平均的に打率がガクッと落ちて、本塁打がぱったり出なかったのが今年のプロ野球だった。これまでの「日本仕様ボール」がいかに高品質だった(というべきかどうかは微妙だけど)のかがよくわかった。
内川、中村剛らほんの一部の打者はどこ吹く風だったけど、だいたいの打者は打率か長打で大きく影響を受けていた。
タイガースではどちらかというと鳥谷が影響を受けなかった方に入れていいか。本塁打は確かに前年の19本から5本へと激減したが、打率はほぼ同じ.300、出塁率は.395と大幅に上げてタイトル獲得。全体として、本塁打数ほど「下がった」という印象はない。
数字だけを眺めると、あたかも長打狙いを改めて、単打狙いに徹し、ボールをじっくり見て四球を選ぶように変質したかのように思える。このうち四球については、もとから選球眼は良い方だったが、バットを止める技術、ファールで粘る技術が向上して増えた側面はあったように思う。
しかし二塁打、三塁打の数があまり変わらなかったことでもわかるようにスイングや打撃の狙いが去年までと変わったとはそれほど感じなかった。やはりもともと右中間、左中間に良い打球が飛ぶ打者なので、飛距離の減少がものをいっているものの、打撃技術の向上により三振を減らし、四球を増やすことに成功したのだという見方が正しいと思う。
そうそうこないだネットで面白い書き込みを見た。鳥谷が何か別のモノになりつつあるようで少し怖くなった(笑)。
【引用はじめ】
鳥谷 (30)
打率 .300 (500-150)
対右 .300 (313-*94)
対左 .299 (187-*56)
甲子園 .301 (196-*59)
主要5球場 .299 (201-*60)
他球場 .301 (103-*31)
推定年俸 3億
これ凄いね
そらマートンにマシーンて言われるわ
【引用終わり】
おっと今日書こうと思っていたのは鳥谷のことじゃなかったのだ。後輩の上本のこと。そうやってほとんどの打者が飛距離で苦しんだ今年だというのに、たった108打数でチーム単独7位の3HRを残した上本という打者は実に面白いということが書きたかったのだ。
ちなみにこれ打数、本塁打数、本塁打率。
名前 打数 HR 率%
ブラゼル 422 16 3.79%
城島 132 5 3.79%
金本 348 12 3.45%
森田 32 1 3.13%
新井 550 17 3.09%
上本 108 3 2.78%
マートン 579 13 2.25%
桧山 62 1 1.61%
林 90 1 1.11%
鳥谷 500 5 1.00%
関本 224 2 0.89%
藤井 265 2 0.75%
俊介 190 1 0.53%
平野 542 1 0.18%
もうまた鳥谷ったらピッタリで気持ち悪い(笑)。
と言うことで、上本の打撃が統一球向きであると言ってしまうのは暴言だとしても、その打球が強い個性を持っているということがよくわかる。それをどういう方向に生かして行くのか。それともそれを殺してでも、チームが求める姿にさせるのか。それこそ指導者、首脳陣の一存にかかっている。
私としては、かつての福本豊さんのような、パンチの効いた小兵になって欲しいと強く願っている。
コメント
私も上本選手のパンチ力を生かして欲しいと思います。
1番バッターが、初回に2塁打、3塁打を打つと、かなりの確率で得点出来ますよね。
定評の有る走力に加えてこの長打力。
今のタイガースでは、私の理想の1番バッターに最も近い打者だと思っています。
鳥谷のピッタリ力には背筋に寒いモノを覚えますね(笑)
「狙ってました」とか言われた日にゃあ・・・
統一球の本質と言うものが、どの様なものかは数年使ってみないと分からないかも知れないけど
落合前中日監督が退任後に「今年は『統一球は飛ばない』と言う言葉にやられた」
「統一球云々以前に(球界全体で)ボール球に手を出し過ぎている」と語られていました。
印象としては、本当に「捉えた打球」はフェンスを越え、チョット擦っても去年までなら越えていた打球が
今年は外野手に余裕をもって捕球されている。
何はさておき、「しっかり捉えられる打者」でないと結果は残せない、と言う事でしょう。
チーム内でも上位のホームラン率を示す上本選手は、ホームラン打者ではないにせよ、「捉えられる打者」
の資質があると言う事になりますかね。
来年は、大きく突き抜けて欲しいです。