信頼に応え先勝

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10月は「風」が大事。そよそよと吹く風を集めて大きな風にできるかどうか。
今、阪神にいい風が吹いている。もつれ込んだ2位争いで疲れ切った主力選手たち、ベテラン選手たちは、ゆとりのスケジュールでベストコンディションを取り戻した。
シーズン序盤、中盤の快進撃を支えたものの、不慮のケガで無念の離脱を強いられた中心選手たちがチームに復帰した。調子を落としていた選手たちが出番をうかがう。
シーズン後半、チーム力を落としたが、終盤になって少し上げ、「上がっている」という実感の中でポストシーズンを迎える。

使ってくれと申し出たメッセンジャーに大事な第1戦の立ち上がりを任せた。
先鋒マテオに、ターニングポイントを任せた。
不安を持っていた桑原に試練を乗り越えさせた。
いずれも、今シーズンの先の先まで見すえた、いい任命だった。

0-0で迎えた6回ウラ。3番糸井から始まるこの回、井納・嶺井のバッテリーは慎重に偏りすぎた。ある意味では当然だったが、そこにあるわずかな「心の弱さ」が勝負を分けた。
糸井は長打にならない低めの変化球で攻められ追い込まれたが、そこでしっかりと粘る意識を持って、低めのフォークをライト前へ。ストライクからボールにしたかった球だが、対応できる高さに来たのを見逃さなかった。

無死一塁で福留。この状況なら、一走糸井との間でエンドランもある。ポイントゲッターが少ない阪神打線のこと、糸井の単独盗塁だってないとは言えない。ここに来て、糸井が「走れる状態」になっていることも大きい。
甘い所には投げられない。走者を動かしてくるかもしれない。糸井への勝負球で甘くなったフォークは投げさせづらい。嶺井の要求は、外角低めへの速球を2つ続けて1-1、同じコースへのスライダーが外れて2-1。

4球目、福留はそのボールを十分に予測していた。一発警戒は当然のこと、高めの目付はいらない。一二塁間を破られるのもイヤなのだからインコースは捨てていい。3ボールにしたくないから、コースは甘くなる。狙いは、球速で押して遊ゴロ、二ゴロの併殺。

狙いどおりの真ん中低め直球。タイミングを合わせ、しっかりと踏み込む。思いどおりのスイングで、思いどおりに球をとらえる。その瞬間、何が起きるかはもうすべてわかった。
当然のように右中間スタンドへと消えていくボールを見送りながら、ゆっくりと走り出した福留は、一塁ベース手前でにぎった右の拳をあげた。
経験に裏付けされた分析力。持てる技術を発揮する集中力。
「ベテランがやる」金本監督が口にする信頼の理由を説明するような一打だった。

結果的にできあがったオーダーは、守りが堅く、少ないチャンスで鋭く攻める、阪神の野球に向いたものになった。
今、阪神は風を受け、強くなっている。

しかし、風はつまらないことで簡単に向きを変える。
精細に見極め、思い切って攻める。慎重に見極め、大胆に守る。
手堅くいくだけでは勝てない難しさ。心意気だけではなく、勝負勘も大事になる。

コメント

  1. 虎ジジィ より:

    「風」をテーマにした素晴らしい長文に感謝します。
    このまま「風向き」が変わらない事を祈るばかりです。

    試合内容は、まさに「2017盤タイガース」プラン通りのゲーム!

    プレッシャーの中、中3日で6回を無失点に抑えたメッセは立派だったし、僅か2
    点差を当たり前のように抑えた いつもの3人もシーズン通り立派でした。
    中でも、やや不調(あがっていたらしい)だった桑原のピンチでの「桑原対決」の場面が一番痺れました。

    打撃陣は、相変わらず「あと一本が…」の状態でしたが、福留の打った瞬間に本人が確信する一発は完璧でした。

    ただ、この勝利で安心してはいけない。
    「先発 井納」というラミレス監督の奇策は「肉を切らせて骨を断つ」というコトワザ通り「絶好調メッセとの初戦は、勝てばラッキーぐらいの捨てゲーム、2.3戦目が真の勝負」と考えていたなら要注意!
    全く油断は出来ません。

    私事で恐縮ですが、先週スカッシュの団体戦(卓球と同じように三人で2勝した方が勝ち)出場し 惜しくも2位でした。
    最年長の私がメンバーのスタメン(順番、試合前提出)を託されていましたが決勝戦普通に実力順1.2.3で提出も裏目、結果的には実力3.1.2の順番で行けば優勝出来ていましたが、そんな勇気(初戦を捨てる)は私にはなく、3番手が負けてしまいました。

    もし、ラミレス監督が そんな勇気あるタヌキだったら今日が本当の意味での大勝負!
    タイガースは「今日決めないと不利になる」
    萎縮する必要はないけど、気を引き締めて戦って欲しいです。

  2. 西田辺 より:

    中盤までは井納にある程度抑えられる。
    でもこれはいつもの事。
    井納との対戦は80球を超えてから。
    これは私が井納先発が発表された瞬間に思った事。
    というか、シーズン中もこのパターンが殆どで、自慢するほどの事でもないっすね(笑)
    この井納タイマーが点滅するまでに、如何に相手に点をやらないかが勝負所。
    メッセ、まさにエースの投球。
    自覚・振る舞い・チームへの影響。
    全てにおいてエースのそれ。
    強力DeNA打線を6回3安打でクリーンアップを筒香のヒット1本に抑える。
    相手に二塁を踏ませない投球は、スタンドから見ていても気迫を感じました。
    好投のメッセに応えたのは、主砲の福留。
    井納の低目の球を捉えた打球は、打った瞬間確信のホームラン。
    昨日私はライトスタンドに居たんですが、ホームランの打球が真っ直ぐ私の方に
    飛んできて、「お!これは捕れるかな?」と思ったんですが、最後わずかにセンター
    方向にスライスして私の席から2~3m右に着弾。
    最後は年配のご夫妻がボールをゲットされてました(後にお孫さんと思しき少年の
    手に渡ってました)
    エースと主砲で勝った試合。
    今日以降その空気を無駄にしたくないですね。
    今日勝って一気に決めてしまいましょう!

  3. 虎番地 より:

    桑原対桑原は痺れましたね!あそこが昨日の分岐点だったかと。桑原も吠えてましたが僕もテレビの前で吠えました(笑)
    本日聖地参戦です。ベイを0に抑えたのは今日に繋がると思うので、何とか今日試合して、ファイナル進出を決めたいです。

  4. 虎轍 より:

    昨日は現地観戦でしたが、雨に打たれる事なく試合終了まで観戦出来て良かったです。
    残念なのが、クライマックスシリーズにヘボ審判を球審にしたことですね。
    低めのボール球はストライクで、外のストライク球はボール判定って、試合を壊しかねないジャッジが多かったですね。
    最後の筒香が追い込まれた球はボールやと思いましたが助かりましね(笑)
    相手先発は井納でしたが、井納は阪神戦では打たれてるんやから、今永や濱口でなく助かりましたね。
    今日は結構降ってるんですが大丈夫なんか?
    今日も今から雨具持参で甲子園に向かいますが、こんだけ降ってたら中止になると思うやがなぁ…
    とりあえず行ってきます。

  5. ジュビロタイガース より:

    まさに信頼に応えた先勝。中3日でも行けるとアピールしたメッセを信頼した采配。自分は正直秋山でと思っていました。打線のキーマンと信頼されていた糸井福留もメッセは降板と分かっていたんじゃないでしょうか。何とか勝ち星をあげたいとの意地を見た気がします。
    逆に井能先発はラッキーと思いました。シーズンでも良いピッチングをしながら、踏ん張りきれない印象しか無かったですけど。
    これで今日明日中止なら火曜日の予備日も試合無しですよね?投手陣を温存出来るとありがたい。

  6. こうさん  より:

    結果が分かっていた試合で、こんなにもトラオさんの文章が待ち遠しいのは今季一番かもしれない。

    「シーズン中と違うことは出来ないの私達。」という典型的な試合。けど水戸黄門の印籠みたいな爽快感がある。マテオとドリスの安定感を目の前で見てる桑原は「俺が二人に追い付かなきゃ❗」と苦しみながらの投球。スピードが出ない苦しみ。確実に今季の大車輪の影響が出ている。「桑原を信頼している。」のは解るが、石崎を観たかったなぁ。CSで投げさせてやるのが大事。

    「ベテラン3人に期待する」のは解るがベテランが打てない日は負けるのか?…奮起せよベテラン以外の選手たち❗短期決戦、試合数は少ないぞ。脚でも何でもいい、「ベテラン以外で得点する」ことが大事。 「俺達が打てばタイガースは更に強くなる」って分かってるんだろ?

    • こうさん  より:

      書き忘れた。試合後に双子に握手を求めるシーンがカメラに抜かれた。年頃の女の子に…と複雑になった。「タイガースファンの要求は断れない」と思わせていないか心配になった。親心?嫉妬?あぁヤダヤダ。

  7. 虎世界一 より:

    昨日今日と現地参戦です。メッセの球数を放らせるベイの作戦をゲッツーで何度も交わして、最後はマクドリレーは圧巻でした。今日は雨が心配ですが、神風を広島にそのまま運びたいですね。

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