最後は美しい試合だった。バックのミス、貧打を補って余りある若き両投手、岩田と吉見の魂こもる投げ合い。ウッズと藤川の勝負。戦いの終わり。中継が終わる。
目の前にある大きな空気のかたまりが邪魔で何も考えられない。終わっちゃったなぁ、今年も。終盤にかけて、思うような活躍が出来なかった選手も多かったから、それを思うと悔しいし、結果を考えると悲しい。それにしてもこの空気のかたまりのせいで身動きできない。しぼむのを待つしかない。
号外をアップし、コメントを眺める。PCの前でしばらく時が過ぎ、スポーツ紙のサイトに、試合後の写真がアップされ、レポート記事が上がる。敗軍の兵たちが感謝の気持ちを込めて将を胴上げし、別れの握手を交わす。スタンドのファンにもお詫びと別れのあいさつをする。深々と頭を下げる金本。
「お前が打たれて、お前で終わってよかった。ホンマにようやったよ」涙をこらえきれないぐしゃぐしゃの顔で藤川に声をかける岡田監督。泣きながら両手で握り返す藤川。
納得…。納得か、そうか。納得はする。とりあえず風呂入って寝るか。
いつもと同じように寝て起きて、選手たちの声を読む。去りゆく監督へのお詫び、感謝の気持ちを読む。
岡田タイガースの集大成にふさわしい試合だったかも知れないね。監督としての技量や手腕とか、そういうことではなく「存在」としてね。「タイガースはそんなもんじゃない」「岡田監督はそんな人じゃない」と一部で言われながら、「ダメ監督」という冷たい視線を一部で浴びながら…。それでも多くの人の心の中に、認めたくなくても認めざるを得ない「温かさ」と「爽やかさ」を残していく。
不思議であるが、不思議でもない。だって彼は、あの岡田彰布なんだから。ドラフトでタイガース行きを希望してくじ引きで当たって入ってきて、85年の優勝の時、大活躍した、あの背番号16の岡田彰布なんだから。私たちと同じ、タイガースのビッグ・ファンなんだから。
おうそらそうよ、初戦は井川、初戦は安藤、4番は金本、今岡は5番、JFK、左右で使い分け、代打片岡、代打桧山、平野にバント、関本にバント、アッチソン2回球児2回、そらそうよ、しゃあないやん…。
感情が入り込む余地のないオートマチックな流れを作ることが岡田システムであると言える。しかしこの岡田システムは、やっている者にも、見ている者にも、望外の感情を溢れ出させるシステムだった。信頼、期待、失望、不満、ストレス、喜び、カタルシス、絶望…。まるで機械的な仕組みなのに、なぜか人間味に溢れる。いや機械的だからこそ、それをやる人間の気持ちが増幅される。どこか土にまみれた姿、泥臭さを感じる。
泥、土…うん、畑だ。この5年間、岡田監督は真正直に畑を耕したと思う。品評会で全国1位は取れなかったけれど、「土さえ悪くしなけりゃ、またチャンスは来る」という信念を常に感じた。そして一過性のものではない、良い土を作ったと思う。
「覚悟」のシーズンは終わった。何かが終わり、何かが始まるシーズンは、終生タイガースファンの思い出に残るシーズンになるだろう。
岡田彰布監督、5年間お疲れさまでした。
コメント
toraoさんもシーズン通して素敵で奮い立たせてくれる文章を書いてくださり本当にありがとうございました。
引き続き・・・宜しくお願いします(笑)
空気のカタマリ=「燃え尽き症候群」でしょう。私も同じ症状が出ています(笑)。
岡田監督、そしてtoraoさんホントにご苦労様でした。 結果はどうあれ楽しい一年でした。
真弓氏には、チームの若返りを望みます、安達佑実のお母さん級の(改造と)若返りを…(笑)
昨夜はテレビの前で大泣きしたのに、この記事を読んだらまた目頭が熱くなってしまいました(泣)。
岡田監督、お疲れ様&ありがとうございました。選手の皆さんもお疲れ様でした。悔しさばかりが残るシーズンになってしまいましたが、今はゆっくり休んで疲れた体を癒して欲しいです。
目にする風景が昨日と今朝ではこれほど趣がことなるのでしょうか、人のこころは物凄く正直なのでしょう。
タイガースに元気を貰い続けた1年でした。
またこのブログに出会ってから、一層タイガースにのめり込んでしまいました。toraoさんの流れるような素晴らしい解説の応援歌が沈みがちな気持ちを何度も平常に戻してくれました。感謝の気持ちでいっぱいです。
野球の面白さを阪神野球で知りました。
来季もこの阪神のワクワクドキドキする野球が続くよう願っています。
出勤してすぐ読ませていただきました。
涙が出てきました。
岡田さんお疲れさま。toraoさんもお疲れさま。
でも、toraoさんは明日からもよろしくお願いします。
現地での胴上げはこんな感じでした(小っちゃくて見えてない?^^;)
http://flickr.com/photos/gorimon/2959365193/
さようなら岡田監督。
新井、金本の体調の悪さは一目瞭然だったので監督としても
「覚悟」のラストゲームだった事でしょう・・・
人情野球・・・そんな5年間でしたね。
野球ファン(特にTファン)はみなそれぞれが監督、評論家なので
他のスポーツの監督より激務です。
ファンが望む「常勝チーム」作りはやっと基礎が出来たところ
あと何年かかるか解らないけど完成させて欲しいですね。
1年ぶりくらいにお邪魔させていただきました。
toraoさんはじめ、虎ファンの皆様お疲れ様でした。
藤川君で打たれたか・・・
「成瀬で負けたならしょうがない」
昨年のハムに負けた時の心境を思い出しました。
悔しかったですけど、でも「おまえに賭ける!」って思ってた選手で負けてしまった事は本望だったような気がします。
辛いだけではなく、虎ファンの皆様に爽やかな敗戦であって欲しいと願っております。
岡田監督も選手の皆さんもお疲れ様でした。
岡田監督、10年前ならもっと大きなことができる監督だったでしょう。
これからは、MLBのようにリーグ戦一位より、日本一の方に価値があります。
勝率よりも短期決戦です。
岡田監督の勝率至上主義では駄目。
岡田監督もアメリカへ行って、六大学とは違う野球を勉強してこられたら良い。
勝負ごとですからいつかは負けるし、勝ち目はなかったかもしれないです。でも、選手達がそれぞれにひとつの勝ちによって「まだ試合ができる」「少しでも長く、一試合でも多く」と勝ち負けを超えた思いを口にしました。
それが終わってしまったことが途方もなく哀しくてやりきれなくて・・
でも、選手や岡田監督の姿、涙、言葉に清々しさに、「だから好きなんだ」とシミジミ感じた次第です。
本当に岡田監督、選手の皆さんお疲れ様でした。
toraoさん、ありがとう。今後ともよろしくです。
to torao様
岡田監督ありがとうございました。
再び戻って来るその日までお待ちしております。
toraoさんありがとうございました、これからもよろしく!
だって次期監督、
僕(の名前と同じ人)だもん♪
岡田監督、コーチ、選手のみなさん、お疲れ様でした。
今年はとても疲れた年(特に精神的に)だったと思うので、ゆっくりと心と体を休めてほしいです。
ニュースで岡田監督が胴上げされて泣いているのを見て、本当に辞めちゃうんだなと寂しくなりました。
信じた選手は調子が悪くても結果が出てなくてもとことん信じて使う。
岡田監督のすばらしいところであり、弱点でもありましたね。
だから短期決戦には弱かったけど、好きな監督さんでした。
ゆっくりと休んだらまたタイガースに戻ってきてもらいたいです。
(個人的には2軍監督としてまた選手を育ててもらいたいです・・・)
リーグ優勝をのがしたときは鼻っ柱に強烈なパンチを食らいました。
それでも、その痛みもクラシリを勝ち上がることによって癒されるはずでした。
が、クラシリ敗退…。
今度はボディーに重い重い一撃を見舞われました。
ひとシーズンに二度もこんな痛みを味わうハメになるなんて、クラシリはつくづく残酷な制度です。
みんな、みんな、お疲れさん。
濃厚なシーズンを過ごさせてくれた岡田阪神タイガースに大感謝です。大拍手です。
ぼくは7回ごろ妻に言った。
「最後は藤川が打たれておわるような気がする」と
なぜか岡田野球の結末はそんな気がした。今年の終わりはせつなく、そして納得できる結果のような感じが!
岡田野球にはもっと望むことはたくさん
あったんだけど、最後になぜか「しゃない」
と思わせる不思議な野球でした。
おつかれ様
日本一の歓喜とともに終焉を迎えてほしかったけど。
でも、そんなに美しい終わり方は似合わないのかな(笑)
一番信頼を置いた打者がチャンスを潰し、一番信頼を置いた投手が打たれて敗れた。
相手は岡田時代、数々の死闘を演じた落合竜。
お互い次世代を担う投手の息詰まる好ゲーム。
過去も現在も未来も見せてくれた一戦でした。
「終わる」と言う事にのみ焦点を当てれば、最も相応しい終わり方だったと思います。
阪神からオリックスへのトレード時以来の岡田の人前での涙。
悔しさ・寂しさ・達成感・・・あらゆる感情の塊を選手たちはシッカリ受け取って
明日からに備えて欲しい。
岡田監督5年間お疲れ様でした。
楽しかったよ。
また、甲子園でお会いしましょう。
toraoさん今シーズンご苦労様。
岡田監督5年間ありがとうございました。
試合後、選手がベンチを後にするのを確認してTVを消してしまい、岡田監督と球児の号泣シーンは新聞で知りました。
素晴らしい信頼関係だったんですね。
人の目をはばからず、球場のど真ん中で号泣しあうプロ野球選手なんて今時居ないですよ。
阪神の勝ちに拘り、采配おかしい、配給ミス、打撃コーチが悪い等と言う阪神ファンも居ますが、
もちろん勝利も欲しいですし、勝てば嬉しい、しかし、私は球児や岡田監督のような、こういった素晴らしい人間関係を見れることに、これを見て感動出来る阪神ファンで有り続けたいと思っています。
これからも阪神と共にtoraoさんも応援しますので、素晴らしいブログお願いします!
タイムリー打ったら喜び爆発
打たれたら口をへの字にして怒りを表す
こんなに表情豊かな5年間
幸せでした
ファンにとっては安心感のある監督です
だから尚更、喪失感は大きいです
でも今日からも虎は続く
toraoさま
これからもあんじょうたのんまっせ!
”おう、そらそうよ”というご返事待っています。
小生は、納得できないですね。
ヤクルト、横浜は、ヨミウリに、わざと負けたんじゃないか?
歴史的な逆転優勝を演出して、
金融恐慌を大衆の目から逸らす為に。
ヨミウリと裏で話がついていたんじゃないか?
阪神の負け方も、何とも悲惨。
ただ、これで決心がつきました。
今日を持って、
アンチジャイアンツを止めます。
阪神ファンも止めます。
結局、小生には、
プロ野球は、向いていなかったのでしょう。
神様は小生に、
もっと真面目に仕事をしろ、
とでも言っているような気がします。
torao様、
皆様、
素晴らしい文章や楽しいコメント、
ありがとうございました。
酔虎伝さん、
私も貴方様のようにヤクルト、横浜の戦いぶりには?でした。
何故ってヤクルトは開幕で読売に3たてでした。それなのに終盤になって逆に3たて食らったり・・・対阪神には必死でしたし・・・
(4先発投手の関係などあるでしょうけれど)
プロ野球は分からないことが多すぎますよね、WBCの監督問題にしても。
それでも私は野球が好きでタイガースファンは止められそうにないです。
阪神だって巨人に7連敗してるわけですから、ヤクルトや横浜を攻めたって仕方ありません。
私は岡田監督にはまた2軍監督をやってほしいですね。
若手の伸び悩みがある昨今、彼ならまた活きの良い若手を1軍に送ってくれるはずです。
お疲れ様という言葉と同時に、WBC監督、2軍監督まだまだやってくれ!と思います。
(全然お疲れ様になってないですねw)
やっぱ岡田が好きなんだなぁ。
まずは岡田監督お疲れ様と言いたい。
とは言え、こんなに悔しい年もない。全てが終わった虚脱感に襲われております。
阪神は強い。だが、何かが足りない。このオフにそれを補って欲しい。
それにしても阪神ファンはやめられない。
僕の好きな岡田さんが、阪神タイガースを離れてしまうのはとても悲しいけど、阪神ファンのはずの人たちが岡田采配を批判したり、ひいては解任しろとか辞めてしまえとかブログやBBSで書き込まれたりヤジられているのを見るのも、それ以上に悲しかったよ。
いい監督だったなあ…。
いつか必ず阪神に帰ってきて下さい。
野球っておもしろい、ということを改めて実感させてくれたCSでした。
実は個人的には9月の下旬に、いつまで経っても覇気の出ない打線に「今期日本シリーズまで残るのは難しいかな。」と思っていました。もちろん何かのきっかけで流れが大きく変わってくれることを祈ってはいましたが。
ですからリーグ優勝を逃した時も自分でも驚くほどショックを受けませんでした。
しかしながら、このCSでは選手や監督の心の機微を充分に堪能し満足しております。
調子がそれほど良いとは思えないながらも頑張って腕を振る川上、負けじと腕を振る安藤、若いながらそのあとをしっかり投げる浅尾、それを送り出す落合。鳥谷の渾身のスイング。後半思い通りのピッチングの出来なかった岩田、吉見の気迫の投球。そして藤川のストレート、逃さなかったウッズ。
野球ならではの「間」のおかげで、それぞれの心の機微を垣間見たような気がしました。
感謝。
また来年もよろしく。
ほんとに辞めちゃうんですねぇ。
一年が終わったことよりそのことがショックで・・。
ともあれ岡田監督お疲れ様でした!大好きです!
またいつか戻ってきてくれることを信じて、いまは真弓監督に期待しましょう。
突っ込みどころ満載だった岡田監督には、容赦の無い突込みをためらうことはなかったのですが、真弓に対して私たちは容赦の無い罵声を浴びせることができるのだろうか・・それが心配というかなんというか。
もっとも、真弓にそんな突っ込みどころが多くないことを、まずは祈りますが
岡田時代は、これでけっこう面白かったですよね。
24時間が過ぎてもまだ気持ちの整理がつかず、です。
いろんな感情が入り乱れてますが、野球の面白さを教えてくれた岡田監督には感謝。近いうちに戻ってきて欲しいです。どこかの記事にありましたが、いずれは球団社長になって欲しい(笑)
岡田監督同様に野球の面白さを教えてくれるtoraoさんにも感謝!
チームは予定よりちょい早くオフシーズンになっちゃいましたが、toraoさんにはオフシーズンにおいても球界の諸問題を取り上げて頂きたく…(笑)
勝手なお願いすみません。
岡田監督、お疲れ様でした。
今後お願いしたい事と言えば、
一回「岡田彰布」としての解説を聞いてみたいですね。
大阪弁丸出しの厳しくやらかい話で。