気持ちはわかる。わかるけれども、ちょっとだけクールダウンして聞いてもらえたらと思う。
あ、まず何のことかって言うのを説明しておく。MLBやパ・リーグでは、翌日の両先発投手が誰かって前日に発表する「予告先発」っていう制度があって、セ・リーグでもやった方がいいんじゃないか?と実行委員会で議論になっていたと。報道だと、阪神だけが慎重姿勢を見せて、継続審議になっていたが、阪神も参加に回るようで今季から導入される勢いだとか。
それに対するセ・リーグ球団ファンの反応は、私の印象だと反対&冷ややかが大勢のように思われる。
で、私個人は「本質的なことではないからあんまり意識してなかったけど、言われてみれば導入した方がいいよな、レギュラーシーズンは。ポストシーズンはダメだけど」という意見だ。
私にとっての野球は生活の一部だから、予告先発があるかないかによって何か具体的な行動や習慣として影響があるかと言われればあんまりない。球場に行くかどうかも、自分の都合との兼ね合いだけで、特に先発投手が誰だからというのはない。今現在の野球ファンはみなだいたいそうだろうと思う。先発の予想というのは楽しみの一つではあるかも知れないが、数ある楽しみの中の一つであり、言ったら枝葉の部分にすぎないと思う。
そこらへんファン心理もなかなか微妙なものがあるようで、先発を予想するのが楽しみ!という人も、自分でチームに帯同して情報収集しているワケじゃないから、基本は中何日という単純な計算と、メディアからの情報をあてにしているのだ。
試合当日朝のスポーツ新聞の予想先発欄で、そうか今日はあの投手が先発なんだなと調べる人もいるだろう。まあどっちにしても「教えてもらっている」ようなもんだ。
それでもこれだけ反対の声があがる一番の理由は、「両チームの先発投手を発表します」のアナウンスをドキドキして聞きたいという一点じゃないかと思うのだ。これは本当によくわかる。ほとんど誰だかはわかっているのだけど、当日まで言わないでくれ!ってやつ。
でもね、実は予告先発にもあるんだよね。火曜の試合で「明日の先発投手を発表します」って水曜の試合の投手を発表する。まあ自分が今見ている試合じゃないんだけど、でも球場でそれが発表されて、うわ!それなら明日も見に行きたいと思うケースもあるだろう。リピート客を増やす効果が予告先発にはあるのだ。
予告先発の最大の狙いは、客が呼べる投手の試合を事前に宣伝し、より多くのお客さんに来てもらうことにある。MLBでもパ・リーグでも一定の効果が認められているからこそ続けられている。その現実をしっかり見ることは大事だ。
野球産業にとっては集客増は最大の命題。今現在「野球大好き!」という人にとって予告先発はドキドキ感を減らすものにすぎないが、これから野球ファンになっていくかも知れないが今はまだスーパーライトなお客さんを獲得する手段としても予告先発は有効だ。商品の良さ、確かさを事前に宣伝できるのだからね。
もう一つネガティブな意見として、「そらスターを予告すれば客が入るだろうが、不人気な投手を予告すれば客が減るから意味がない」というのがある。でもこれってどうなのかな…と考えてしまうのだ。
逆の言い方だと、「言っちゃったらお客さんが来なくなってしまうような先発投手で試合をやらなきゃいけなんだから、やめておけ」ってことにならないか。堂々と明日はこれを売ります!買ってください!と言えないような商品を、「明日は明日のお楽しみだよ!さあ何が出るかな?」と、福袋商法で売ってしまえってこと?
脱線するけど、売れる福袋ってのは、どれを買ってもハズレがないってわかっているから売れるのであって、基本的にスカが多いとバレているような福袋は初売りだって売れない。中身を隠すことが福袋の本質なんじゃなくて、「お得」が本質なのだ。
野球界のサービスで言えば、お客を呼べる投手を揃えることが球団がやるべきことなのだ。だから「やらなくていい理由」を排除することは、とても大切だと思うのだ。
ということで考えていくと、得られるものは、連日のリピート客であったり、先発投手個人に焦点を当てたセールスであったり、その個人を目当てにやってくるライトなファンであったり、「商品」の質を向上させなければいけないという球団のモチベーションであったり、すでにある程度実証されている動員増であったり…。
逆に犠牲になるのは「試合当日球場でアナウンスを聞く時のドキドキ感」と「スポーツ新聞を見ながら1週間のローテーションを予想する楽しみ」、それと各チーム年間に多くても数試合程度の「奇襲」、ちょっと入れ替えたりとか偵察メンバー使ったりとか、そんな感じの「駆け引き」くらいか。申し訳ないけど、さっきのものに比べたら私には小さいもんに感じられてしまうのだ。
さて、阪神が慎重姿勢だったのは当然のことだ。基本的に観客動員に苦労をしていない数少ない球団で、それを考えたとしても重要なのは「自チームの優勝に損か得か」だけだからだ。そしてその結果、「得」ということになったらしい(笑)。
またポストシーズンも動員の心配がないから、ありとあらゆる「枝葉の面白さ」を追求しなきゃいけない。クライマックスシリーズ、日本シリーズは予告なしでお願いしたい。
面白かったのが岡田監督。彼は05年の日本シリーズで予告先発をしようと相手のマリーンズ、バレンタイン監督に持ちかけた張本人。駆け引きの面白さがなくなると大ブーイングだったが、攻撃力に自信があったタイガースなので予告先発が優位に働くと踏んだのだろう。結果については言うまい。
そして現在の報道。
「セが予告先発になったら、交流戦も予告先発になるわけやろ?日本シリーズもやん。おもんないわ。反対やな」(デイリー)
おもろいおっさんやで、マジで(笑)。
【無料】虎バカマガジン・ライト >>
人気blogランキング >>
コメント
私など頭のかたいオッサン的には、やはり予告先発には反対です。
デイリースポーツ紙の先発予想わざと(!?)ハズし作戦も使えなくなりますしw、試合前の「今日誰やろ」のワクワク感や奇襲(先発)作戦(最近殆ど無いけど)の楽しみがなくなるのがちょっと…
ただ、今日の文章読んで不思議と「まあ、(予告先発も)いいかも!」と少し思えてきました。
それから西田辺様昨日の…、私の読み違いだったら申し訳ありませんでした。アッチソンは私の中で引き留めて欲しかった外国人No.2(No.1はフィルダー)だったのでつい…m(_ _)m
toraoさんの理論には一定の(かなりの)説得力があります。“福袋”を例えにした解説には「なるほど」と思います。
だがしかし、球場での先発予告(バッテリーを少し早く発表するやり方)を聞くときのドキドキ感は決して小さくありません。
予告システムでパの観客が伸びたのかどうかは分からないと思います。ダルとか田中とか超スター選手がいたり、試合運びが面白かったりが影響している面もあります。セの観客ダウンにはセの特定球団の人気下落もあると思います。
セパが予告先発を導入すれば、交流戦もCMも日本シリーズも予告でもいいわけで、むしろその方がプロ野球としての一貫性が保たれるような気がします。
全体の流れは、セも先発予告になりそうな雰囲気ですネ。
個人的には予告先発は阪神ファンの立場からすると
・先発投手は左右のバランスは良い
・ファーストは城島ブラゼルを併用し易い
・事前情報はダダ漏れ
・チケットは前売りで捌ける
差し引きしてもあんまり差はないですね。野球ファンの立場なら奇襲先発が無くなると残念ですけど。
気になるのは独立リーグ派遣が決まったり(なんか外国人枠みたい)、DH制導入案が浮上したりとどうも球界再編臭がするのですが…。
予告先発。
う?ん・・・反対ですね?(笑)
試合前から戦いは始まっているという、野球の奥深さが損なわれる気がするんですよね。
スタメンは、戦術に関わる大事な所。
ここを事前に公表してしまうのには、どうにも違和感が有るんですよね。
6年前にも予告先発議論がありました。当時はパの野村楽天監督がパも予告先発をやめようという発案をしたんでしたね。
そして当時はバレンタイン監督が世界の潮流を主張したのでした。予告先発だけの問題だとはいいませんが、セパの逆転現象にセが焦っているのは間違いないでしょう。
当時私も記事を書いていました。「集客第一」
http://torao.tblog.jp/?eid=70866
あ、それともうひとつわかりやすい例として…。
私は濃ゆーい阪神ファンですが、MLBについてはファンと言えないくらいライトな関心しかありません。でもダルビッシュ先発試合とか、和田先発試合とか言われれば、かなり惹かれます。
日本プロ野球もそうやってライトなお客さんを増やすことからしていかなきゃいけないと思うのです。放っておいても見てくれるホンモノのファンから多少の楽しみを奪うことになっても…。
既存ファンの多数決では絶対に否決されるのに、実行委員会では可決される理由はおわかりいただけたと思うので、この辺でやめときます。
コラムを読むまでは予告先発には反対でした。その理由は先発投手が発表される時のワクワク感、その予想が自分なりに当たった時の優越感が損なわれると思っていたからです。
阪神戦、しかもほとんどが甲子園での観戦の私にとって、パ・リーグが導入している予告先発の発表が前日の試合中に発表されるということは知識としてなかったことです。またその場面を想像すると、「よし、明日は杉内か!ファームから浅井をあげるか」とか「明日の横浜は谷間やから真下か、じゃあ右を並べてみよか」などと明日のオーダーにワクワクする自分がいるような気がします。タイガースファンの場合、明日の先発を聞いて明日も来ようというにはチケットが入手しにくいとかそもそも球場に行くには何ヶ月も前から予定しているという人(普通の人はだいたいそう)が多く、観客動員には影響ないと思います。
パ・リーグの観客動員が伸びたのは予告先発ではなく、地域密着型のフランチャイズになったからだと思います。首都圏に3球団が居座るセ・リーグとはかなり条件が異なります。
まぁ世界的な流れから予告先発は導入やむなしとは思います。 それにしても日本人は奇襲とかっていう戦術が好みなんですかね?敵を欺くっていうところから戦いは始まってるというお国柄なのかもしれません(笑)
私も予告先発ありかなと思っています。先発投手が事前に分かるということは両チームのスタメンも予想できる訳ですよ。
かつて関本と平野が相手投手の左右で併用されていた時代に予告先発があったとしたらと想像すると面白いですよね。「おっ、相手が左と分かってて平野スタメンか。セッキー怪我か?競争決着か?」てな具合でしょうか。
私も反対派でネガティブな事ばかり考えていたのですが、考えてみれば新聞で、岸とか涌井が投げると知ると、ちょっとだけBS見てみようかな…なんて思ったりするので、セリーグもそういうレベルの先発の顔が出てこないといけないわけで…
エースの自覚とか誇りにも繋がるかもしれませんね。阪神の場合、去年のローテの5人を除くと精神的にも不安定で裏目に出ないか心配ですが。
トラオさんのご意見を拝見し、物事全ていい面と悪い面がある、と浅はかな自分をちょっと反省しました。
そう、オープン戦に負けてもそれがかえってよかったと思える日がくる事を信じて ^^;
その日の先発がネタバレになるという面では面白くなくなるわけですが、これは言ってみればプロレスのマッチアップみたいな感じで、「今日は鶴が先発か?、打線がカバーするから思い切って投げろよ!」とか、「今日は能見とマエケンか?、一点差勝負の投手戦になりそうだな?」とか、いろいろ想像する楽しみはできると思うんですよね?。
まあ、1年経てばそういう楽しみを見つけて慣れるんじゃないでしょうか(笑)
去年は統一球、そして今年は予告先発。日本の野球がグローバルな存在になるためには、変革は必要だと思います。
元々は集客に好影響があるであろうと始められた制度でしょうが、導入以降その「効果」を現したものを目にしたことがありません。
(メジャーや韓国でも導入してますが、その経緯は分かりません)
セリーグでも以前1年間だけ曜日限定やカード限定で試行したはずですが、その分析は行われたのでしょうか?
経営側が経済的効果・集客効果を見込むなら、明らかにその効果について分析するのは当然でしょうが、そのような事を行われた形跡も見当たらないし、
今回の件については何故ここに至るかの経緯も不明です。
NPBなり各球団が観客動員に関する調査を行い、その結果観客動員に先発投手の動向が大きく関わっていると言うなら大いにやるべきでしょう。
これを以て、球界改革や経営努力をしていると言うアリバイ作りに利用されるなら、やる意味はないと思います。
大きく変革するなら、せめて何故そうするのか説明する責任が施行側にはあると思いますよ。
私は真っ向から「大・反・対!」です。
toraoさんのご意見も予告先発の魅力としては半分くらい理解できるものの、ただでさえ冗長なプロ野球シーズンのスポット的な魅力であり、コアなファンが注目する着眼点であるローテの回し方に種明かしの方が先ってのはどうかと思います。
現場的には強弱の戦力の差は戦略で補って戦える材料としているところにギミックの無いガチンコが意味があるとは思えません。
投手だけ特別枠で予告でなく、スターティングメンバー全員の予告でなければ、少なくとも「フェア」ではない。
そこまで確約できない予告先発なら、単純に商業主義ですし、「球場で何かが起こる」という現場主義から「今日は安泰」六甲おろしを歌いに甲子園へ行こう!・・・という勝率重視主義になってしまいます。
勝ち負けがあるのが教訓的であり、教育的であるのに、より予定調和の世界であるプロレス的になるのは対戦カード至上の短期的に魅力だけであり、長期的に魅力を減ずる手法だと思います。
私的には前売り券に予告先発が記入できないような制度なら商業的にすら「やるべきではない!」ですね。
予告先発導入は反対です。
自分の場合、確実に球場に行けるのが月曜(移動日)なので大概仕事終わってから試合途中の参戦になるので既に継投とかもしばしば・・・
球場に行けるだけでめちゃめちゃ嬉しいので相手の先発が分かったからと言って行くのをやめるとかはけしてないですがやはり先投手や偵察メンバーが入ってたらそこに誰が入るか当てるのが楽しいので予告先発反対です。 それだけの理由ですが。