長所を伸ばすについて

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入寮した新人たちが体を動かす。それだけで期待感が高まるこの時期にささやかな幸せを感じる(笑)。二軍スタッフも平田二軍監督、河村打撃、久保投手両コーチに渡辺師範も加わって、育成への取り組みがより効果的なものになることを願っている。

「長所を伸ばすか、短所を直すか」という育成についてのテーマがあると思う。優れた指導者が口を揃えるのが「長所に目を向けろ」「褒めて伸ばせ」だ。私はこれを「効率よく、継続的に成長させていくためには」という教えだと理解している。

ノムさんが選手によって「無視、賞賛、非難」を使い分けるということを言っているのは有名だけど、これもつまりは「褒め方」の問題だと思う。誰もが認められたい、褒めてもらいたい。それを利用して、褒め方に差をつけろということだろう。

いくら「長所を伸ばせ」といっても、大きな短所が明らかであれば活躍の場がなくなるのは当然のこと。しかしそれを「まずは短所を直せ。話はそれからだ」と取り組ませるのと、「長所をより生かすためには今何が必要かを考え、やってみろ」というアプローチでは内容も成果も変わってくると思うのだ。

実はどちらも目指すは「欠点の克服」だったりするのだけど、そこにばかり焦点を当てすぎるアプローチだと、精神が「できない」に支配される。そもそも簡単にはできないから苦手、それを「苦手じゃない」レベルに引き上げるのには膨大な手間がかかる。さらには得意だったことまで失うことも良くある話だ。

目先を変えて、「周囲(相手)を自分の得意に引きずり込むためには何ができる?」と考えていけば、得意なことをより高めるという「できる!」というポジティブな方向性になる。まずは苦手コースを攻められのなら「どう攻略するか」の前に、「どう見極めるか」「どうファールで逃げるか」という、「まずできること」から取り組む方がよほど建設的だ。「できることが増える」という精神状態を作り出せれば、迷いも少なくより効率的な成長に繋がる。

選手本人の努力、根性は当然のこと。それは間違いない。しかし、「まだまだ一軍レベル(レギュラーレベル)になるには、やらなきゃいけないことが山ほどある」という事実は事実として、そこにいかに早く着実に到達させられるかは、育成担当指導者の腕と知恵次第だろう。

コメント

  1. 西田辺 より:

    例えば、150km/hを超えるスピードボールを放れる投手。
    しかし制球に難あり。
    さぁ、どう育てる?

    本来なら、制球を乱す原因を探り(フォーム・肉体的欠点・メンタル等)、克服のための指導が行われ、
    並行して球速を落とさないようなフィジカルの強化。
    こんな所が、普通に思い描く成長のための育成過程でしょうね。
    ところが、制球難だけを修正しようとしてスピードを殺し、本来の魅力さえも奪う指導は育成とは言わない。
    もちろん大きな欠点を克服しないと、と言うのも分かるが、殺傷能力抜群の武器を捨てて、中途半端な石ころを
    たくさん持つ事に大した意味はないんじゃないでしょうか。
    何を見こまれて入ってきたのか、どう言う選手として役割を担わせるのかをプロであるなら追求しなきゃ。
    将来、ホームラン30本以上を見込まれる打者に、バントや右打ちばかり強要するのは果たして正しいのか?
    すべてに於いて65点の選手である必要があるのか?
    欠点を補って余りある長所を持つ選手って魅力的じゃないですか。
    相手も、そんな選手の方が脅威なはず。
    一人でも多くの魅力ある選手を世に出していただきたい。

  2. 虎蜂 より:

    同じことを伝えるにしても、言葉の使い方が大事なんだろうなと思います。

    うろ覚えですが、先発としてプライドがあった江夏に対して、野村監督は抑え転向を促す為に「先発としてはもう無理だから抑えをやれ」と言うのではなく、「抑えのパイオニアになってみないか」と声をかけたそうです。

    今の若い選手は特に周りからの言葉に敏感だと思います。是非とも選手がやる気になる言葉で導いて欲しいと思います。

    • カークランドの爪楊枝 より:

      本筋からはそれますが少々補足を

      野村監督は江夏に「球界に革命を起こせ」と言ったんですね。
      当時の球界は先発は一流、リリーフは二流の考え方が支配していた時代。
      必ず投手分業制の時代が来ると見込んでいた野村監督はリリーフ転向を拒んでいた江夏のプライドを「革命」という言葉でくすぐったそう。
      それに対して江夏は「革命か~」とボソッとつぶやき大きく気持ちが傾いたとか。

  3. いわほー より:

    近頃どのコーチに聞いても判で押したように「短所より長所を伸ばす指導」を口にします。
    それならそれで、ぜひとも短所を打ち消せるくらいに長所を伸ばしてもらいたいもの。
    でも、選手がすでにもっている長所をより一層伸ばすのは、なかなかたいへんなこと。
    長所を損なわずに短所を克服する努力のほうが現実的で即効性があるように思います。
    そりゃもう長所も伸びて短所も克服できれば文句なしですが、それはまた次の段階。
    まあ何事もバランスが大切かと。

  4. ガク より:

    去年の読売の代打の切り札となった石井義人は元々バッティングは天才的なものを持っていましたが、守備があまりに下手で西武では指名打者かやむなくファーストをやっていました。
    彼も守備練習したそうですが結局上手くならなかったようです。
    セリーグだと守備もできなきゃ使えませんが、一芸に秀でたスペシャリストを育てるのもアリだと思います。
    そういう選手ばかりだと困りますが・・・今の阪神は広く浅いゼネラリストばかりが目立ってスペシャリストが見当たりませんから。上本、大和には期待しています!

  5. 虎ジジィ より:

    昔、讀賣の高田が三塁側にファール(引っ張り)ばっかり打ってイラっとしていましたが、それから数十年を経て赤星という「三塁側にファール(流し)ばっかり打って相手をイラっとさせるスペシャリスト」が出現し、楽しかったです。赤星の場合、ファールで粘られ四球で出だすと走られ(相手が)更にイラっとする!という相手にとっては「この上なく嫌なバッター」だったと思います。

    ノムさんが生み出した遠山(松井専)なんかも見ていて面白かったですね…

    長所を伸ばし、そんな「一芸のある選手」を育成して欲しいです。

  6. ロイ より:

    自分も長所を伸ばす指導を期待したいですね!野球はチームでやるもの!
    ある選手の短所はチームメートが補えばいいんです!

    三振はしないが長打がない選手と三振は多いが長打率が高い選手では、後者のほうが投手にとっては断然恐いはず!

    タイガースが個性派集団になったら
    面白いでしょうね(*^_^*)

  7. 金沢の虎 より:

    去年も入ったばかりの隼太にバッティングフォームの修正を早速行なっていました。

    結果、一年間試行錯誤で自分のバッティングさえも見失った様に見えました。

    短所や欠点の矯正も大いに結構。ですが、隼太の様に入ってきて何もさせずにいきなり修正させるのは、アマチュアの実績も持ってるポテンシャルも頭から否定するような物だと思いました。

    だから、河村コーチに期待をしています。是非とも選手の長所を先ず、見極めて、褒めて伸ばして、ある程度の実力になってから、次のステップに進ませる様な指導をお願いしたい。

    世界のイチローは、河村コーチと仰木監督が、そうやって育てたんですから。

  8. ken より:

    自分が上手くなる能力と、他人を上手くする能力というものは違います。
    ずば抜けた技術を持つ選手が、良い指導者にはならなかったという話もよく耳にします。
    天才は段差をすっ飛ばして駆け上がる事ができますが、普通の人は一歩ずつ
    確実にステップを踏まないと時には転がり落ちてしまいます。

    噛み砕いて教えなければ伸びない人も居れば、回りくどいやり方が苦手な人も居ます。
    論理的に技術を伸ばす人も居れば、直感的に伸ばす人も居ます。
    叩かれて強くなるタイプも居れば、乗せられて伸びる人も居ます。
    良い指導者というのは、選手それぞれのタイプ・適正を見極めて把握出来る人なのでしょう。

    長所を伸ばすか短所を消すかも選手によるのだと思います。
    赤星氏が、桜井広大は長所を伸ばそうとばかりして短所を克服する機会が無かった為に、
    潰れてしまったという事を何かで言っていました。
    指導者もトライ&エラーで経験を積む事が必要なのかもしれません。
    ・・・エラーで潰される選手の方はたまったもんじゃないでしょうけどw

    ただプロの世界で明らかな弱点があるとその部分を徹底的に攻められます。
    守備がド下手なのをDHでカバーするような凌ぎ方が出来ればいいのでしょうけど、
    引っ張るのは上手いけど外角はすってんてんとかだと、失投以外打てなくなります。
    その場合、外のボールをカットできる位の技術は最低限必要になるでしょうね。

  9. 梅虎 より:

     新人選手の合同練習が始まって、来月にはキャンプインですねぇ。純粋に期待が膨らむ時期が始まりましたが、あの満点ドラフトの選手たちの動向はほんとワクワクさせてくれます。
     さすが、報道は藤浪(あと北條も若干多いかな?)に集中していますが、田面・小豆畑・金田・緒方の四選手も即戦力として期待できるんじゃないでしょうか。特に田面と金田は手薄なリリーフ陣を十分、狙えるんじゃないですかね。今日のお題でもある長所、とくに直球の威力に魅力のある選手なので、そこを殺さないでほしいですねぇ。
     小豆畑・緒方も夏頃の状況次第では一軍で見てみたい。今年のいいドラフトを、首脳陣が口を揃えていう『改革』へ繋げる鍵は、むしろ彼らの活躍なんじゃないかなぁと思います。