試しに、2021年の阪神タイガースの「ヘソ」はどこにあったのだろうかと考えてみる。2021阪神は最終的に貯金21で終わっている。貯金のピークはシーズン最終戦を落とす前の22。ただし、それにほぼ並ぶ貯金21をシーズンの前半戦で記録している。
6月半ば、交流戦ラストの北海道&東北遠征を6連勝し、交流戦予備日休みの明け初戦、6/18甲子園の読売戦を7-1で勝ち貯金を21とした。
この試合、2回に輝明、サンズ、梅野、近本と4本の二塁打で3点先制。そして続く3回も先頭マルテの四球から大山、輝明が連打で無死満塁、苦手のメルセデスを引きずり下ろすと、代わった田中6番サンズが満塁ホームラン。序盤にして7点の大量リードを奪うと、先発西勇が7回1失点、8回を及川、9回を岩貞がそれぞれ3人ずつで退けて完勝という内容だった。
メルセデスを攻略しながら、その後は田中、利根(3回)、戸田(1回)といった「力の劣る投手」に沈黙し、好投を許したところに甘さは感じたものの、この時点でここがタイガースの前半のピークになると予感した人はいなかっただろう。
翌日6/19土曜日、14時開始のデーゲームだったが雨のせいで試合開始が遅れ、その後も砂の入った悪コンディションでの試合。先発は将司と戸郷のマッチアップだった。初回から点を取り合試合展開で、輝明がセ5球団制覇となる17号ソロが出るなど7回を終わって2-3、1点ビハインドながら、その時点のチーム状況からすれば十分に終盤の逆転劇が期待できる展開だった。
8回表、7回110球3失点の将司に代えて、藤浪を投入。藤浪は、開幕戦以降5試合を先発で投げた後、4月24日に登録抹消。その後、村上や湯浅が登録されることがあっても藤浪が一軍に呼ばれることはなく、再度登録されたのは6月4日。疲労蓄積の岩崎に代わって勝ちパターン継投の一員として組み込まれた。岩貞、馬場、藤浪といった面々でスアレスまで繋いでいた(岩崎も6/18には再登録されたがまだ登板はなかった)。
藤浪は、以後交流戦後半の5試合に投げ、その間、5試合5イニング、被安打4、被本塁打1、与四死球2、自責点1、1勝3ホールドでチームの勝利に貢献した。ただし、1勝がついた前回登板(6/13昼の楽天戦)は、1点リードの8回、先頭の鈴木大地に同点ホームランを浴び、初めてリリーフ失敗を記録していた。
それから交流戦休みもあって1週間近く登板間隔が空いている。使われる場面もそれまでの勝ちパターンではなく、1点ビハインド。ここが藤浪にとっての正念場だった。
8回表、読売の先頭は1番松原。藤浪は155キロ前後のストレートを続けるが制球定まらずカウント3-1からあっさり四球を出す。しかし続く2番ウィーラーには高目の直球が枠に入る。カウント2-2からこの日初めて投げたカットボールで注文どおりの三ゴロに打ち取り二塁フォースアウト、一塁に転送したがセーフとなる。
当たりもグラウンドも悪かった。ウィーラーもよく走った。ただ、大山の足の出が悪く送球にもスムーズさを欠く。糸原も懸命に送球したが遅れを取り戻すには至らなかった。
残ったウィーラーへの代走立岡、打席に3番丸。カットボールが高目に抜けた1ボールから、走者を警戒しながらの2球目、甘めの151キロ直球をセンターバックスクリーンに放り込まれる。丸も調子を落としていて抹消を経験、このシリーズから一軍に戻っていた。これで2-5。
9回エドワーズも牽制悪送球などで1失点し2-6で敗戦、貯金は20になった。
翌日は読売高橋、阪神秋山の投げ合いとなった。阪神は輝明の18号ソロのみで1-2で連敗し、貯金は19。その後、じりじりと後退し、一時貯金は13になり、読売、ヤクルトとの混戦に飲み込まれた。
さて、今頃蒸し返してどうなるわけでもないし、それだけがすべてということでもないが、あえて言おう。2021年のヘソは、「6/19読売戦の8回表、先頭打者四球と併殺崩れのあたり」にあったと。
コメント
ヘソですか。これだけ克明に書き連ねて頂けると記憶力の乏しい私でも当時を思い出せます。私の勝手な想像ですが岩崎はまだ調整が必要で藤浪には新たな活路を見出して欲しかっただと思います。この時点で対読売は6勝5敗とまだ勝ち越している状況だったので矢野監督にしてみたら、余裕ではないけれど藤浪を試したりして負けても大勢に影響はないとの思いはあったのかも知れません。結果論ですがここで叩いてたら読売が上がって来る事もなかった様に感じます。
なるほど。ヘソのゲームだったと私も思います。
どの試合のどの場面が、シーズンの分岐点になるのかは人それぞれの
思いもあるかも知れません。
この6/19の試合に限らず、取れるはずの併殺が取れなかった場面が
数多くありました。
公式記録に表れませんが、この辺も「タイガースの守備」の稚拙さが
出たのかも。
個人的には、その2カード後の甲子園でのDeNA3連戦3連敗での
初戦の初回、エラーのランナーを置いてのオースティンのライトへの
ホームランが、チームに宜しくない空気を吹き込んだ気がします。
そこまでシーズン7勝2敗と勝ち越している相手に、勝手に貯金シリーズと
決め込んでやられた印象が残り、以降DeNAに対し思うような成績を
残せなくなってしまっています。
相性なんて簡単にひっくり返るし、いつまでもお得意さんでいるはずもない。
緩みや油断があったとは思わないけど、今まで勝てていた相手に痛い目に
遭ったことで、チームとしてのバランスが崩れた可能性があります。
勝てる相手にシッカリ白星を重ねることも、優勝するためには必要な
要素なんでしょうね。
最後の「さて」からの畳み掛け、読み終わった直後に生唾を飲み込んだ。これぞプロの文章。
昨日のコメントに「月毎の弱点を見付けること」と書いたが、遥か上を行くピンポイントの試合へスポットを当てたトラオさん。オフシーズンは「自分のコメントがネタになれば」と助平根性を秘めて書いているがトラオさんは先を突っ走っている。
藤浪はヒットを打たれるだけで、四球を出すだけで、悲壮感が漂う死球を出すだけで、負けるだけでタイガースの全てを背負わされているように感じてしまう。「期待の裏返し」という言葉では片付けられないほどに苦しみ、苦しめられている。あんなに「打たれるんじゃないか?」と思われながら「やっぱりな…」とタメ息ををつかれてしまう投手を俺は見たことがない。
どうすれば藤浪に「幸せな野球人生だった」と言わせられるのか。球団は絶対に藤浪を解雇しない。裏を返せば「飼い殺し」にも映る。自分のコーチ人生を藤浪と共に分かち合える人はいないのか?
今日の文章こそ球団関係者に読んでほしい。振り返って反省して咀嚼して新しい計画を実行する…新しい監督や新しい外国人を招聘するだけでは何も変わらない。
「日本のへそ」を名乗る地域が全国にいくつもあるようですね。
なので2021年タイガースのへそも人それぞれ。
toraoさんも西田辺さんも、どちらの説ともなるほどと思えなくもない。
前半戦終了時点でタイガースの貯金は15。
2位の巨人が貯金11、3位ヤクルトが貯金10。
タイガースとすれば後半戦で貯金を20台に伸ばせが優勝は固いかなと思ったものでした。
結果貯金21と目論見通りの結果になったんですけどね。
9月5日甲子園の巨人戦、高城れにちゃんの前でサトテルが2打数無安打2三振で33打席連続無安打。
あの時、れにちゃんの前でサトテルが1本でもヒットを打っていたら、その後のサトテルも違ってたんじゃないかなと。(サトテルのへそ)
「ヘソ」は大山と糸原の「球際の弱さ」だったのかも知れません。
toraoさんが散々仰っているように、セカンドには「守備職人」を入れ、三塁守備がイマイチな大山はファーストに固定すべき時でしょうね。
そこで、昨日乗っかれなかったので私なりに分析した
「開幕スタメン・toraoさんはこう考えてるであろう」予想をしてみました。
1 遊 中野L
2 右 島田L
3 中 近本L
4 一 大山
5 三 佐藤輝L
6 左 ロハスS
7 捕 梅野
8 二 小幡L
9 投 青柳
とにかくセカンドは守備力重視「打てばもうけもの」ぐらいに固めたいのではないかな?!と。
小幡にはかつての大和のように「2割5分だが守備(走塁)で飯が食える選手」になるべく練習を積んで欲しいです。
2021は「エラーにならないミス」が多く、それが優勝を逃した大きな原因であると考えます。
後は才能溢れる藤浪を「第2の新垣渚」にしない事。
彼の復活も2022のカギ!
タイガースは前半で大きく貯金をしてましたが、そこで他球団がタイガースを潰しにきましたからね。
ヤクルトが注意の範囲外になって二桁連勝してたのも厳しかった。
広島や中日がヤクルトにあと1勝でもしてくれてたらなぁ…と今でも思っとります。
頑張ろうタイガース!
torao様やファミリーの皆様の昨日の予想メンバーと今日のへそを読ませて貰いました。自分もあの読売3連戦で勝ち越せなかったのがヘソと思います。何故ならあれ、不味いかもと最初に思った瞬間だったから。後は後半バンテリンで、サトテルの打球が切れてなかったらがも1つのヘソです。後はやはり藤浪。彼の覚醒を引き出せるのはビッグボス新庄さんだけじゃ無い筈。左打ちに限ってだけどロハスの覚醒。マルテが?の時に糸井と原口がどう働くか、さらに打撃力では欠かせない糸原をどう起用するか難題山積みで自分は頭こんがらがってます。