ワイドオープン意識

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 残塁も多いし、守備やバントのミスもあった。反省点は多々ありながらも、能見が踏ん張り、打線が毎回の16安打と爆発し、最後は球児が浮き上がる直球連発で締めるという、悪いことをすべて忘れてしまうようなスカッとするゲームだった。


でも悪いところはちゃんと改めないと、後で困るからね。
 マートンの特大来日1号含む4安打、ブラゼルの弾丸2打席連発含む3安打、寂しかったクリーンアップがそれぞれタイムリーなど、先発野手全員安打は確かに素晴らしかった。どの当たりも、気持ちの良い打球だった。
 だけど、一発、痛いタイムリーを浴びた時の青木高、横山の球がことごとく甘すぎる。それをちゃんと打ったんだから、みんなエライはエライんだけど、ただそれだけのことだと気持ちを締め直した方が良い。
 正直なところバカバカ打つたびに大喜びはしたけれど、この試合で「うむ」と力強く頷いたのは6回と7回の守りだ。この夜の広島はとても寒そうで、能見も決して本来の出来ではなかった。しかし流れを呼び戻すマートンの一発が出て以後は、もう決して緩めまいという気概がバッテリーから伝わってきた。
 見慣れていないから新鮮に感じるのもあるのだろうけど、城島のリードは「苛烈」。打者にとっても投手にとっても。合っていないと見れば、改善の兆候が見えるまではしつこく責め立てる。対応されると見れば、その対応が最も裏目に出る球を要求する。
 6回ウラ直球ファールで追い込み、フォークを見逃させた廣瀬の三振、お見事。インコース真っ直ぐしか投げずに、それでも的をまったく絞らせなかった石原の三振、お見事。 7回ウラ、どんな球が来ても対応できるモードに入っている東出に対して、能見のもっとも遅い球である大きなスライダーを2球続けて空振り三振、お見事。
 それはもちろん、能見の持ち球の殺傷能力が高いからできることなのだけれど、城島の攻め(守っていても攻めだね、あれは)を見ていると、「ワイドオープン」という言葉が浮かんでくる。右打者に能見の真っ直ぐが2つ続く。打者の頭にはイヤでもその球の軌道が焼き付いている。意識はそこに集中している。すると、それ以外の部分がぽっかり広く空いてしまっているのが気になって気になって仕方ない。もちろん城島はまたインサイドの真っ直ぐを要求する。そこに集中しなければ…だけど他をあんなに広く空けておいて大丈夫なのだろうか…。ウラのウラのは表。城島は「意識の集中」と「ワイドオープンへの警戒」を作り、「続けることで迷わせる術」の使い手だ。
 強肩、強打ももちろん魅力だけれど、今までのタイガースになかったものに引き込まれた。

広島?阪神1回戦(阪神1勝、18時3分、マツダスタジアム、28074人)
阪 神 121 101 000―6
広 島 100 200 000―3
【阪神】○能見(1勝0敗) メッセンジャー S藤川(1セーブ)
【広島】●青木高(0勝1敗) 岸本 横山 大島 永川勝
[本塁打]ブラゼル2号(神) ブラゼル3号(神) マートン1号(神)

コメント

  1. ジジィ より:

    城島のリード、素晴らしかったんですね!
    私なんぞは「バカバカ打って」を、ただ楽しんで観てました。
    toraoさんは触れていませんが、デイリーによると「アニキの右肩」かなりヤバイみたいですね。4月26日にフルイニ1500試合(節目)に達しますが、その辺りを一つの「区切り」にしたほうがいいかも知れません!心配です。

  2. 熊虎 より:

    これが能見の新しいピッチングフォームなのか、単にバランスが崩れているのか、後ろに残る重心・腕の横振り、リリース時にもまだ体重移動が終わっていないような安定のなさ。
    正直、とても状態の悪い能見でしたよね。
    途中、機会を見て振りかぶって投げていた辺りから修正が見て取れました。
    結局、能見が打たれる時というのはコースとリズムが単調になるときで、抑えるときというのは、能見自身は普通に投げているストレートが右打者膝元に糸を引くクロスファイヤーになっている場合です。つまり紙一重。城島はワンバウンドのフォークを連続して投げさせたりして、いつもの能見比で比較的悪い球でも打者に軌道の確認をさせないような、投手に不用意に真ん中近くに球が来ないようなリードと指示をしていましたね。(寒そうな中、能見も大変な思いをさせられたと思います)
    金本の右肩は打撃には影響ないんじゃないかな? ただし昨日の内野への返球は弱肩とか、衰えではなく、完全に『故障』のレベルです。連続フルイニングはともかくとして、チームの四番である金本でなければ出場機会はもらえないでしょう。
    4番としてはどうかな? タイムリーは出たけど凡退の内容がボールの下をバットが通過するフライか空振りが極端に多いし、大体、上からボールをひっぱたく打撃スタイルの人が、この手のインパクトの修正が出来ないって不思議なんだけど。トップが取れていてスイングスピード良好、肩の影響が心配されるインパクトとフォローも問題なさそう。
    個人記録関係無しに、チームとしては暖かく、照明が明るく球が見やすい次の名古屋か13日からの東京ドームまでが我慢と容認の限界かなと思います。

  3. かきぴー より:

    ほめて育てるtorao氏。
    けなしっぱなしのかきぴー。
    うん。今年もその路線だ!(爆)
    マートンの一発以降の能見の目の覚めるピッチングには、私も惚れ惚れしました。それは能見の才能のみならず、城島のリードありき、なのですね。
    うんうん。

  4. 拉麺 より:

    昨日の能見はなんだか球は速いんですが、去年身に付けたコントロールがバラバラでしたね。
    5回くらいからは持ち直しましたが、少し心配です。
    心配と言ったら右肩痛の金本。
    この機会に、浅井とか葛城とかを先発させてみた方がいいと思います。
    プロ野球選手はカラダが資本、健康じゃなきゃダメですよ。

  5. 西田辺 より:

    城島というキャッチャー、矢野や狩野と大きく異なるのは
    「ボールの力」への信頼度の高さ。
    この辺が強気と言われる所以か。
    勿論これは両刃の剣で、球威・キレがあると効を奏するが
    、それがないと…。
    如何に自分の球に自信が持てるか。
    ここが大きな鍵を握りそうな気がします。

  6. より:

    城島にリードに引っ張られてそれに応えた能見信頼関係がなければ能見はKOされていた可能性もありますね。次の登板で修正出来るかが課題になりますね。
    マートンはシーツ臭がしてきた感じがしますね。努力する姿勢が好感が持てますし今は自分のペースを維持して確実に階段を上がって欲しいですね。

  7. コンすけ より:

    はじめまして!!
    阪神順調ですねw
    アニキ打ちましたね!

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