西勇がよく踏ん張った。幸先よく初回1点先制してもらったが、そのウラすぐに一死満塁のピンチ。ここを坂倉の犠飛による1点で耐えた。
これまでと比べて取り立てて何がよかったというのはなかったように思う。急にまっすぐが走るようになったわけでもないし、寸分の狂いもない制球力があったわけでもない。なんとなく思ったのは、毎試合ホームランを打っている鈴木誠也にどのように打順を回して、どのようにやりすごそうかと西なりにイメージしながら投球することで、細かいところばかりにとらわれることなく、大まかに試合を組み立てる西らしい投球ができていたこと。1球1球の殺傷力は低くても、状況によって相手の考え方や狙いは変わってくる。その心理の裏を利用すれば、打てる球にも手を出さないし、打てない球を振って凡退してくれる。ホームラン記録がかかる打者が4番にいることで、心のストーリーが読みやすくなり、狙った組み立てがハマりやすくなっていたように思う。
5回を投げて87球。本来の西の立場からすれば、ここで降りてはいけないのだが、1-1同点の6回表、一死満塁で代打サンズを送った判断が勝負手だった。ここのところの西の投球はとても勝利をたぐり寄せるものではなかったが、この日は5回を1失点。なんとか待望の100勝目をプレゼントしてやりたくもなる。勝ち越していない状況で代打を送るのは迷うところ。しかし6回も確実に抑えるというほどの信頼を得ているわけでもなく、点を取らなきゃ「西に100勝を」どころか、この試合の勝利もままならないのだから、矢野監督の判断は正しい。サンズと中野にタイムリーが出て西に勝利投手の権利が発生し、結果もその判断の正しさを証明した。
西勇輝投手、苦労した100勝目おめでとう!本当に広島戦は相性がいいんだね。
このチームがまだ大して強くないのは大方が認めるところだろう。ただし、優勝争いの中で急激に強くなる要素を持っている事実も忘れてはならない。
苦しむ西がどうしても早く通過してしまいたい100勝目、遅めながら野手の援護もあり、あとはリリーフが反撃を抑えなくてはいけない。6回小川、7回及川のふたりにかかる重圧は相当のものだったろう。小川はいきなり松山にヒットを打たれ、続く菊池には粘りに粘られ9球目、外スラでうまくタイミングを外したのにポテンとヒットにされる。無死一二塁、1点やっても西の勝ちが消えるこの場面で、売り出し中の林を低目の直球で二ゴロ併殺(リクエストによる判定覆り。もし併殺崩れで一死一三塁が残っていたらと思うと恐い。勝ち越し点を奪った時点でこの回の守備から、5番糸原に代えて小川、9番セカンド木浪にしておくのが手筋だった)。続く大瀬良への代打會澤にはカットボールを引っかけさせて三ゴロ、大ピンチを脱出して一平ちゃんは大きな経験値を獲得、またレベルアップした。
7回は及川。これもまた苦労した。先頭の俊足野間を粘られた挙げ句に内野安打で出してしまう。しかし続く小園が初球を打ち上げて中飛。これが助かった。西川は二度にわたって併殺崩れ(一度目は二ゴロ、ただし珍しい「二度打ち」だったためファウルの判定でやりなおし。結果投ゴロ)。そして問題の人鈴木誠也には丹念に低目を投げて、ボール2から外角低めを三ゴロに仕留めた。最終打席となるところ、ストライクなら打ってやるという強引さを引き出したのが上手かった。
岩崎はコースを間違えない投球で勝負早めのカープ打線を手玉に取り、スアレスは有無を言わさぬボールの強さで圧殺。今なら阪神との試合は7回までだと言い切れる。
初回に1点先制、中盤6回に2点、終盤8回に1点と、打線はいい形で得点を重ねた。欲を言えば、中盤の中押しが4回か5回であれば、もっと試合展開は楽になる。でも、先制、中押し、ダメ押しに近い形ができただけでも文句はない。
梅野の二度本塁憤死をどう見るか。三塁まで進んだ走者が最後にアウトになるというのは非常にもったいないことであり、試合の流れを変えることもままある。でもこの試合においては、前のめり走塁の失敗が弊害にならなかった。
現在阪神タイガースはノリノリと言える状況にはない。スイスイと快走していたシーズン序盤から、つまずきの中盤、そして3球団による息詰まるデッドヒートとなり重圧が優勝経験のない若い選手たちを覆う。
もしそれを打開するものがあるとすれば、それは若さゆえのがむしゃらさであり、若さゆえの恐いもの知らずであり、若さゆえの成長力である。アウトになったことは残念だったが、その結果だけを見るべきではない。
近本や中野はもっと積極的に仕掛けたほうがいい。アウトになっても流れは止まらない。逆にこの状況で決める盗塁は、大きく局面を変え自己とチームに成長をもたらす。もっともっと走っていこう。
リクエストの出し方、代打・リリーフの人選とタイミング、矢野監督の動きが勝利に結び付いた。それもまた、これまでの失敗を成長に代えた結果だと感じた。
60勝目も12球団トップで通過。ライバルチームのまごつきは気にしなくていい。自分たちが強くなれば勝てる。
コメント
西勇投手、通算100勝おめでとうございます。
なかなかツキにも恵まれず足踏みしましたが、この記録達成で本来のエースのピッチングに戻ってくれそうな気がしています。
それにしてもリクエストの無かった時代だったらどうなっていたんだろう??と思う程矢野監督のリクエスト2度成功で判定が覆ったのは大きかったです。
あと、西勇の代打で「一番欲しいところ」でタイムリーを撃ったサンズには感謝ですね。
個人的には、あの場面は「ミートが上手くてゲッツーのない島田の方がいいんじゃない?」と思っていましたが、サンズ様すみませんでした。
勝ち越したけど岩崎&スアレスに繋ぐまでの6、7回が心配でしたがラッキーボーイの一平ちゃん〜及川がヒヤヒヤしながらも良く抑えてくれました。
及川が「神ってる」を抑えた事でほぼ8、9回彼には回らない下位打線からの状態で岩崎&スアレスに繋げた事で勝利を確信出来ました。
さて、ライバルチームが弱っているので今日は秋山に前回の汚名返上の快投を期待します。狙え二桁勝利!
大山選手の時と同様、toraoさんが西勇選手も大好きなのが熱い文章から伝わって来ます。良かったね、西選手。世界一心強いファンに恵まれて。
一平ちゃんなどは息子と歳が変わらないので、もはや親目線で見てしまいます。昨日の6回裏の無死12塁の時の親御さんの気持ちはいかばかりかと、勝手に気を揉んでおりました。
永らく芳しくないチーム状態でやきもきしていましたが、コレも産みの苦しみ。一喜一憂できる事自体に感謝しつつ、見守って行きたいと思います。
勝利呼ぶ、歓喜のリクエスト
精一杯滑り込んで伸ばした糸原の右足が早いか、三塁手のボールキャッチが早かったのか。「アウトォー」無常にも塁審の右手が上がった。うーん、三塁手が取りそうやったからスタートが遅れたからなあ。すがるような眼差しをベンチに送る糸原。監督はすぐ反応しリクエスト。検証に時間がかかった。リプレイ映像を見ながら解説者2人がが好き勝手なことを言う。あっ、これはセーフです、検証時間が長い時は判定は覆らないことが多いです、、とか何とか。審判が出てきた。ゆっくりと両手を広げた。ウォー、残念ながらここはズムスタ。大拍手はなかったけど、でかした糸原。足が短いし遅い、という塁審の先入観念があったとは思わないがよく走ったよ。代打サンズのタイムリーを呼びこんだ。そのあと、強烈なライナーを前進守備の二塁手に掴まれて、あー上手いなあ、敵のセカンドは。と、1点止まりかと諦めかけたら、中野が高めのストレートをセンター前に弾き返した。この追加点が大きかった。
2点リードしたもののまだ6回。先発西はベンチの勝負手が功を奏して通算100勝の権利を手にマウンドを離れた。
さあ、どうする?信頼度急上昇の一平ちゃんが後をつなぐ。だけど、いきなり無死1.2のピンチを招く。踏ん張れー、生きた球が来てるぞ!が、相手8番若きスラッガーが2球目を振り抜いた。あーやられた、と思ったら、昨日こき下ろしてしまった糸原が俊敏な動きで捕球して素早く反転しボールを中野へ、そしてマルテへ転送された。相手若き8番は必死のヘッスラ。さあどうだ?塁審は自信を持って両手を広げた。やっぱりな、しゃあないな、と思ったら、ベンチから2回目のリクエスト。今度の検証時間も長い。
何ということでしょう!出てきた審判は、右手を上げた。やった〜。次の代打を1球で片付け、一平は勝ちゲームのリリーフを締めた。
そのあと7回に登板したのは及川。先頭を不運な内野安打で出したものの、後続を退けた。とりわけ、6試合連続本塁打中の鈴木と堂々と勝負してバッティングをさせなかった。日々成長していく姿が頼もしい。
今日は秋山に気合の投球でチームを勝利に導いてもらおう。
タクロー様こんにちは。
リクエストの場面ですが、糸原は足から滑り込んだ、林は頭から滑り込んだになりますが、ホームベース以外は地上に出てるんで、足から滑り込んだ方が良いんですよね。何故なら、頭からいくと怪我を怖れて手を伸ばしきれないんで、腕が縮こまって、昨日の林のようになってしまいますからね。
逆に足から滑り込んだらベースに当たって止まりますからね。
怪我を怖れない亀山ばりのヘッスラなら林はセーフでしたね(笑)
西への代打は1つの決断でしたが、個人的にも賛成です。ただ三振の多いサンズに「?」と思いましたが、よくタイムリーを打ってくれました。サンズも1助っ人から、正真正銘のタイガースの一員になって下さいました。ヒーローは西でしたが、サンズも一緒で良かったと思いました。テレビを見ながらスマホで東京ドームのTD戦をチラ見していました。高橋がKOされ大敗状況にワーイワーイ(笑)。本日のデーゲーム、秋山らしいピッチングで過日の3連敗のリベンジをしましょう。
ビジターでしたので、ヒーローは1人でしたね。嬉しさのあまり状況判断を誤りました。
昨日のトラオさんの文章のタイトル…ポンコツヒーローの必殺技(全く効かない)みたいで一日中ツボった。
そんな必殺技の応酬みたいな低調な打撃合戦を予想していた昨日の試合。もうタイガースは内野ゴロでしか得点できないんじゃないかと思っていたが証明するように初得点も内野ゴロから。けど昨日の打撃陣からは「西に勝利を‼️」という強い気持ちが伝わってきた。逆に西からは「ここまで勝てないんだから今日は力を抜いて投げるよ」という「頭で投げるスタイル」で行くという覚悟が伝わってきた。
こんなに勝てないのに矢野監督は西をファームに行かせようとはしなかった。もう西は「そんな投手じゃない」ということなんだろうなぁ。そういう契約なのかとも思うが。
やっと手に入れた100勝おめでとう。単なる通過点にして来季は15勝してくれないとダメだよ。
サンズは、やはり休ませながら使わないとダメなんだな。まだ慣れないであろう暑さも考慮しないと。「外せない」じゃなく「外せるチーム」を作らないとね。
一平ちゃんの全力の変化球と及川の力を抜いた145キロ越えのストレート。二人で良い緩急になっている。藤浪を差し置いて席を奪ったという事実は本人たちにもチームにもデカい。
やっぱりタイムリーで得点できると気持ちいいなぁ。今日は早い試合開始。今日こそ「5回まで得点を取られない試合」を頼んますぜ。
今日のツボ…「問題の人・鈴木誠也」。
西投手、100勝おめでとうございます。
そしてtorao様の素晴らしい戦評に、座布団10枚!^_^
以前も少し触れましたが、今シーズンのストレートの走りが悪いとか、かわすばかりのピッチングだとかの批判が多かった西投手ですが、喘息を持病に持ちながら、このコロナ禍の中での奮闘には頭が下がります。
きっと調整も難しかったと思います。
正直、一歩間違えれば死と隣り合わせの中、チームの為に戦ってくれています。
感謝しかありません。
本当に有り難う。そしておめでとう‼︎
その力投を繋いだ一平君と及川、素晴らしい。
中田翔を獲得した瞬間、急に失速している読売を尻目に、祝杯に酔いしれた素晴らしい夜でした。
連敗中という事もあったけど、99勝から足踏みしていた西の姿はちっとも
楽しそうじゃなかった。
良い時には打者を手玉に取ることが楽しくてしょうがないといった、少年の
ような表情でマウンドに立っていたはず。
本人が100という数字を意識していたかどうかは分かりませんが、否応にも
周りや報道が囃し立てますから、早く達成して楽になりたかったでしょうね。
久しぶりの先制点。
先発投手に勝ちが付いたのもいつ以来か。
個人的な嗜好という点では、ド派手な逆転やサヨナラよりも、先制して先発
投手が踏ん張って突き放して勝つ展開が嬉しい。
こんな試合を続けて行けば、しぶとく喰い付いて来る2位3位の球団を
引き離せるはず。
今日もシッカリと丁寧な試合運びでお願いします。
toraoさんの熱いコラムと皆さんの素晴らしいコメントでお腹一杯。
弱い→強い→弱い→強い→強いなら良いなぁと思った。
試合終盤、戦況を寄り添って見つめていた西勇と糸井。二人とも2014年をリベンジしたくてムズムズしてそうだった。ならば全力でアレに貢献してください!ってもう試合中…
応援するのみ!ですね。
この時期に来ての読売の6連敗
ソフトバンク初回11失点の17失点
楽天の自力優勝消滅
ちょっと笑いが止まらない
プロ野球ニュース何度も見ちゃった
今朝のサンデーモーニングで張本が何て言うのか
楽しみでしょうがない