべてが、自分の希望はカープでも実現できる!と黒田に思わせたのだと思う。
幹事会社のマツダという会社もそう、広島カープもそう、今までも「もうこれでおしまいだ」という危機が何度かあった。そのたびにミラクルが起こって、なんとかなっちゃった。ロータリーエンジン開発成功だとか、ファミリアやデミオの大ヒットだとか、タル募金だとか…ね。
ただ問題は、「必ず」ミラクルが起きちゃうもんだから、それに慣れちゃって、またしばらくすると危機を迎えちゃうこと(笑)。そういうおおらかさが、この山陽という地域の特長なのかもしれないが、これからはこの「構造不況」に対してもっと言うべきことを言って欲しい。
プロ野球のチームはできる限り多い方が良い。潰さなくて済むなら潰すべきじゃない。地域密着は進めなきゃいけないが、大都市の数には限りがあるし、その市場格差があるのは当たり前のこと。競争も重要だが、競争の舞台を公平にすること、みんなで助け合わなければならない部分を整備することがなければ、共存共栄は実現できないのだ。
同じ問題をMLBは乗り越えてきた。いかに小さな街にも強いチームを作るか。大都市の球団が集めた金を地方にまわす。これは「施し」でもなんでもなくて、業界発展のためのシステムなのだ。MLBで導入されている仕組みとはこんなものだそうだ。
(1)所得分配制度=機構主導の収入はもちろんのこと、各球団独自の収入も一定割合(現行は34%)徴収し、全球団に均等分配する制度。チケット収入や、ローカル放映権、広告収入、とにかくすべての収入に「税」をかけて分配する。
(2)課徴金制度=別名「ぜいたく税」。選手年俸総額に一定の上限を決める。それを越える場合は、「税」を支払い各球団に分配するというもの。
MLBの「格差社会」は、NPBの比ではない。それでも、金さえあれば何をしても良いのか?という地方球団の嘆きに対して、きちっとした答えがあるという点で、日米には大きな違いがあると思う。
コメント
お久しぶりのコメントです。
この黒田の決断というものは、様々な人たちに影響を与えるのではないでしょうか。
それは広島の球団関係者や選手は勿論、同じく渦中の小笠原にも言えることのような気がしてなりません。
「違うユニホームを着て札幌ドームで、日ハムの投手のボールを目一杯打ち返す姿が想像できなかった」
みたいなことを考えるかもしれませんよ(笑)
ということで(?)、今日は日米野球を見に行ってきます。
来年の広島球場開幕戦、満員になって欲しいなあ。
それにしても、メジャーの年俸は、何故あんなに高いのか?
経営は赤字が多いのに。
井川でも岩村でも、
メジャーに行けば、5億円は貰えそうな気がする。
上手く行けば、もっと行く。
松坂なんか10億越え確実と言われている。
日本では、なかなか無理だろう。
井川が出て、黒田が来なくても、
虎は、十分やれそうな気がする。
勝つか負けるかは、打線次第、と思いますから。
来年は、チャンスに赤星や藤本に回って来た時、
形振り構わず、打点の稼げる打者を出して欲しいです。
「所得分配制度」は合理的だし、是非とも考えてもらいたいものですが、G軍に言わせれば全国ネットのG戦放映権料が「所得分配制度」じゃないか、と、のたまうことでしょう(彼らの「公平」は意味を取り違えてますから)。パリーグが1リーグ制にこだわったのも、この放映権料があったから。ただ、その威力も年々、低下しつつありますが。初めからMLB並みの34%は厳しいだろうから、消費税並みの5%からでもスタートできんやろか。一度、制度さえ作れば、率を上げていくことのほうは、た易いだろうから。「課徴金制度」の場合、どこに閾値を持ってくるかが難しいところ。この辺のMLBの基準はどうなんでしょう。G軍あたりは手前解釈で、どうとでもウルトラCの課徴金制度逃れを考えてきそうだし。
いずれの制度も、真剣に考える時期が来ているように思います。何度も言ってますが、プロ野球というビジネスモデルに欠陥がある以上、根幹から見直すことが必要だと思います。コミッショナー事務局になんの期待もできないのなら、「裏コミッショナー事務局」の出番でっせ。toraoさん。
書き忘れましたが、
結局日本のプロ野球は、一度崩壊せんと、
変化でけへん、という気がします。
日本の体制もそうですが。
課徴金制度の導入は良いですね。サラリーキャップ制よりもまずはこちらを導入すべきかと思います。
結局のところ全国中継というヤツがなくならない限り改革できないのではないでしょうか。で、その段階でローカル中継に税をかけると今度は讀賣以外の球団の負担の方が増えそうな気もしますし、難しいですね・・・。
それから自分の記事でtoraoさんの町田選手の過去記事を紹介させてもらったらTBになってしまいました。すいません。
どうしても機構への不満になってしまうんだけど、
興行を打つ胴元がこんなに力が無いってプロ野球
位じゃないの?
プロ野球12球団の担ぐ御神輿の位置に、大した
ビジョンも無く安住してきた機構。
また、その位置に持ち上げて膝下でコソコソ球界を
弄繰り回す球団。
コミッショナーが所詮、名誉職的色合いが強いので、
現状どうしようもないか。
いずれにしても、未来へのグランドデザインも
ビジョンも無い球界には、崩壊への道しかない
のかな・・・・。
to 宮川さま
ガッツの場合は、目標達成した後なので、比較的いろんなものからのシバリは弱いでしょうね。
to 酔虎伝さま
そのかわりメジャーは給料はガンガン下がりますし、容赦なくクビですけどね。球団経営者が言う「赤字」という言葉ほどあてにならないものもないでしょう、日米問わず(笑)。
私には十分崩壊しているように見えますよ。
to いわほーさま
もはや巨人戦を毎試合放送することが日本プロ野球のブランドイメージを下げているという現実に気づいて欲しいです。昔は「垂れ流せば垂れ流すだけのことがある」だったでしょうが、ことここに及んでは、日テレももっと戦略的にならいといけないと思います。
その件は、ちゃくちゃくと準備してますのでご期待下さい(笑)。
to おんずさま
いや、別にもうかっているところが、もうかっていないところにまわせというだけのことなので、所得分配は、本来まったく難しいことはないと思います。閉じたリーグの場合、自由競争より、戦力均衡。それがあってはじめて、「育てて売る」など、球団運営ビジネスが多様化すると思います。
TBは本来の使い方ですから、まったく問題ありませんよ。
to 西田辺さま
胴元、もうけさせてもらってませんからね。
彼らにやらせている限り、まだしばらくこの方向性が続くのでしょう。
強奪するわけにはいかないでしょうが、なんとか入り込んでいきたいものです。
黒田の残留、よかったですね
私もこのサイトを見て、署名に加わりました。だいたい、投手力の弱い球団のエースを投手力の強い球団が金で強奪するなんて、あり得ない話だと思います
我々が小学校時代に三角ベースをやってたときも、できるだけ戦力を均衡させて楽しくやってたのに・・
ところで、オリックスの谷が、巨人の無名選手とのトレードとは、いったい何をかんがえているのでしょうか。
オリックスも、確かに費用対効果でみると、谷の成績は困ったものだけど、そうは言っても戦力の大幅ダウンはどうするのでしょう
巨人も今シーズン登用した若手はどうするのでしょう
せっかく黒田のニュースで気分がよかったのに、腹が立ちます
1の宮川さんもおっしゃってますが、黒田を見て小笠原も・・・と思います。
義理、人情、浪花節。
つーさんの申し送り事項はないのでしょうか(笑)
ファンもジャイアンツ愛を持てなくなるのでは?
先週の「SPORTS うるぐす」では、女子アナがキャンプ地に原監督を訪ねて幾つかの質問をぶつけていて、その中で「ジャイアンツ・ファンが、原監督に望んでいる事」といったアンケート結果が紹介されていた。「原選手の様な生え抜きのスターを、どんどん育てて欲し
to zero-52さま
つーさんの申し送りは全部ひちょりが受けたみたいですよ(笑)。
私は「出る」に500バーツ。
署名活動のTBからジャンプして読ませていただいて、バランス感覚のある方だなと思って、ブログをたびたび読ませていただいておりました。
ただ、このエントリについては、失礼ながら関西のマスコミ報道に毒されていらっしゃる気がします。
>私は、「黒田タイガース入り希望」という説が真実だったのでは?と思っているから。
まあ、「何の根拠もなく」とおっしゃっていますし、「思う」だけなら各人の勝手です。今となってはどうでもいいことですし。
ただ、黒田のこれまでの発言を聞き、コメントを聞いて、こういう発想は出てくるのかな?と。やはり、我が子=阪神可愛いのではないでしょうか。
これがやっぱり阪神ファンの発想なんだなと思ってしまったのはとても哀しい事です。
今回の事で報道に振り回されたのはカープファンだけではありません。阪神ファンも「黒田は阪神に入りたいと思っている」という一種の洗脳状態だったと思います。
「関係者に漏らした事などないし、不愉快」と言われても、しつこく「阪神入り」と報道しつづけたマスコミの真意がどこにあったのかわかりません。
地元では早くから「黒田は残留したいと言っている」という情報も流れていました。複数の「関係者」モドキが情報を流していたのでしょうか。
カープファンは今かなり阪神に対して不信感や否定的な感情を抱いています。これまで穏健だった人でさえ「岡田監督の黒田の分の星勘定をしていた」という記事に怒りを隠せない状態です。
ファン同志仲良くとまではいきませんが、お互い認めあっていきたいところですが、このままでは深い溝ができそうで・・・
長々と書いて申し訳ありません。個人ブログとは言え、影響力を持つであろうこちらのサイトでそのような意見が掲載されていることに「これが阪神ファンの総意か・・・」と残念な気持ちで書かせていただきました。
失礼しました。
to Pさま
ようこそお越し下さいました。他球団ファンの方は大歓迎です。
また、私は人の言葉をまともに受け取らないタイプなもので、不快にさせてしまったことをお詫びします。おっしゃるように、もう済んだことですし、私がこれを持ち出したのも、黒田の気持ちがどうこう(すくなくとも今は間違いなくスッキリしているでしょうし)が言いたいのではなく、井川のポスティングに関わるタイガースフロントの右往左往について言いたかっただけです。
虎マスコミには、少なからず毒されている自覚はあります。できるだけ抵抗はしておりますが(笑)。それと我が子カワイイのも間違いありません。だってファンですから。
直接関係ありませんが、自分自身で「なぜそう思ったか」「なぜそう思いたかったのか」を考えてみました。私の発想の中に、できることなら、みなが生まれ育った地元の球団を自然に応援できるようなプロ野球界であって欲しいなというのが強くあるんです。例えば、愛知出身の赤星が将来は地元のドラゴンズに行きたいと思っていても良いと思うし、二岡や福原がいつかはカープの力になりたいと思っていて欲しいとも思います。同じように黒田もタイガースに行きたいと思っていて欲しいな、と。
自分自身が関東生まれ、関東育ちのタイガースファンで、そうなっていく過程も「素直じゃない性格」や、「何にでも反発する性質」が影響しているだけに、そう思うんです(笑)。
個人ブログにしてはちょっと影響力があることも自覚はしてるつもりです。だからこそ、球団がマスコミを使って観測気球を上げているのに対し、いち早く(9月から)「反対!」の意見を掲げたのですから。まあ、今回こういう結末になったのは、カープファンが行動したからであって、タイガースファンは微力にもなっていないとは思いますが。
この結末が新たな問題を生みつつあるという指摘もあり、私もその通りだと思いますが、「黒田残留」ということだけを取り出せば、本当に良かったと喜んでいます。
http://masaka2.jugem.jp/?eid=273
http://www.h-ri.org/paper/?cate=carp&id=007
といことで、ご理解をとは言いませんが、溝をつくらないためにも少しだけ釈明をさせていただきました。
>>toraoさま
丁寧な解答をいただきまして、ありがとうございます。冷静な対応、感謝します。
井川のポスティングに関する考察、それもあったのかなと思いました。世論、少なくとも阪神ファンの間に「黒田が来るなら井川もそろそろ行かせてやったら」という空気ができるのを狙ったということですね。
カープファンからしたら失礼きわまりない話ですが(今回、カープファンが一番、憤慨しているのは「井川の穴埋めにヨソのエースをアテにする」という発想です)、それは置いておきます。
toraoさんがいち早く感情論ではなく野球界全体を見渡した視点で「反対」と唱えてくださったことはすばらしいと思いました。だからこそ、今回のエントリは大変残念でした。
>関東生まれ、関東育ちのタイガースファンで、そうなっていく過程も「素直じゃない性格」や、「何にでも反発する性質」が影響しているだけにそう思うんです。
生まれ育った街への愛着を持っていてほしいという意味での「阪神入り希望だったのではないか」ということですね。
当然、生まれ育った街への愛着はあるでしょう。デイリーやサンスポの論調もそのような雰囲気でした。ただ、何故それが阪神に直結するのか不思議でした。「関係者」とやらが本当にいたのかもしれませんし、大阪出身→阪神ファンという発想だったのかもしれません。本当のことはわかりませんが。
当然今回の件は、良いことだけでなく色んな問題をあぶりだしたように思います。市民球団としての限界、ビジネスとしてのプロ野球が抱える問題、欠陥が放置されたままのFA制度・・・・
そして、何よりも今回のことで、チームやカープファンがカープというチームを卑下し、プライドすら失っていたことを改めて思い知りました。
カープが、親会社のない独立採算=お金がない=満足に補強ができない=優勝から遠ざかっている というのは紛れもない事実です。そして、球団も観客動員や補強に対して積極的に動かなかったのも事実です。
関西のマスコミだけでなく世論全体が「こんな選手が貧乏で弱小チームにいてはもったいない」という流れになったのも仕方ないかもしれません。そして、それは当のカープファンが感じていたことです。「こんなチームに黒田はいてくれるんだろうか?ヨソに行けば金も稼げるし、優勝も味わえるのに」と。
そうでなければ、いくらマスコミに揺さぶられようと、ここまでカープファンが慌てる必要もなかったでしょう。
黒田がファンがカープに対するプライドのようなものを取り戻させてくれた。そういう意味で本当に「良かった」と思えます。
感情に任せていろいろ書き込んでしまい、申し訳ありませんでした。個人的なことですが、ファン同士がピリピリしているのを見て、残念に思い書かせていただきました。
また寄らせていただきますね。来期は良い試合ができますように。
to Pさま
広島カープがこれを機に「負のらせん階段」から抜け出すことを望んでいます。その可能性はたっぷりあります。こっちも負けないように頑張らないと、それだけ精神的な盛り上がりっていうのは物凄いものがありますからね。
ぜひまた、来て下さいね!