処理と感情

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 どうも私は心の動きに鈍いところあるようで、ものすごく感激したり、かっと逆上したりということがあまりない。


反射的にぱっと表現することが苦手というか、そうならないようにという意識が強いのかも知れない。だから、ちょっと人より遅れて、じわじわじわじわ喜んだり、悲しんだりしているように思う。さめている…というのもあるけれど、鈍いという方が当たっているんだと思う。小林繁氏のことだ。
 もっとも知らなかったいろんな情報が後から出てくるからかも知れない。ファイターズファームの若者たちから慕われていた様子、福井での活動の様子、タイガース現役時代の様子…昨夜行われた通夜に集まった人たちの話や、別れを惜しむ人たちのコメント、思い出を読むうちに、だんだんだんだん寂しくて、悲しくなってきた。
 人が体験している寂しさ、悲しさを通して、自分の感情が引っ張り出されているような感じ。心のつくりが素直じゃないのか、想像力が弱いのか。
 きっと想像力が弱いのだと思う。受けた刺激、与えられた情報が、文字になってしまって、その文字の「収め場所」を決めるように処理してしまう。だから感情を引き出してくる前に自己完結してしまう。
 写真や映像は、その心のプロセスを無意味なものにする破壊力を持っている。サンスポにあった、「小林繁さん突然死、写真で綴る波乱万丈伝」という写真特集を見ていて、そのいったんは処理完了したはずの「小林繁死去」が、感情によって未処理状態に戻された。
 ふだんは、「文字だけで勝負しよう」なんてカッコつけて、報道機関等のサイトにアップされている写真を転載しないようにしているけれど、今日だけそのうちの1枚を載せたい。
 1980年のオールスターファン投票でタイガースが球宴ジャック。その後の1枚だ。2年目のブレイザーが帰国し、中西太さんが監督代行。岡田が大卒ルーキー、小林・真弓・若菜がタイガース移籍2年目、ラインバックが来日5年目で30歳、掛布が高卒7年目。
 私は14歳で中学二年生。1枚の写真で、その頃のおぼろげな記憶が感情とともに引き出された。

コメント

  1. yalkeys より:

    いい写真を見せていただきました。
    最後の1枚だけがカラーというのも、時代を考えさせられます。小林さんが岡田の帽子を取り上げているのも、ユーモラスですネ。

  2. 元々関西人 より:

    思い出してみると当時の新聞は写真は白黒でした。新聞名のロゴだけが単色カラーでした。
    80年、予備校入学のために大阪に来ました。
    毎日予備校から寄り道せずに帰ってました。
    外食もせず自炊でした。
    それもみんなサンテレビの中継を見るためでした。
    予備校大学の5年間、いつでも行けたはずの甲子園に行ったのは1回だけでした。
    そして就職のために大阪を離れた85年に優勝したのでした。

  3. shu より:

    いい写真だなぁ・・・
    プリントアウトして額に入れて飾ろう
    自分が阪神ファンになった頃の写真だ
    田渕とブリーデンがいればカンペキ!

  4. いわほー より:

    私の中のタイガースの原風景にもぴったり収まるナイスな写真です。
    今となっては鬼籍となった二人(ラインバック、小林)の笑顔がグッと胸につかえます。
    タイガースは去年から胸につかえること続きですね。
    ペナントリーグでこのつかえを吐き出させてもらわないことには、ホントやってられませんわ。

  5. あかね より:

    この写真はすごい!
    私にとっても原風景のような一枚です。
    小林さんの件は、いまだに文字にならないというか、ピンときてません。テレビで黒い額縁に入った写真を見ても、変な夢を見ているようで。

  6. 拉麺 より:

    自分はその世の中に存在すらしていませんが、みんな若いですね・・・
    小林さんは若く輝いて見えますし、掛布さんや岡田監督もさわやかですね。
    いい写真です。。

  7. 西田辺 より:

    私にしても、訃報に接した時には何故この若さで、と惜しむ気持ちはあれど
    「一阪神OBの死」以上の意味は見いだせないままでした。
    しかし、ここ数日の報道や情報で感情の振幅は大きくなる
    ばかりです。
    特に彼が情熱を傾けた少年野球の情報には、こみ上げるものが
    抑えられません。
    人それぞれ、心の琴線は違うでしょうし、起伏の度合いも
    違って当然かと思いますよ。

  8. L in ナゴド より:

    あの当時、小林があの事件であのチームから来た頃のイメージが私も戻ってきました。
    すごく嬉しかったし、彼一人が輝いていたことを思い出しました。
    あの頃の弱い球団の中でたとえようのない素晴らしい19番だったし、あの膝を落とすあのフォームが忘れられません。
    今でこそ茶飯事だが、あの頃は、あり得ないぐらい程!あのチームには無敵だったんだ。
    小林は!

  9. ジジィ より:

    懐かしい写真です。
    改めて投球の映像を見ても、やっぱりいいボール放ってますね。
    もう、こんな投手は出て来ないでしょう!

  10. とらぽるた より:

    みんな若いな?。
    投手はコマ不足だったけど、野手陣は主軸となるべき掛布、真弓、岡田が成長過程にありちょっと楽しみな時期でした。
    ところでtoraoさん、余計なことを蒸し返すようで何ですが、昼間読んだ時に「俳諧力」なる言葉があったような?
    ふ?む、初めて聞く言葉だが「限られた字数でイメージを膨らませる力かな?」と推測し、カッコいい!どっかでパクって使ってみようと思ってたんですが・・・
    あれ、単なる入力ミスなんですか?な?んだ、つまんない!(笑)

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