オールスターゲームが、昔より「いいもの」になっていると思うのは私だけだろうか。
アメリカで誕生したオールスター戦は、普段対戦しない選手たちの対決が見たいというところから始まった。
やってみると、いつもは敵同士の一流選手が集まって夢のチームを結成するワクワク感もあった。
さらに「年に一度」しかないという希少性もある。
これらがオールスター戦の本質的な価値だ。
日本のプロ野球では、その昔試合数をたくさんやりすぎて希少価値に傷をつけ、昨今では交流戦によって対戦の珍しさも失われ、ドリームチームのワクワク感は侍ジャパンが担うようになった。だから、オールスターゲームの本質的価値は大いに毀損されたはずだった。
ところが、実際に現在のオールスターゲームを見てみると、そこには新たな価値が生まれている。
ゼニカネは生きるために必要で、大事なこと。普段からそのための仕事は一生懸命やっている。そこに求められるのは勝利のみであり、勝ち負けですべてが決まる非情な世界だ。
現在のオールスターゲームは、「生きなければならない」世界があるのは現実だが、こんな風に生きられたらみんなハッピーじゃない?とか、たまにはこんな風に生きてみようよという提案がある。
自分だけ勝てばいいという常日頃の価値観を捨て、相手にも敬意を表し、一緒にやっていることの幸せを笑顔で表現する。誰かの失敗によって、誰かが成功するかもしれないが、それはトータルでみれば、みんなが楽しむための「さざなみ」でしかない。
強いチームが偉いわけでもなければ、ファンがたくさんいるチームが正義であるわけでもない。現在のオールスターゲームは、人間がハッピーでいるために何が必要なのかを教えてくれる。
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プラスワン投票は、「出させてあげたい」という応援の現れだ。成績的に「惜しい」というのであれば、だいたい監督推薦で拾われる。原口の場合は、厳しい境遇に追い込まれても、それを自分の使命と捉えて前向きに生きる姿が、球団という枠を越えてぜひ頑張ってほしいという応援の気持ちとして結集したものだった。
そんな気持ちが集まるだけでも奇跡に近い。
9回二死走者なし。打席に高橋周平。ネクストに原口。周平がアウトになれば試合終了で原口の出番は翌日の甲子園に持ち越される。別にどうってことはない。原口は「おまけ」のプラスワンだ。そりゃあそうだろう。
周平がヒットで出塁する。梅野への代打原口、打席が回る。
いつもどおりの足場をならすルーティーン。静かで大きな構えは、投手にとってスキがないように感じるはずだ。1-1からの3球目、半速球が甘くなったところをなぎ払う。打った瞬間に行ったとわかる大飛球が左中間へと伸びて、アーチは深々とスタンドに届いた。
二塁を回って小さく手を打ち、三塁コーチャーの菅野と両手を合わせる。ホームへの直線では左手をあげてベンチのメンバーに「矢野ガッツ」を見せながら、ホームベースを踏むと、ヘルメットを掲げ喜びの一声をあげた。
一塁コーチャーに入っていた大瀬良以下、我がことのように喜ぶ周囲。試合終盤、なかったかもしれない打席で飛び出した奇跡のような美しいアーチに、ぐるりと全方位から祝福の拍手と声援が響き、誇らしげな六甲おろしの合唱も聞こえてくる。
とても清らかで尊いものを見た。
敗れたセントラルから唯一の敢闘選手賞おめでとう。近本も1球での盗塁成功、良かったよ!
コメント
まずは原口のホームランに素直におめでとうございました!
凄いよ原口!
野球の神様は残酷かもしれんが、最高な演出もしてくれるんやね。
素晴らしかったよ!
何やら米独立リーグでロボット球審の実用化と一盗を採用しようとする動きみたいですね。
球審のロボット化はトラックマンを活用しての試みみたいで賛成ですが、ただ、ジャッジのコールが遅いみたいですね。
日本の球審の、ジャッジが遅い審判はいますが、先取ってたんか?(笑)
あと一盗ですが、振り逃げではなく、三振になる時では無く、初球からでも捕手が後逸したりすれば可能とか…
そうなるとタイガース有利?
脚の速い近本に有利?
逸らさない梅野が有利?
そんな事を考えてしまう記事でしたね。
今日は聖地甲子園でASGですね。勿論行きますよ(笑)
タイガースの選手が躍動してくれるように応援します!
ASGであっても雑巾を回したり、スクワットをしたりの応援スタイルはしませんから!
あと、タイガースには関係無いですが、拳四朗と村田のボクシングも良かったです。
ナイスガッツやったし、タイガースの選手もガムシャラに戦う姿勢を見習って欲しいと思いました。
正に清くて尊いHRでした。今までも散々感動させられてきたけど、まだ感動させますか!もうリザーブタンクにも涙は残ってないよ。原口、ありがとう。
ASGは最近タイガースの選手が少ないのもあってあまり見てませんでしたが、いい雰囲気でやってますね。他チームの選手と技術論を交わしたり、何でもかんでも直球勝負でなく自身の持ち味を最大限出しての真剣勝負があったり、ASGでしかやらないこと(ヤマヤスのナックルとか)もあったりで選手自身が心から楽しんでる様子が伝わってきます。観てる側もそれが楽しい。面白かった。
今日の甲子園ではタイガースの5人が持ち味出せるといいですね。特に青柳は後半戦へのヒントを何か見つけて欲しいですね。
昨日は幸運にもホームランダービーから見れました。
ホームランが出やすい球場とは言え、みんなよく打ちますねぇ。
東京ドーム予選を勝ち抜いたのはオリックス吉田正尚。
小さなバックスイングから超高速のバットスイング。
水平に払われたバットは体の前で大きなアークを描く。
そのバットから放たれた打球は、これまたすごいスピードでスタンドに
吸い込まれていく。
彼を始めて見たのは敦賀気比高校の一年生の時。
まだ細く小さな体からは想像もつかなかった打球を今も覚えています。
仰るように交流戦も10年を超え、代表選も珍しくなくなった今、オールスター
の意味や在り方も大きく変わりました。
私の個人的な感覚ですが、より「野球を楽しむ」姿勢が全体的に強くなって
いるように思われます。
昔はもっとセパの敵対ムードが強く、ガツガツした空気が強く感じられましたが
今は実力者との対戦を楽しんでるように見えます。
これはこれで良い事だと思いますよ。
原口という選手は、いつも色んなことを教えてくれます。
自分の置かれた立場への取り組みだとか、小さいことで悩む自分の空虚さとか。
オールスター前にある番組のインタビューで、目標を聞かれ「フルスイング3つ」
と答えてました。
おそらく今の代打での打席では、強く大きなスイングよりも打点や進塁といった
結果にこだわる打撃をしているんでしょうね。
ダイヤモンドを一周してベンチに戻った時、セリーグの緒方・原・小川監督の
嬉しそうな顔が全てを物語っていました。
思いを叶える力の強さを、昨日は教えてもらいました。
チョット天気は怪しいですが、甲子園での夢の球宴を選手みんなで楽しんで
欲しいですね。
オールスターは興味がないので私は見ませんでしたが、一つ気になる記事が。
読売の原監督が近本に
『チームを引っ張れる選手にならないとダメだぞ!』
との助言をしたそうです。原監督の意図は・・・。
両軍ベンチ、球場全体が喜ぶホームラン!
凄い男だ。
こんばんは
オールスターが昔よりいいものになっているという件、なんかすごく分かるというか、非常に腑に落ちました。
確かに交流戦や侍ジャパンがある現在、オールスターに昔のようなレア感はないですし、実際不要論を唱える人も少なからずいますが、選手にとっては夢の舞台のままだし、ファンにとっては純粋にスター選手のプレイを楽しめるお祭りだと思います。
阪神ファンを長年やってて、その勝利をただひたすら応援してきた身としては、普段他球団とりわけ対戦相手のプレイを楽しんだりする心の余裕は持ち合わせませんし、
ぶっちゃけ相手の素晴らしいプレイに心の中で悪態をついたりすることもしばしば。そんな私にとって、オールスターの「ノーサイド感」は、この荒み切った心を純粋な野球ファンのものに戻してくれる貴重な存在と思います。このような感覚を覚えるのは、オールスター以外では、誰かの引退試合くらいかなと。
昨日の原口のHRの、あの場にいた全てのファンや選手、監督らが祝福してくれている感じ。確かにただただハッピーな時間だったと思います。
そろそろ今日の試合が始まりますが、今日もあのようなハッピーな時間を味わえますように。