「打率」の評価はもっと下がるべき

「リーディングヒッター(首位打者)」とは、そのシーズンでもっとも打率が高かった人に与えられる称号だ。確かにひとつの指標における優秀者なのは間違いないが、それが「最高の打者」だとは全然思わない。
1打数1安打でも「満点」になってしまうことから、首位打者は「規定打席」というのを決めて、「それをクリアした人の中で」という条件がつく。だからギリギリで規定を越えた人の打率と、それよりも200打席ほど多く打席に立った人の打率を一律に比較することになる。極論すれば1打数1安打に「似た」意味の人が最高になる可能性があるということ。

昨年の例であれば、444打席という規定ギリギリクリアで打率3位(.314)だった糸井(神)と、それより179打席も多い623打席立って打率4位(.311)だった大島(中)を比べて、本当に糸井のほうが優秀だったと言えるのか。そんな指標に、「最高打者」的な価値があるだろうか。

「分母の大きさ」だけが問題なのではない。四死球という単打と同じ効果をチームにもたらす結果も反映されていなければ、得点のしやすさと直結する長打とも無関係。そのあたりも現代野球の価値を正しく映していない。
いわゆる「打撃三冠」には打率のほかに、得点を生み出したことを示す「打点」と、長打力を示す指標のひとつ「本塁打」もあるので、ある程度バランスがとれているかもしれない。しかし、その中でももっとも軽視していいのが「打率」だと私は思うのだ。

それよりも、もっと評価すべきなのは出塁率と長打率を加えた「OPS」……ということになる。ただしこれもあくまで「率」の話だ。だから顕彰の対象として使うからには「規定打席をクリア」みたいな考え方を採らざるを得ない。そうしないと、OPS=5.000の長坂が「1番素晴らしいバッター」になってしまう。可能性は否定しないが(笑)。

となると、その基礎数字となる塁打数と四死球の合計、その「積み重ね」で評価するのが、1シーズンにおける打撃の総合力だと言えるのではないか。
ちょいと手元で出せるのは「規定打席以上」の数字だけなので、本当は下位に規定以下の打者が食い込んでいる可能性があるが、とりあえず「塁打数+四死球」のランキングは以下。

list
打率.271で19位、OPS.961で3位の山田が堂々リーグトップに躍り出る。山田、坂本、鈴木はいずれもOPSのトップ3だが、率だと鈴木、坂本、山田の順だったものが、「カウント」だと山田、坂本、鈴木の順に変わる。
また、OPS4位のバレンティンは12位にまで急降下するなど、同じ基礎数字を使っても、率とカウントとではここまで違いが出る。
つまり、1年休まずに、たくさんの打席を積み重ねた選手に対して正当な評価が下されていると言える。

さて、阪神の選手を見てみると、打率堂々3位、もちろんチームトップだった糸井は、ガクンと下がって24位。大山の16位、僅差で続く近本の17位がチームトップレベルなのだから、これはいかにも寂しい限りだ。
糸原もリーグ21位で糸井を上回る。なんとなく強い印象を残しているベテラン選手たちよりも、彼らのほうがずっと試合に出て、チームの攻撃に貢献していたという事実はきちんと評価してあげないといけない。

あらためて言おう。昨年、チームでもっとも「良い打撃成績」を残したのは、大山だった。これがファクトだ。


週刊虎バカクラブ
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8 コメント

  1. yalkeys
    Posted 2020年1月13日 at 10:07 | Permalink

    興味あるデータだと思います。大山はここで!というシーンでの凡退で実体以上に低評価されたと思います。投手部門でも似たような分析はないのでしょうか。華々しさと手堅さは、どの世界にも存在すると思います。その評価が難しい所だと言えますね。

  2. 西田辺
    Posted 2020年1月13日 at 10:23 | Permalink

    >昨年、チームで最も良い打撃成績を残したのは、大山だった。
    これですよね。
    やれ4番の役割がだとか、いちゃもんに近い事まで言われながらも、やる事は
    やっている。
    金本以来、阪神には「フルイニング信仰」というのが蔓延っています。
    今年の目標は?と聞かれて「フルイニング出たい」と言う答え。
    より多くの出場機会を得るというのは、プロ野球選手として当然の欲求でしょうが
    果たしてフルイニング出る事そのものに、価値を見出してはいまいか?
    フルイニング出場はあくまで最終結果であり、そこに至るには外されないだけの
    走攻守にわたる成績と、ケガをしない(少々のケガに耐え得る)身体の強さが
    必要になって来ます。
    超例外として、記録がらみの金本や鳥谷と言う存在はあったものの、基本的に
    フルイニング出場と言うのは本来、初期設定目標ではないと思う。
    選手の本分は、いかにチームの勝利に自らのパフォーマンスをリンクさせるか。
    優秀な選手が、より多くの出場機会を得るのは当然の事。
    いくら能力が高くても、あちこち故障だらけで半分も出場できないのでは
    とてもチームに貢献しているとは言い難い。
    海の向こうでは、ありとあらゆる指標でチームへの貢献度が図られています。
    一年間、チームに多く貢献した選手が結果フルイニング出場を果たしたという
    形がベストなのではないでしょうか。

  3. 虎男
    Posted 2020年1月13日 at 12:24 | Permalink

    ランナー三塁での短打と四死球では結果に大きな差があるように、安打と四死球は等価値ではありません。また、本拠地球場に応じて成績は当然上下動します。神宮はナゴドより3倍以上本塁打が出ます。

    そこらへんの比重を統計的に計算した指標がwOBAだったりwRC+だったりします。
    1打席あたりのリーグ平均に対する得点力の割合を%にしたものがwRC+なんですが、セ・リーグでは
    鈴木誠也
    坂本勇人
    山田哲人
    の順で、鈴木誠也がぶっちぎりです。
    阪神は糸井が一位、梅野、大山、糸原、近本と続きます。残念ながら梅野以下はスコアが100(リーグ平均)に達していません。
    ただこれはあくまで割合での指標です。

    出場試合数による積み重ねの指標もRCやXRと言ったものがあります。シーズンを通して何点分の得点に貢献したか、という指標です。これは打席数がスコアに直結し、かつ盗塁も評価される指標なので、山田、坂本に比べ打席数が30打席ほど少なく盗塁成功率の低い鈴木がスコアを稼げず、セ・リーグ上位三者の差はほぼ無くなります。
    阪神では打席数の多い近本がチーム一位になり、大山、糸井、糸原、梅野と続きます。

  4. トラ11 さんのアバター トラ11
    Posted 2020年1月13日 at 12:32 | Permalink

    「チームのために頑張る」と言っても、「自分のために頑張る」のが本音。
    チームで一番良い成績だった大山は、「ここっ!」というチャンスに打席が回ってくることが多かったが、そこで結果を残すことは少なかったという印象でした。
    でも、チームで一番だったのですね。

    外人選手だけでなく、糸原、北條、植田、上本他、誰がこの「カウント」上位に躍り出てくるか分からない。

    大山は金本監督、矢野監督に期待されて多く4番を任された選手。
    今年は誰が4番を任されるのか、チームのため、自分のために頑張って欲しいです!

  5. ジュビロタイガース
    Posted 2020年1月13日 at 12:48 | Permalink

    大山に関しては守備もそうでしたよね。エラーは多いけど、守備範囲は広い。過小評価されてる選手であり、今年は化ける可能性があります。
    防御率もブルペン陣は評価を分けても良いですよね。調子の悪い日があると、一気に防御率が下がります。

    子供のころは最多安打表彰は無かった気がするなあ。無事是名馬です。

  6. なかっち
    Posted 2020年1月13日 at 12:52 | Permalink

    確かにチームに一番貢献度の高い選手は大山かもしれません。
    しかし、それで16位は本当に寂しいですね。
    ベスト10を見てもタイガース以外の主軸は一人は入ってます。
    如何に寂しい打線かわかりますね。
    得点圏にランナーを置いても長打が打てる選手が少ないため、相手の外野が前進気味にポジションを取れる。そのため1ヒットで得点出来ないのもチーム得点数が少ない原因かもしれません。

    今年はボーアとサンズを獲得しました。昨年よりは長打を打てる打線になったと思います。去年より100点は多く取りたいですね。

    それと、糸井の貢献度が低いと解った今、無理に使わなくても、高山を我慢して使う価値はあると思います。
    これ以上伸び代のない糸井とまだまだ伸び代のある高山。どう考えても後者を選ぶべきやと思います。

  7. 虎轍
    Posted 2020年1月13日 at 15:00 | Permalink

    印象度というか貢献度というか、大山はここぞの場面で打ててへんような感じでしたからね。
    気負わずに楽しみながら打席に立って、余裕をかましながらやったら、もっと数値は良かったかな?
    振り込んで力も付けたんやから、気負わずにいこう!
    期待しとるんやで!

  8. 熊虎
    Posted 2020年1月13日 at 22:51 | Permalink

    この話題には統計学の知見が必要だと思います。toraoさん、タイトルはちょっと暴論気味。
    打率(ave.)と標本数(n)だけで打率を貶めるべきではありません。
    例えば打点は統計用語の期待値みたいなもんですがサイコロの目×100円で計算すると期待値は350円です。塁上のランナーと打率の相関関係でこのぐらいの打点が期待されるみたいな指標です。350円よりも大きな金額を得られるバッターは打点の絶対数よりもチャンスに強いバッターと評価すべきです。得点圏四球率を勘案しない得点圏打率よりは余程統計的な考え方です。
    ぶっちゃけ、打率を他者比較で有意にどちらが上という評価まで試算するなら味気ないですが確率と標本数を標準偏差(要は世にいう偏差値)で比較するしかありません。その比較においてはじめて(統計的には初歩的ですが)優秀性に有意差があると統計的に評価されます。気分、言い分抜きでこれは評価できるんですよ。(重ねて言いうけど味気ないです)
    野球統計学はもっと味気ない浮世から離れた統計学的処理はたぶん誰かがやっていて表に出ていないんだと思います。だって小学生に理解できない範囲では大人だって直感的に把握できませんもん。無論、これらの観点は監督やフロントには絶対な知識だと思いますけどみんな頭使うっていうか高校の数学レベル(今時ほぼ全員の共通知性レベル)ですらどうなんでしょうね?

    パチンコだって玉数(支払い金額)&入り玉率で利益を統計的に考えたら誰もやりません。
    宝くじなんて高校の数学で統計の授業で存在を否定されています。否定すればなんだって否定的な評価(それも学問的お墨付きの)になります。胴元はもちろん計算済みの事実です。踊らされている側は馬鹿なのか、楽しいんだから胴元よりも幸せなのかそんなところです。

    バースの通算成績が統計学では無意味であり、もっと言えば鳥谷の生涯成績が今後の野球人生に現状で大きな意味を持っていないのと同様、春先の大当たりの打率もシーズン終盤の首位打者争いの毛まで計算する打率のヒリヒリ感も現在しか生きられない選手も我々ファンも統計学的用語でない「期待値」に胸を躍らせて務めて冷静な気分になって今日はこれまで3打席凡退の最終打席大一番の打席に根拠ない打率論争を頭の中でやってるじゃないですか。清原無冠、岡田だって無冠。案外タイトルとってる選手は世間で無名でも球界では監督・コーチ・母校の監督なんて食いっパグれはほぼ皆無です。たぶん打率、首位打者はすすめパイレーツの故事にもあるように野球に興味のある子供がホームラン王の次に野球にのめりこむ偉大な指標ですよ。選手たちより年寄りになってああだこうだ言うより実際の試合、実際の打席の声援に大きな影響を与える瞳の輝き指数が打率なんですよ。一般的用語の期待値、打席のこなし方での「失敗率」よりめっちゃ単純な「打率」、いいじゃないですか!

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