近本と福留それぞれの仕事

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相手先発梅津にピシャリと抑えられても不思議じゃない試合だったが、攻略の糸口は近本が塁上からかけるプレッシャーにあった。初回先頭近本がピッチャー返しのセンター前ヒットで出塁。盗塁王の走るぞ走るぞの構えで梅津&マルティネスの若いバッテリーを緊張させた。結果糸原四球。この四球こそ「崩れ」を決定づける。自分自身への信頼が揺らぐことにおいて、意図しない四球ほど大きいものはない。近本の静かな威力が久々に出た。
ここで糸井とボーアの休養による打線の組み替えで3番に入ったサンズが非常に内容のあるタイムリーを放った。好球必打で初球、2球目と果敢にスイングしたがいずれもファウルで2ストライクと追い込まれる。ここからボール球は見切り、きわどいところをファウルで粘りながらフルカウントまで持って行く。まっすぐにもフォークにも反応できている様子から、ベンチは安心して走者を動かした8球目、低めフォークをすくってレフト前へタイムリー。一走も三塁まで進んだ。
立ち上がりに失敗したバッテリーから大胆さは消えていた。続く大山へは外一辺倒となり、カウント2-1から甘くなった直球を大山見逃さずセンター前へタイムリー、2-0となってなおも無死一三塁。
続く5番福留にも3ボールとストライクが入らなかったが、ここで梅津もようやく開き直ったか、そこからはしっかり腕を振って来た。しかし福留もしっかり対応して左へ犠飛を打ち上げて3-0。

ここのところ好投が続いていた岩貞だったが、この日は制球がかなり甘かった。2回以後1点ずつ返されて4回には3-3と同点にされる。実際には非常に苦しい投球内容で球数も4回までで92球。よく1点ずつで収まったもので、そういう意味では悪いなりになんとか粘ったとも言える。

再び勝ち越した4回ウラも近本の足が効いた。一死から岩貞への代打北條が粘って四球をもぎ取る。続く近本のセーフティ気味の送りバントを梅津が悪送球して一死一二塁になる。バント処理する側にとっても近本の一塁到達時間の短さはプレッシャーになる。
再び近本の足による「崩し」が決まり、そこからはドラゴンズが自ら崩れていった。

糸井に代わってライトスタメンに入った福留が重要な犠飛2本とタイムリーヒット2本と二塁打。3の3、4打点の大暴れ。初回猛攻の流れを引き寄せた1回表のダイビングキャッチも大きなプレーだった。コンディションを見ながら有効活用したい。

ボーアに代わって一塁に入った陽川も2安打で起用に応えた。

2番手で5回表のマウンドに立った小川一平は、3番福田から始まる中軸との対決で福田左飛、ビシエド右前軽打、マルティネス中飛、阿部には粘られて四球。二死一二塁として後続を能見に託した。決勝点をもらった先発岩貞が4回で降板したので、勝利投手の行方は公式記録員の判定に委ねられたが、もうひとりアウトにできていれば初勝利も十分あった。まあ、順調に場数を積んで、精神的にタフになっているからそのうち回ってくる。

四球やエラーの多いフワフワした試合を、回またぎの好投で落ち着かせたのがベテラン能見とまだまだ若手の馬場。小川とともに3人で5~7回を無失点としたことで相手にペースを渡さなかった。
投手の使い方はコーチがもっとも把握できていることだとは思うが、浜地も使える試合展開だったと思う。

さて、下から藤浪も合流し、球児も二軍で復帰登板。野手たちも出番をうかがう選手たち目白押しで、チーム状態もいい。
あるとは思っていたが、こんなに絵に描いたような猛反撃で一気に借金完済する瞬発力は矢野タイガースの特長か。
疲労しないローテーションを忘れることなく、このロングスパートを続けていってほしい。ホーム、ビジター、対読売に関係なく。

コメント

  1. 虎ジジィ より:

    糸井&ボーア抜き、岩貞不調、
    「勝てる要素が少ないのに不思議と楽勝」そんゲームでした。

    toraoさんの文章を読み返して改めて「近本出塁」の重要性を思い知らされました。

    一時崩壊気味だった中継ぎ陣もビシッと抑えてくれ、本来ならノーガードの打ち合い「バカ試合」になってもおかしくない展開を一方的に圧しきる事が出来ました。

    さて、藤浪が上がって来て更にもう少しすれば遥人、横山、岩田も先発の順番待ちに加わり、リリーフも経験豊富なメンバーが次々と復帰して来る。
    打線ではマルテが戻れば鬼に金棒!
    「真夏の虎」本当に楽しみです。

  2. とらかっぱ より:

    こんなに早く借金完済できるとは!toraoさんが仰る通り初回に近本が与えたプレッシャーが大きかった。チーム状態が良くないドラゴンズ相手とはいえ3タテ返しで借金を完済できたことは更にチームの勢いを加速させてくれる感があります。

    思い返せば1回表の福留のダイビングが勝利への序章だったのかと。プレイボールが掛かって間もないタイミングであの身のこなし。入念な準備を怠らないからこそ生まれたプレーでしたが、右打者の切れながら落ちていく打球を久々のライトでやってのける。序盤の無理する状況ではない中での福留の判断は「必ず取れる」だったからこそのダイブでありギャンブルでもなんでもない彼からすれば当たり前のプレーだったのかと思います。取った球をバックトスでポーンと糸原に返す様もならでは(笑)これからも疲労と相談しながら要所々々での福留らしい活躍が観れそうで楽しみです。

  3. kai より:

    とらかっぱさんのおっしゃるとおり、まさかまさかこんなに早く5割とは…と言うより2勝10敗の時には、今は無いはずの暗黒時代病に掛かり、こんなもんだと腹を括っていたのがつい先日でした。もう20年近くも経ったのに、まだウイルスが残っていたとは(笑)2000年代後半に克服したと思っていたんですが…阪神ファンってのはこんなもんなんですかね。まぁこれからはビジターに出た時にどうなるか?ですかね。今の勢いで行けは大丈夫と信じたいです。1割打者も大分減りましたし、リリーフ陣も良かったし。このままこのまま…(笑)

  4. 虎轍 より:

    祝!4連勝!
    祝!5割復帰!

    2勝10敗の時はどうなる今シーズン?って思ってましたが、聖地甲子園に帰って来てからは8勝2敗とハイペースで借金返済ですね。
    まぁ代打に投手を使うような相手チームですから、給付金を貰った3タテやと思っときましょうか?(笑)
    初回福留の久しぶりのライトスタメンとは思えないファインプレーで野手が締まって、裏の攻撃で3点は良かったですが、岩貞がピリッとしませんでしたね。
    蒸し暑さからか制球が出来ひんかったか?次回は頑張れ!
    原口もナイス!
    今日は気分良く仕事が出来ます!
    ありがとうタイガース!
    ありがとう藤嶋!
    頑張ろう日本!

  5. なかっち より:

    岩貞はあの展開なら最低でも6回は投げて欲しかった。
    ああいう試合を確実にものに出来るようになれば二桁勝てると思います。

  6. ジュビロタイガース より:

    3番と5番打者がいない飛車角落ちの攻撃陣でしたが、相手は金銀落ちかのような守りの不味さ。こちらも2失策に6与四球でしたが。
    その中で、福留と能見のベテランが光りました。守りも打線も効いていました。素晴らしい。
    ファーストは原口の方がとも思いましたが、陽川が2安打と競争ですな。最後は和雄でしたが、浜地も見たかった。

    しかし、ホンマに3タテで借金返済するとは。広島ももう少し叩いて、ナゴドで利子もきっちり返したって。

  7. いわほー より:

    『等倍がえしだ~!』