さようなら元年

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本当は月日に切れ目なんてないのだけれど、そうしたほうが一応盛り上がるから「さようなら2019年」。

2010年代の終わりだ。黄金の2000年代が終わり、2010年代を振り返ってみると、ぜんぜん暗黒臭はなかったけれど、プチ暗いディケードだったのかもしれない。
順位だけ並べると、2・4・5・2・2・3・4・2・6・3。優勝はなく、一度だけ「優勝してないけど日本シリーズ」があった。10年間の平均順位は3.3位。Aクラス常連という立場だった00年代からは明らかな凋落傾向があり、最下位も経験。「定位置は3位か4位」というのが10年代の阪神だった。

令和元年、矢野元年の終わりでもある。元年は新時代の阪神を感じさせるものだっただろうか。
私の評価は「十分感じさせた」だ。矢野燿大という人のパーソナリティーとして、辛抱強さがある。急進的にものごとを変えようとせず、相手の気持ちや事情をおもんぱかって、自発を引き出す。いかにもキャッチャーらしい、相手重視の姿勢だ。
だから、強引な手法は採らず、じっくりと腰を据えて変化を見定める。このあたりは釣り好きとも関係あるのかな。
もっとも、それが生来の特性だとは思わない。おそらくすぐにカッとなるタイプだし、非常に頑固な人だと思う。いろんな人と出会い、いろんな経験を重ね、いろんな勉強に取り組むことで、ある意味バランスさせて今があるのだろう。
チームをガラリと変えるようなことはしないが、じわじわと自分の理想へと近づけていく。そんな芯の強さを感じさせてくれる1年目だった。

関連するのだろうが、矢野監督が身につけ、自らのバランスを保つのに役立っている特質が、「肯定する」だ。あるいは「可能性の全否定をしない」のほうが正しいか。自主性、自発性とはよくいうが、その本質は思考力と精神力の強化だ。そのための方法論として、「全否定」ほどの害悪はない。自分で考える習慣を作り、成果が簡単に得られなくてもへこたれなくするために、「肯定」を巧みに活用していく。1年目の矢野監督からは、「教育者」の特長を強く感じた。

力が飛び抜けている人は1年目からチームをがらりと変えて、運が良ければいきなり優勝させたりもする。しかし、それとチームの体質を長期的に強くすることとは必ずしも一致しない。短期的な黄金期を作ってあとばボロボロということだってあり得る。矢野監督が後天的に身につけた辛抱強さは、長期的な体質変化を期待させるものがあった。

そして、さようなら鳥谷。関テレの放送は視聴していないが、最近収録した番組でのコメントや姿はネット記事で確認できた。代理人をつかっている限り、「無条件」ではなかろうが、あとはその条件をどこまで下げるかになるのだろう。返す返すも、もう1年だけ、5千万円なり3千万円なりを上手に活用して、しっかり合意を形成するするだけの「ずる賢さ」が球団になかった。それが残念だ。ある意味では馬鹿正直だし、ある意味では目先の損得しか見えてない。オーナー、球団社長の器の問題だ。でも鳥谷の対応に救われている部分はあるね。

ということで、ほかにもいろんなことがあった2019年とはまもなく、さようなら。
来る2020年が健やかで楽しい1年になることを祈っている。

今年も1年ありがとうございました。よいお年をお迎えください。

コメント

  1. より:

    球団側だって、まさか今年の成績で「まだまだやれる」なんて返事を想定してなかったのでは?
    契約とはいえ成績に見合わない年俸だったし、引退興行やって記念グッズもいっぱい売って、恩返しして引退してほしかった。
    グッズだって売上額と利益は違うし、報道より更に高額との噂もある年俸をペイ出来てたとは思えない。

  2. 虎ジジィ より:

    toraoさんの「矢野理論」には説得力があり、来季への期待が高まります。

    個人的には苦労人を応援したい気持ちが強いので闘病の原口や岩田は勿論、
    野手では俊介&隼太、
    投手では横山&伊藤和
    辺りが、M1で優勝したミルクボーイ(2007年結成、長い下積み)のように来季ドカーンと来てくれる事を希望します。

    鳥谷は退団の際に「引退」(勿論まだオファーはあるかも知れないが)もある事は十分わかっていたと思います。
    ただ、派手な引退式などは照れ屋でクール?な彼はやりたくなかったのではないかと思います。
    (挨拶もなく)「ファンに失礼」と言う方もいらっしゃるとは思いますが、長期間阪神タイガースを支えてくれた選手なので ここは本人の思うようなカタチで、
    個人的には気持ち良くサヨナラを言いたいです。

    虎バカ仲間の皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。
    (阪神の優勝を知らない娘「リン」もおかげさまで来年中学生になりますww )

  3. 西田辺 より:

    今年の矢野元年、とにかく中盤まで投手を大事に使ったな、という印象。
    さすがにラストの追い込みでは、ガンガン注ぎ込みましたが、それが出来たのも
    とにかく引っ張り過ぎと思われるほど先発をキッチリ使い、中継ぎの登板に
    神経を使った結果。
    おそらく、toraoさん仰る通り矢野監督の本質はイラチで頑固。
    ベンチでは我々以上に、投手交代の誘惑と戦っていたかも知れない。
    毎年毎年、こんな戦法は通用しないだろうし、攻撃力アップを標榜する来年は
    また違った戦術を用意しないと。
    それを、一年のどこで決断できるかが来年のカギ。
    来年の今頃は「今年は最高でした」というコメントで溢れる事を祈ります。
    それでは皆様、佳いお年をお迎えくださいませ。

  4. いわほー より:

    肉体強化でチーム力アップを試みた金本監督に対し、「超積極的、諦めない、誰かを喜ばせる」といった感情面に根差した矢野監督のアプローチは、一年目で結果を出したとまではいえないけど、二年目、三年目を見届けたいと思えるに十分なシーズンでした。
    2020矢野タイガースに期待を込めて一本締め。
    よぉーおっ、パン。

    本年も一年間、私の無駄口、与太話にお付き合いいただき有難うございました。
    迎える年が良い一年でありますように。

  5. 虎轍 より:

    torao様はじめ、トラバカファミリーの皆様。令和元年、矢野元年お疲れさまでした。
    今年は最終的に3位に滑り込めてCS進出し、1stも勝ち、12球団で3番目に長く野球を出来てた球団でした。
    来年は一番長く野球を出来る球団に、チームになって貰いたいですね。
    torao様の矢野評はほぼほぼ同じ意見ですね。
    鳥谷に関しては番組で喋ってた事が本音やと思いますし、来年一年間はタイガースが再雇用して、鳥谷引退シーズンとして売り出したら、2000万円くらいで行けるでしょ?
    なんとか最後に一花咲かせられる場所をお願いしたいですね。

  6. こうさん より:

    鳥谷のいない風景を一年間通して見せられた。精神的支柱だが来季の攻撃力にはほとんど影響がないだろう。メッセも「体力的には来季は厳しいかな」というフィルターを通して見ていたので自らの引退は清々しかった。

    225が抜けバレが抜け菊池が夢途切れて…。少なからず他球団は揺れるはず。ほとんど変わらないのがタイガース。土台は出来た(と思う)。ここから底上げと外国人の選別。4人がレギュラーを掴めば更なる底上げが見込める。

    矢野監督は明るく優しいが「日本人の選別」は終わっていると思う。「厳しい矢野元年」が始まる。

    トラオさん、一年間、文章で俺を支えてくれて、ありがとうございました。

    虎バカの皆様、来年もよろしくお願いいたします。

  7. ジュビロタイガース より:

    皆さま今年もお疲れ様でした。

    鳥谷は代理人を使っているのですか。代理人は年俸の何%かを貰う契約でしょうから、同じ契約するなら年俸は高くしたい。大して儲からないならやるだけ損だ、って思う代理人がいそうでイヤなんですよね。

    皆さま来年も宜しくお願いします。