NPBとマネー

プロ野球は「内需」だ。スタジアムを中心にした街づくり、地元ファンを核とした人づくりができる。
球団誘致は行政にとって魅力的な政策だ。
パ・リーグで閑古鳥がないていた昔のスタンドを思い出せば、プロ野球への投資など「道楽」でしかなかっただろう。しかし、現在はまったく違う。すべての球団が1試合平均2万人以上の動員を誇る。12球団の平均は3万人を超えている。そんな状態で年間72試合以上を主催できるのだから、他のスポーツとは比較不可能なくらいめちゃくちゃ大きなビジネスだ。

だから、リターンが得られる「投資先」として機能していれば、もっとお金が入ってくるはずだが、そうはなっていない。その主な理由は、投資を(ほぼ)受け付けていないこと。

新たな球団を持つことは基本的にはできない。12という決められた数の中でやっていく、そう12球団が決めているからだ。よって、12のうちのどこかが「退場」しない限り、参入はできない。
そもそも参入の障壁が高すぎて、投資目的では魅力を感じないようにできている。
加盟料として30億円をNPBに渡さなければならない。30億円のうち25億円は預かり保証金で、球団を10年間保持すれば返還されるが、逆に言えば10年間は無利息でNPBに預け、もし球団を保持できなくなったら没収されるということ(法的根拠未確認。あってる?)。
企業が同じ立ち位置に3年いられるかどうかも知れないこの激動の時代に、25億円を10年も塩漬けにするなど、投資家にとっては馬鹿馬鹿しい話だ。

プロ野球への投資にメリットを感じるとすれば、NPB独特の「企業名を売れる(宣伝効果)」ことにある。しかし、ここにも世界情勢の変化が押し寄せている。
今、投資を希望しているのは、どういう企業か。名を売りたい「事業会社」ではない。関心があるのは事業ではなく、「金が金を生む」仕組み自体だ。だから、企業名の宣伝には別に興味がない。
昔であれば、球団名として日本全国に企業名を呼んでもらえば、抜群の宣伝があった。それにより信用が増し、商品が売りやすくなり、若者が就職先として憧れる有名企業になれた。内需を牽引する企業としてプロ野球を活用できた。

今、投資したい企業というと、たとえば今さら国内でPRする必要などない「金余り」の有名企業、あるいは、国内外の法人個人の投資をとりまとめるいわゆる「ファンド」、そのどちらかではないか。だからいずれもNPB特有の「企業名宣伝効果」に魅力を感じない。
一般顧客向けサービスなどを展開する急上昇中の企業などは、場合によってはプロ野球参入に魅力を感じるだろう。しかし、25億円10年間塩漬けが、大きなリスクでありネックになる……ってか、話は振り出しに戻るが、そもそもどんなに希望しても「新規募集」していないのだ(笑)。

さて、長々書いてきて言いたいことは、経営がコロコロ変わることはそんなに悪いことか?ということ。ニーズがあって、人気の「株」が高く売れる状況を作っておいて、プレーヤーがニーズにしたがって変わっていく。それで、活気のある業界を形成して、「プロ野球業界」が持つ潜在的な能力を拡大できる。何にも悪いことじゃない。
球団数の拡張結構! 外資の参入結構! 球団保有権売買規定の緩和結構!

このあたりは、現在のプロ野球と将来の姿について、「規制によって保護してきたからこそ現在の地道な繁栄があったのであり、今後も変わらないことが最善」と解釈するか、それとも「日本のプロ野球は旧弊の商習慣の中に埋没していて、変革する活力がない」と見るかによるのだろう。

古き良き日本の大企業に頑張ってもらいたい、そんな時代が続いてほしいという心情はわかる。しかし、実際に現在の経済を動かしている資本は、「事業」よりも「利殖」で動いている。プロ野球が事業として発展するためには、事業を維持、発展させていくためのカネが入ってくる仕組みを作っていく必要がある。
少なくとも、資金の流入を「断絶」して、12球団の利得を守ろうという姿勢では、縮小均衡しかあり得ないだろう。

すんごい思いつきのまま打ち込んでしまった。もっと深く考えていくべきテーマだね、これは。


週刊虎バカクラブ
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10 コメント

  1. Posted 2019年12月5日 at 10:09 | Permalink

    「球団数の拡張結構! 外資の参入結構! 球団保有権売買規定の緩和結構!」その通りだと思います。30億の加盟料は新規参入を良しとしない古参球団のエゴでしかないでしょう。確かに2~3年で手放すような事があれば問題は大きいと思いますが、10年後なんてどんな企業でも安泰って言えないし、最低5年は経営を持続し辞めたい時は譲渡先を自身が見つけてくればそれでいいのではないかと私は思います。

    ここでも何回か問題提起されていたと思いますが、そもそもコミッショナーが神輿に担がれただけのお飾り的存在で、オーナー会議の発言力が強すぎって構図は変えなければいけないと思います。現場レベルではもう何年もまえから読売を中心にって構図は無くなっています。そろそろ本気で変革させるべき時期が来てるのではないでしょうか。

  2. yalkeys
    Posted 2019年12月5日 at 10:29 | Permalink

    今、スポーツのプロ化が拡大しています。野球が一番人気があるのは周知の事実です。相撲、ボクシングは以前からありましたが、時代の流れに乗って生まれたのはサッカだと思います。J1~J3まですそ野が広がっています。卓球、テニス、バスケット、ラグビー、陸上(一部の選手)、他にもまだまだあると思います。
    野球ももっと門戸を広げるべきではないでしょうか。閉鎖的社会は、野球に限らず発展からは対局にある事象だと思います。

  3. 虎轍
    Posted 2019年12月5日 at 10:50 | Permalink

    DeNAは参入してから徐々に収入も増やし、客席も増やして観客動員数も増やしてますね。
    参入する時には色々と言われてましたが、参入してからは努力をしてると思いますね。
    NPBも預り金とか無くして、2部リーグ設立で球団拡張していくのもええと思いますね。

  4. こうさん
    Posted 2019年12月5日 at 10:52 | Permalink

    戦力外にあった選手は「NPB復帰」という願いを捨て「NPBがいらない野球界」を作ることはできないのだろうか?毎年100人近い選手(コーチも含め)が職を失う。選手は1000万円を運営に納めて一年間の運営費にする。まずは4球団を作り試合数は少なくても総当たりリーグ戦。プロ選手だった知名度を活用して「地方球場のみ」で展開する。じわじわと人気に火が着きNPBも無視できなくなる状況にする。「殿様商売、まずいんじゃね?」と気付かせる。…ことが最終目標。

    球団を増やすことと違う世界を作ること、どっちが早いのかな。もちろん俺の考えが雑だということ、理解している。

    • Posted 2019年12月5日 at 11:33 | Permalink

      いや、現実的なのはそれかもしれません。MLBも先発のナショナルリーグに対して、「新リーグ」としてアメリカンリーグができて、最終的にひとつのMLBになりました。アメフトのNFLもまったく一緒で、後発の「新リーグ」AFLができて、NFLに対抗し、最終的にひとつのリーグになりました。拡張を阻害するような既得権益をぶっ飛ばすには、逆にその方法しかないのかもしれませんね。

      • こうさん
        Posted 2019年12月5日 at 11:53 | Permalink

        コメントありがとうございます。低賃金の社会人野球で時を過ごすよりも「野球ができる喜び」を感じられる場所を作れると思うんです。炎鵬を応援するように、まだまだ日本人は「小が大を倒す」が好きなはず。大のNPBを倒すという波を作ること、選手もファンも一体になるはず。そしてトラオさんの提言の数々を実現する下地を作れば、その魅力が「金になる」と思う新規のオーナーが増えると思うんです。「下で勝手にやっている」とNPBに言わせない未来を望みます。「オーナー選手」が生まれても良いと思うんです。

    • いわほー さんのアバター いわほー
      Posted 2019年12月5日 at 12:34 | Permalink

      本来ならば独立リーグがその役割を担えれば良いのですが、ファンもリーグ自体も、あくまでNPBへ選手を送る養成機関のような受け止め方で、決してNPBに対抗しようというものではありません。
      かつて島田紳助さんがお笑いのM-1を企画した理由を尋ねられて、あれは才能のない芸人を諦めさせる自覚を持たせるために作ったと話していたのを覚えています。
      今では独立リーグも同じ役目を担っているような気がします。
      でも、NPBに風穴空ける希望があるとすれば独立リーグにあるんじゃないでしょうか。

      • こうさん
        Posted 2019年12月5日 at 12:48 | Permalink

        コメントありがとうございます。俺はNPBと独立リーグの間というイメージで書きました。麻雀のMリーグのような…独立リーグの選手が1000万円を作るのは難しいだろうから元プロ野球選手なんです。突然変異のインパクトがほしいのです。

  5. 西田辺
    Posted 2019年12月5日 at 11:19 | Permalink

    上でも仰ってましたが、最近のセ・リーグの成功例としてはDeNAが筆頭
    でしょうね。
    本拠地横浜スタジアムを単なる「野球を見せる場所」としてではなく、
    老若男女が「遊べる場」として機能させてる。
    パ・リーグは客の入らない時代から、どうやって人を集めるかの試行錯誤の
    歴史があり、確実に実を結ぼうとしています。
    各球団はもちろんの事、リーグ全体での取組みと言うのも大きい。
    私も何度か新規参入について考えましたが、MLBのように複数での共同
    オーナーが可能になれば、ハードルも下がるように思います。
    それにしても、12の壁は大きく高い。
    物事の決定機関そのものを変えないと、何も変わらないんでしょうね。

  6. ジュビロタイガース
    Posted 2019年12月5日 at 13:02 | Permalink

    NPBのオーナーは古い考えの方が多いでしょう。J2になれば数千人、他のプロスポーツも何百人の観客なんてザラですから。
    その点、球団は頑張ってるところが多いですよね。パやDeNAはオーナーも一体となっているような気がします。
    年間850試合あって3万人の平均観客ってすごい世界です。

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