福留の打球は真っ直ぐバックスクリーンへ

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クライマックスシリーズ1stステージ
対広島 1回戦 甲子園

広 | 0 0 0 0 0 0 0 0 0 | 0
神 | 0 0 0 0 0 1 0 0 x | 1

勝:メッセンジャー1勝0敗0S
S:呉昇桓0勝0敗1S
敗:前田0勝1敗0S
HR:福留ソロ1号
広島:前田 – 一岡 – 江草 – ヒース
阪神:メッセンジャー – 呉昇桓
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「いつもコースケさんが打ってくれる」ヒーローインタビューでメッセンジャーが言った。
「援護」がわかるデータをまとめているサイトがある。

→データで楽しむプロ野球(投手・メッセンジャー)

これによると、メッセンジャー登板日によく打っている打者(よく援護してくれる打者)は、トップは打率.331&20打点&5本塁打のマートン、次いでゴメスは.297&23打点&8ホームラン、上本、鳥谷…と続いている。まあたくさん登板しているメッセンジャーなので、今季の打撃成績とほぼ似たような結果だ。福留のはというと打率.240、7打点、3本塁打。まあそんなもんだろう。しかしその7打点3本塁打のうちの2つが甲子園のカープ戦で、しかも0-0の投手戦の均衡を破る価値ある一発なのだから、マートンやゴメスより福留の方が打っているような気になる。面白いものだ。

メッセンジャーの投球は素晴らしかった。序盤飛んだコース良く…というようなヒットを重ねられたが、まったくドタバタしたところなく、持ち味を出し続けた。この大きな試合でも動じないメンタルはさすがだ。13勝という淋しい数字での最多勝受賞だが、これは援護に恵まれなかったり、降板後に逆転されたりというのも多かったから、というのもある。今季のメッセンジャーはスピード、コントロール、変化球のキレ、スタミナ…本当に非の打ち所がなかった。そのいいところがストレートに出たこの日の投球だった。

それを引き出した藤井のリードも素晴らしかった。あまり凝ったことはせずに、真っ直ぐをメインに、逃がす(スライダー)、落とす(スプリット)、ずらす(カーブ)を程良く混ぜた。何も怖がらなくていい。メッセンジャーという投手の持ち味を出しさえすれば、打てるもんじゃない。そう投手に自信を与えるような、「ごく当たり前のリード」を、この特別な試合でした。それが勝因だった。

1番西岡、2番上本、8番大和という並びが機能したとは言えないが、これはマエケンの投球にスキがなかったから。西岡の雰囲気も良かったし、上本の復調が良かった。報道では室内練習場を閉め切って和田監督が個人指導をしたとか。効果あった。

終わってみれば簡単に見えるが、9回呉昇桓に代えるかどうかは、難しい判断だ。ある程度、はじめから決めていないと迷いが生じてしまう。ただ終盤のメッセンジャーはやや球が上ずっていたので、和田監督に迷いはなかったのかもしれない。しかし呉昇桓の継投失敗のシーンも頭をよぎったのではないだろうか。
呉昇桓の投球は完璧だった。狙った場所に、狙った軌道の球が行っていた。この調整期間で完璧に仕上げた。今後の展開が非常に楽しみだ。

和田監督は試合前に「楽しめ」と言ったという。これまでできなかったことが、シーズン最終版からようやくできてきた。慣れ、意地、開き直り。今後の和田采配が楽しみだ。

「予感」はカープバッテリーにも確実にあった。正確無比を誇るマエケンの制球が乱れたのは、その予感、恐れによるものだ。初球はワンバウンドする抜き球。空振り狙いだろうが、福留にその気負いはなく、軽く見送る。2球目シュートで外いっぱいをかすめ1つめのストライクを狙う。ストライクでも振らない1球だが、これが微妙に外れる。2ボール。3球目、形勢不利を挽回しようという1球は、この日全打者に対して絶対的な強みとなっていた「原点へのスライダー」。右打者にとっては真っ直ぐの軌道からヒラリと逃げ去り、左打者にとっては魔球のように視界から消えて、ひざ元に落ちていた。この球のキレがこの日のマエケン&石原バッテリーの核だった。石原の構えはインロー、福留のひざ元。しかし球は大きく外に抜けた。マエケンほどの投手になれば、打者が何を狙っているかはわかる。ここは「わかっていても打てない」スライダーで打ち取るところ。しかし狙い通りにいかず判定もボール。予感のせいだ。3ボール。4球目、それでもやはりひざ元のスライダーしかない。低く制球できれば振ってこない。狙ってくれば、空振り、当たってもファールだ。ふたたび石原はインローに構える。やや真ん中よりに寄ったが、低めには行った。福留これを読み切っていたがタイミングやや早くなりファール。3-1。もう1球か。クビを振るマエケン。第5球、石原のミットは同じくインローへ。バッテリーが選択したのは渾身の直球、スライダーを3つ続ける危険を避けた。しかし福留は真っ直ぐ一本に張っていた。スライダーとの軌道差を錯覚に使いたいインローではなく、ややシュート回転しながら球は真ん中低めへ、叩き付けるようなスイング軌道で捉える。早すぎず、遅すぎずなんの無駄も迷いもなく真っ直ぐに。センター丸もまっすぐに後ろに下がるが、打球が頭上を越えていくことはすぐに悟ったように脚を緩める。弾丸ライナーの打球はそのまま真っ直ぐにバックスクリーン手前のネットにふわりと沈み込んだ。その様子を確認するように見ていた福留が、一塁ベースを大股で回りながら、喜びを噛みしめるように下を向く。得意げに人差し指一本立てた右手を何度か振った。ガックリするマエケン。がしがしと大股で一周する福留。ベンチで迎える和田監督、手ぐすね引いてハイタッチを待つゴメス、笑顔弾けるメッセンジャー、全員が「ある」と予感していた。まさに狙い打ち。

福留の打撃はもう終わったのだと思っていた。ただスイングの軌道は良くても、タイミングがとれない。当たらなければ「鋭いスイング」もムチャ振りでしかない。視覚と運動を結びつける伝達系が衰えたのだと思っていた。しかし福留は今季終盤に完全復活した。復活だったのか、調整・再生したのかはわからない。とにかく期間を限定すれば、誰からも文句を言わせない成績を残した。それは打つだけでなく、守っても、走っても、バントなどチームプレーをさせても、さらには若い選手たちにアドバイスを送るなど、チームの先輩としての行動においてもだ。予感は願望に過ぎなかったのかも知れないが、熱気溢れる満員の甲子園には、「真っ直ぐな願望」が充ち満ちていた。左半分にも「イヤな予感」が充ち満ちていた。マエケンの制球に狂いが出たのも含めて、すべてがストレートに結びついて、虎の子の1点になった。

今日は打って勝とう。

コメント

  1. 金沢の(子)虎 より:

    只今、大阪行きのJR特急に乗車中です。留ランのお手紙(メッセンジャー)のおかげでワクワクしての現地入りです。台風も水を差さないように進路を修正してくれたみたいですね。帰りの電車を金沢直行でなく、東京経由にしたくなるような結果になることを期待しています。

  2. 虎ジジィ より:

    痺れました。
    投手戦としては今年のベストバウトがココで来たー!って感じです。

    個人的には、試合が待ちきれず、GAORAチャンネルの妊婦体操からTV見てたら嫁に変態扱いされましたが、3時間以上TVにかじりついておりました。

    初回メッセンジャーの立ち上がり、ロサリオのコースヒット&エルドレッドのイレギュラーヒットで嫌な雰囲気になりましたが、このゲームは松山がことごとくブレーキになってくれました。あの初回ゼロが大きかった!
    メッセンジャーは8回に全力を出しきっており、toraoさんは交代は難しい選択だったのでは?と仰っていますが和田監督に迷いは無かったように見えました。
    ちなみに、昨日の和田監督のゲーム中の引き締まった表情は、いつもとまるで違うモノでした。

    初回以降は胃がキリキリするような絞まったゲームでしたが福留が良く決めてくれました。アナウンサーまてあの打席の「福留の雰囲気」を感じ取っていた事には驚きました。
    余談ですが福留はカープ松山と同じ大隅半島の田舎街の出身ですが、奇しくもこの二人がチームの明暗を分けましたね。

    ノムケン監督も月曜日は台風直撃という事もありヒースまでつぎ込む必死の抵抗を見せ、本当に紙一重の勝利!
    私も最終回はお約束のTV前正座でゲームセットを祈りました。

    私はアホなので英語はさっぱりですがヒーインでメッセンジャーが「初戦に私を使った事は良い采配だ」って通訳さんが言ったのには少しウケました。本当にそんな事を言ったのでしょうか(笑)?

    ゲーム後興奮覚めやらず、直ぐに東京ドームのチケットを第6戦までプレリザーブしました。
    東京決戦、確信しています。

    • 菅野徹(鳴尾浜トラオ改め) より:

      タイガースアイ(ガオラやスカイAで放送)の中井アナは本当にカンの鋭い人です。データだけでなく、感覚でも野球を見てますよね。あんまり言われると、うるさい!って思う時もあるけど(笑)。

      • 虎ジジィ より:

        アナウンサーの名前まで知りませんでしたが「この大事な一戦に解説が藤本で大丈夫?!」って試合前には思いました。
        だけど結果的に「あんまり喋らん藤本」と「解説までしてしまう中井アナ」のコンビは絶妙でしたね(笑)。

  3. 阿太郎 より:

    継投ズバリで石直球が炸裂!

  4. こうさん より:

    和田氏が「下の名前」で選手を呼ぶのは不自然に感じる。
    そんなに原監督を意識しなくても…と思う。
    外国人だろうがFA選手だろうが打順を下げたり、下に落としたりして「助っ人を特別扱いせずにチームに溶け込ませる」のが早い原監督。
    かたや和田氏は意地でも使い続け(世間の不満が爆発を越えたら、やっと下げ)る「石の上にも5ヶ月」タイプ。
    来年も福留のレギュラーは確定的だな。
    また9月まで目覚めるのを待つのか〜。
    マートンに守備固めを出すのにゴメスには出さない。
    また忘れたの?また延長戦を考えてたの?
    ヒヤヒヤするわ…。
    1点を守って逃げ切りたいなら隙を見せないでほしい。
    和田氏の口から「コウスケ」を聞く度に「てつお いしだて」の「水もれ…」を思い出してしまう。
    両外国人の会話。
    マートン「へいゴメス!なんでタイトルホルダーが沢山いるのにウチはCSを戦ってるんだい?」
    ゴメス「マートン、個人の力とチーム力は別だと思うよ」
    マ「なら今のウチのチームにチーム力が加わったら無敵じゃないか!」
    ゴ「そうだぜマートン!チーム力に俺達の打撃が加われば最強だぜ!」
    マ「そんで今日の俺達の成績は?」
    ゴ「2人で8打数1安打だぜ!」
    マ・ゴ「レーサー100〜!!ハッハッハ〜!!」
    〜ある酒場での会話より〜
    決めちゃえタイガース!

  5. とし虎 より:

    昨日は現地観戦でした。
    福留への声援がスゴかった

  6. 寿 より:

    いやはやいやはや、素晴らしいゲーム緊迫したゲーム久しぶりに堪能しました。
    また後輩藤井の起用(嬉)でメッセのいいところを引き出していたと思う。

    福留、バックスクリーン寸分狂わずど真ん中に打ち込んだ一発最高!!
    呉、3者連続三振これぞセーブ王、圧巻でした!!

    スタンド黄色の中に赤がポツポツ、赤に中に黄色がポツポツ、混ぜれば何色?
    そうです、待ってろオレンジ色!!

    今日も勝つ!!

  7. TJ風船 より:

    昨日は社用車でラジオ参戦でした。仕事が手につかず(笑)。トラオさんの記事と皆さまのコメント(レーサー100!爆笑)でまるで試合を見てるかのようでありがたいです。特に福留の打席描写では再び手に汗を握りました。ヤル時はヤル男・福留の復調?復活?はシーズン終盤に尻上がりだったチーム状態と見事にリンクしているなあと思いました。予感(ハッタリでも何でも)を発する男が6番に居る打線は相手、日本のエースと言えどもプレッシャーになったのかも。対戦全打席、前田は投げ難そうにしてました。ミスターオータムでもいい。そのまま頑張ってくれ!脂の乗ったメッセさんに元祖助っ人用捕手・藤井のバッテリーに気負いはありませんでしたね。素晴らしかったですね。 ちなみにラジオのニッポン放送の実況は、実況に追われていて予感どころではなかったです(笑)。解説の大矢さんはしきりにゴールデン鳥谷の守備に唸りまくりでした。キャッチャー目線なんでしょうねえ。ただ声に張りがなく最初は関根潤三さんかと思った(笑)只今、昨日の試合の再放送を見ております。今日もイクでぇタイガース!

    • TJ風船 より:

      スミマセン、今映像を見ましたが、鳥谷がショカンドになってました。大矢さんも唸る訳だ。

  8. 虎っしー より:

    トラオさんの文章はヤバいです!!
    その光景が映像なくとも脳裏に鮮明に焼きつくような感覚にさえなります!!

    昨日は1日仕事だったので、ラジオを
    聞いたりスマホを見たりでした。
    タイミング的に福留の決勝弾は聞き逃してしまいましたが、カープ戦無類の強さを誇るベテランがまたチームを助けましたね。
    シーズン当初から絶不調で監督と共に辛酸を舐め続けた福留ですが、使うからには復調してくれて本当に良かった。いや、この福留が本来の福留なんだと昔と比べると思います。
    タイガースファンは手のひらクルーしすぎて手首がボロボロです(笑)

    今日もシビルれるような接戦で見事カープを打ち破って欲しいです!先発はおそらく大瀬良です。良い投手ですが、マエケンと比べれば勿論格は落ちる。対して能見は、タイガースのエースとも呼ばれながら今季不調で負けが先行、能見の意地を見せて欲しい!
    今日は現地で野球を楽しみます!!

  9. としとまき より:

    昨日は現地でした!試合前からリーグ戦と違う独特な雰囲気がありこれがポストシーズン、短期決戦の雰囲気やなってことを肌で感じながらの観戦でした!4回のチャンスを逃し5回をランディが切り抜けたあたりから勝つなら1-0しかないと言う雰囲気で、その1-0で勝てたのが最高でした!今日も現地です。トラオさんが仰る通り今日は打ち勝ってほしいです!

  10. 金沢の虎 より:

    福留に感謝。本当にこの一ヶ月は正に他の若手には真似できないほどの集中力。さすがに中日黄金時代の主砲、元メジャー。日曜日だけに「天晴れ」をあげたい。

    和田監督が選手達に「楽しめ」と言ったとか。十月に入った辺りから監督の発言が変わってきたように感じます。その辺から少しずつチームも良い感じになってきているのかも知れないですね。(妄想込みですが)

    勝負は九月と、よくお題目のように唱えていましたが、今の方が肩の力が抜けているようで笑顔も良い感じに見えます。

    もうプレッシャーなんて感じず、今日一気に決めちゃおう。此方も金沢から必死のパッチの念を送ります。(小虎さん、その分代わりに応援お願いします)

    まだまだ行くでタイガース!

  11. はま かぜお より:

    1.5億の年俸のうち、このホームランに1億円!

  12.  Yalkeys より:

    台風に救われた・・・と言わせないためにも、本日の第2戦でキッパリとケリをつけましょう!
    本日のヒーローインタビューは、能見と上本(あてずっぽうの希望)。

  13. ぴゅあらっく より:

    昨日はアイビーから黄色のマフラータオルにファンクラブブースで貰った黄色のフラッグを持って応援していました(笑)。
    息詰まる投手戦、「これはホームランで決まる」と思い始めた所で出た福留選手のホームラン。痺れました。
    マエケンは志願の中4日登板だったとか。スライダーが素晴らしく、タイガースもランナーを出してもなかなか決定打が出ない。メッセンジャー投手と藤井捕手のバッテリーも援護が無い中、辛抱強く抑えてくれました。
    最後は呉昇桓投手の三者連続三振締めで、言うこと無しの勝利でした。
    甲子園は今日も晴天です。そろそろ開門するので、行って来ます。勝って東京ドームに乗り込みましょう!

  14. hi64 より:

    大阪到着
    こちらは快晴で暑いです

    もう台風とかなんとか言わずに、今日スッキリ決めちゃえ
    頼むで、タイガース‼

  15. 英くん より:

    昨日の試合は、メッセンジャー、呉昇桓と、2人の投手が福留の本塁打、1点を守りきってくれました。
    今日は打線が点を取って勝ちましょう。

  16. なかっち より:

    さすが福留孝介!って言いたいところですが、福留がこれだけ活躍すると、伊藤隼の出る幕が益々なくなり複雑ですね!
    これで来季開幕戦のスタメンも確定でしょうし。
    それにしても、役者が違います。素晴らしいの一言!

    上本が復調気配で、西岡が1番で機能したらとんでもない打線になりそう。

    今日でスッキリ決めて東京ドームに殴り込みましょうo(^-^)o

    待ってろジャイアンツ!

    • なかっち より:

      全く関係ない話ですが、今年からスカイAで秋季キャンプも放送してくれるんですね(笑)
      さすがスカイA!
      嬉しすぎます(笑)

  17. トラ11 より:

    トラオさん、ライブで実況を観ているように頭の中に甦ります。
    宮本解説で観ていました。
    マエケン中4日はちょっときつかったのかな。
    メッセンジャーは10日空いて実力を十分に発揮できて素晴らしいピッチングでした。
    今日はキッチリ勝利して、台風でタイガース有利とかの雑音を跳ね返そう!
    能見頑張れ!

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