遥人7回1安打・板山決勝打で白星

東京ドーム三塁側2階席で2年ぶりの生観戦。入場制限によりまばらにしか入っていない野球場は寂しい。テニスやゴルフのように声もなく拍手が響く音も寂しい。ビールの売り子もいなければ、売店の客も少ない。これではとてもではないが商売にならないだろう。いつか、はやく、元の風景が戻るようにと願わずにはいられない。

試合は読売山口、阪神遥人の両先発が投げ合って、スイスイと試合が進む。序盤は山口のほうが優勢だった。制球もよく、空振りもよくとれていた。遥人は速球がやや暴れていて、四球やウォーニングゾーンまで運ばれる外野フライもちらほら。しかし徐々にペースを掴んでいった。
勝たなきゃいけない両チーム、0-0のまま7回までで投手交代となった。両投手7回無失点で無援護という、なんとも両チームの打線の苦しさを象徴する試合だった。

とくに遥人が打たれたのはわずか1安打。私はレモンサワーを買いに行っていたから(ばったり虎ジジイさんに会った)、それも見ていない。その後の下位打線も連続三振でピシャリだったから、ほぼチャンスらしいチャンスもなかった。

タイガースのほうは相手よりヒットもあるしチャンスも作るが点が入らない最近のパターン。何を焦ることがあろうか、飛び出し事故がふたつもあった。岩崎も上々の投球で、なんとしてでも勝たなきゃいけないのに、ホームが遠い。
8回を終わってまだ8時半になっていない。こりゃゼロゼロで同行者と飯食って帰れそうだな……と思ったが、そこからストーリーが展開した。

9回表、先頭中野が左前にクリーンヒット。続く近本のカウント2-2で中野がスタート、三塁に高いバウンドのゴロになりどこにも投げられず。無死一二塁。しかしこの日はマルテがブレーキ。どん詰まりの二飛で一死、さらには糸原がレフト線への惜しいファウルなどで粘るも6球目で空振り三振。160キロのビエイラの前に、今日もやっぱりいつものアレかと諦めムードが漂う。

打席には代走から守備に入っていた板山がそのまま向かう。代打糸井が矢野監督お決まりの手筋かと思いきや、何かヒラメキがあったのだろう。実際、守備や代走から打席が回ると、代打と違って試合に入り込めるので、幾分でもリラックスできるというのはあるだろう。
もしや……の期待も虚しく、板山は2球ファウルで簡単に追い込まれる。やっぱりクローザーと二軍から昇格とでは格が違うのか。そう思った3球目、板山の打ち方は前に崩されたかのように見えた。ところがバットのヘッドはしっかり利いていて、打球はライトへと伸びていく。背走する外野手がダイレクトキャッチを諦め、フェンス前で跳ね返りを待っている。フェンス最上部に当たり、ホームランにこそならなかったが、2ストライクから「望外」のタイムリー二塁打。ここまで二軍で黙々と努力してきた板山の「やられてたまるか」という思いがこもったいい打球だった。

ただ、相手のライト松原が上手く打球を処理したため、一走近本は三塁ストップ。1点しか入らなかったのが気がかりだった。試合が動いた9回ウラ、入らなかった1点が重くのしかからなければいいが。
そんな心配を一蹴してくれたのが続く木浪。連日のスタメン起用ながらこの日ここまでノーヒット。しかしここではビエイラの160キロ超の速球を前進守備のレフトの頭上へと運んだ。木浪は木浪で思いをぶつけたのだろう。前日の坂本といい、控え選手たちの活躍が光った。ふたりの走者を帰して3-0。これで安心。

ウラをスアレスが難なく締めて、痛恨のドロー寸前の試合を勝ちにしてくれた。まあ前置きの長い試合だったが、だからこそスッキリ爽快感もまた大きい。そんな試合を見に行けて大満足。気分よく人影少ない夜の街に飲みにいった。


週刊虎バカクラブ
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11 コメント

  1. 虎ジジィ
    Posted 2021年10月15日 at 08:47 | Permalink

    東京ドーム5回表終了後「売店に並ぶtoraoと、トイレに走る虎ジジィが偶然遭遇」!
    これは「なにかあるぞ」と思ったら最高のカタチのご褒美がありましたね。
    お馴染み赤顔のtoraoさん、まあ周りの人はまさかこの人がインフルエンサーとは思えない程オーラを消していたけれど、どこでスーパーマンに変身したのか?コラムは冷静沈着な分析かつ最高にエキサイティングです。

    正直、9回2死2球で板山が追い込まれた時は私も「ファームでこんな速い投手はいない、仕方ない」と引き分け以下を覚悟しましたが、この崖っぷち男が見事な一打で決めてくれました。
    大学後輩の木浪がトドメを刺したのも良かった。
    最近ずっとヒットは出るが点が入らない便秘状態でしたが、この2人のタイムリーでお腹スッキリ気分爽快でした。

    苦労人板山のヒーインでは涙が溢れた。気づけば両隣りのオッチャンも目頭を熱くしていた。
    この板山に刺激を受け、同期髙山の奮起も期待したい。

    「あ〜楽しかった」!!

  2. こうさん
    Posted 2021年10月15日 at 09:10 | Permalink

    両チーム合わせて25個の三振(間違っているかも)。両投手が良かったのか打者がダメなのか。中盤、早くも「引き分けの為にスアレスを使いたくない」と思ってしまった。まさか、あんなドラマが待っているとは‼️

    9回、マルテが相変わらずの初球を見逃す。「ホームランボールだろうが‼️」とセカンドフライに苛立ちマックス。けどマルテの打席で矢野監督が板山に耳打ち(密に気を付けて)。「絶対に初球から行け‼️」というアドバイスだと予想した。ファールになったが初球から食らいつく板山。絶対に結果を出したい男。…まさかまさかの決勝タイムリー‼️良くやった板山‼️絶対に結果を出したい男2の木浪も続く‼️ベンチに帰ってきた木浪が一瞬カメラ目線になりそうだったが、まだ試合モードだと気付いたかのように目線を外したのが良かった(緊張感を持続させんとね)。

    昨日の9回はマルテを除けば数年前の外国人が来日する前の肌寒いオープン戦のようなメンバー。けど今のタイガースを支えているのは間違いない。坂本が打てない日に新たなヒーローが生まれたのもデカい。

    最後の挨拶、矢野監督の前を歩く梅野の目に生気がなかった。大丈夫、出番は来るから。それまで身体を休めて坂本への悔しさをスタメンの時にぶつけろ。坂本が元気なのは梅野が頑張ったから。来季は、どっちが矢野捕手の時の野口になるか勝負だ。その為には矢野監督が使い方をしっかり考えないとね。

    まだまだ諦められないゲーム差2。…今日は全力で読売を応援します‼️

  3. タクロー
    Posted 2021年10月15日 at 09:16 | Permalink

    そして、君はヒーローになった。
     
     最後の打者になるかもしれない場面で、打席に立った君は、前夜の失敗に怯むことなく初球からバットを振った。おっ、明らかにスイングが違う。ファールになったけれど力強い。2球目162キロのストレート。これにも当てる、ではなく振りに行く。追い込まれるも目は泳いでいない、少しもおじけていない。3球目、ものの見事にバットを振り抜いた。あと数十センチで柵越えの大きな当たりで中野が生還。喜びが弾けたベンチに2塁ベース上から応える笑顔。熱くさせられた。大学の後輩木浪が続き、同じく後輩の遥人が見事な投球で相手を封じ込んでいたゲームの勝利を確実なものにした。亜細亜大学の日だ、とのこと。まさにそのとおり。

     第一声は「 サイコーにうれしいです!」そして、「ファームに落ちて、苦しい時もありましたけど、あきらめたら終わりだと思って、日々支えてくれる人に恩返しできるようにと思って毎日やっていたので、この大事な時にいいところで打ててよかったです」と胸の内をさらけ出す。「遥人が頑張って投げていたので、何とか本当に、捨て身でというか、気持ちで食らいつくということしか考えていなかったです」熱い熱いモノがこみ上げてくるのをこらえながら答える姿に心打たれる。

     マルテの上向いてホイの凡飛、糸原のズッコケ三振のあと、バッターボックスに向かうのを呼び止められて代打糸井なのか?と予感がした。それを踏み止まり、直感という信頼で打席に送ってくれた監督に感謝だ。懸命に汗を流してきた男に野球の神様は微笑んでくれた。ともに汗を流してきた仲間たち、入団当初ジョコビッチと呼んでくれた平田監督が遠く宮崎の地から自分のことのように喜んでくれているだろう。振り返れば、島田がけん制で刺されたのが幸いしたのかもしれない。どんな形で幸運に巡り合うかわからない。それを掴み取れるかどうかは日々の強い思いと継続する努力なんだろう。
     まだまだ諦めない大逆転優勝へのラッキーボーイが誕生した。そう希望のひとがやってきた。
    さあ、奇跡を突き抜けろ!

    —–
     登録されたばかりの榮枝捕手が抹消された。なんで?と思ったら「右肋骨の疲労骨折」と診断されたという。頑張り過ぎたか。残念だが、来季の活躍を期待するばかり。

  4. サークルKシュンスケ
    Posted 2021年10月15日 at 09:21 | Permalink

    板山の一打はいつかの中村豊を思わせる、チームも自分も救うものと思います。ヤッター!

  5. yalkeys
    Posted 2021年10月15日 at 09:44 | Permalink

    板山に代打を出さなかったのは、矢野監督の「感」だった由ですが、よく振り切ったバッティングが出来たと大拍手です。
    最近坂本捕手への讃辞が目立ちますが、私は梅野へのリスペクトを忘れてはダメだと思います。ここまでトップを維持して来たのは梅野の功績だと思います。ここの読者ならお分かりだとは思いますが、最近バッシングが気になりコメントさせて頂きました。原巨人の落日はひどいものです。ヤクルトに今夜負ければ(それはタイガースにとっては大変なことですが…)負け越しになるなんて。

  6. 西田辺
    Posted 2021年10月15日 at 10:03 | Permalink

    高橋遥人が好投し、板山が先制打を打ち、木浪が追加点を叩き出す。
    何という亜細亜大の日。
    おまけに首都大学リーグでは、阪神に指名された亜細亜大岡留が完投勝利とか。
    板山は、一度は一軍に上がったものの余り活躍の場面もなく再び鳴尾浜へ。
    ファーム日本一の原動力となったけど、いつか一軍へという心の炎は
    消えてなかった。
    昨日の代打では、初球を凡打。
    7回にロハスの代走から試合に入りましたが、二死一二塁の場面で、代打を
    出されてもおかしくはなかった。
    ファーム監督時代から板山を見続けてきた矢野監督には、板山の真っ直ぐの
    強さは記憶に残っていたのでしょう。
    打った球種はスライダーでしたが、大して曲がらずにスーッと真ん中高めに
    浮いた球を、綺麗な回転であわやホームランの打球を放ってくれました。
    スタンドに一旦は入ったんですが、フェンスの上のバーの下を潜ったという事で
    ホームランとは認定されず。
    大学の1学年下の木浪も、高目の真っ直ぐをレフトの頭上を越える2ベースで
    決定的な2点を追加する。
    ヒーロインタビューで板山は「遥人が頑張って投げていたので、何とか打ちたかった」
    と勝ちは付かなかったものの好投した2学年下の後輩を気遣った。
    まぁ、厳しい上下関係とか封建的とか言われるけど、こういう学生時代の先輩後輩
    の関係というのは良いですね。
    亜細亜大デーは偶然かも知れないけど、遥人-板山-木浪と心の連鎖があったかも
    って考えると、また一つ野球の見方も面白くなるかもしれませんね。
    2日間の休みを挟んで、甲子園で広島2連戦。
    前回は、情けない3連敗を喰らいましたが、ここでリベンジのチャンス。
    こっちも負けてられないんですよ。

  7. Posted 2021年10月15日 at 10:21 | Permalink

    亜大トリオが活躍しましたね。中5の遥人が杞憂に終わってよかった。とは言えやはり間隔は空ければ空けるほど良くなるタイプだし、慢性虚弱体質(失礼!)もあるし心配です。次も中5でスワローズ戦でしょうが無事であることを祈るしかないですね。まだ暑さの残るこの季節に、しきりに丸く握った左手に暖かい息を吹き込む仕草が多く見受けられます。只のクセならいいのですが血行障害か何かで指先が冷えてるのだとしたら…と思うとゾッとします。これも一ファンの杞憂にに終わればいいのですが。

    板山は一年分のいや何年か分からないくらいの鬱積した想いを晴らした殊勲打でした。代打はまだ居たのに矢野監督の動かない積極策が功を奏しましたね。と言うか情に厚い矢野監督ならではだったか。いずれにせよ160超のストレートを投げるクローザーからよく打ってくれました。謎のスライダーという幸運な配球とは言えファームから上がってすぐの選手が出来る業ではない。魂を感じました。それとのギャップで遥人がベンチ前で両手を上げて喜ぶ様の可愛いこと!女子かっ(笑)

    あとオマケみたいになってしまうけど木浪のダメ押し打も大きかった。先輩後輩に触発された様だけど普段からもっと執念的なものを出して行った方がいいと思います。センスはあるんだから、気迫と状況判断が出せれば素晴らしい選手になれるだろうに。

    スワローズ分けでゲーム差は縮まったけどまだまだ劣性具合は変わらない。今日明日休んで今度こそは地の利を活かして行きたいですね。

  8. 虎番地
    Posted 2021年10月15日 at 11:01 | Permalink

    観戦勝利おめでとうございます!
    9月10月のドームで負けなかった事実は、相手の状態が良くないとはいえ、来季への自信になるのではないでしょうか。

    今日はワクチン接種2回目の副反応で体調激悪なので、吉報を寝て待ちます。

  9. 岩修
    Posted 2021年10月15日 at 11:40 | Permalink

    ドスコイもだけど遥人7回無援護。
    5回のロハスの飛び出しで6回表は遥人から。何なんロハスと思った。マルテもチャンス潰すし…。
    しかし遥人は降板してからベンチで味方の攻撃を希望の目で見つめていた。
    流石に9回、ナカチカで作ったチャンスにマルテ、糸原の凡退で遥人の目から希望の光が消え失せた。ビエイラと岸田捕手が何度もサイン確認でタイムかけるしイライラ。しかし、ここからドラマが。皆様の書かれた通りですが板山の3球目に捕手が低く低くのジェスチャーの後ジャストミート!遥人も両手を挙げて万歳!松原の好守備があり物足りない喜びだったけど木浪レフトオーバー2ベースで喜びはさらに倍。安心スアレスで終了。良く分からないけど、これが俺達の野球なのかと思った。torao様、虎ジジィ様そして現地で応援されたファミリーの方々お疲れ様でした。サトテルの良い当たりのファールもあったし本当にナイスゲームをありがとう!タイガース!
    日曜から炎の8ゲーム。燃え尽きて灰になりそう…。

  10. 虎轍
    Posted 2021年10月15日 at 12:47 | Permalink

    ドラフトで困った時は亜大出身者を獲れ!
    私はそう思ってます(笑)
    板山、木浪、高橋遥人は亜大出身の1学年ずつ違うだけ。
    亜大出身者は大変よく出来ました!GJ
    板山はタクロー様の叱咤激励があったから打てたんでしょう!二軍からの勝ち運の使者あらわる!
    torao様が現地観戦したら勝ちますね。無理を言えば…毎日現地観戦してください(笑)
    西勇の抹消は分かるが、榮枝まで抹消なん?
    代走でも代打でも使って欲しかったです。
    今日はあまり気乗りはしませんが、Gは勝て!
    疫病退散!
    頑張ろう日本!

  11. Akira28
    Posted 2021年10月15日 at 14:28 | Permalink

    たしかに、引き分けでシャァないか、と自分を慰め、言い聞かせていた板山の打席。
    マルテのアホ⁈、何してんねん。
    糸原なんとかセンカイ!
    板山、随分逞しくなったなぁ、なんやそのメガネは。ウルトラ警備隊か?
    まぁ、ええは、勘弁したる。
    しゃあけど、二塁打打ったロハスをひっこめて、板山かいな。
    あかんもうツーストライクや。
    あかん。
    うわー、何!
    ホームランちゃうん。
    あっ、二塁打⁈
    ウソー!
    やった〜‼︎
    嬉しかった。

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