開幕戦は完璧勝利

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試合序盤は阪神が押し気味ながら、初回三振ゲッツー、4回ゲッツー&三振と、森下絡みのゲッツーでチャンスを潰す。でも、そんなにイヤな感じはなかった。「無死一二塁でクリーンナップのゲッツー上等」は、岡田監督のかねてからの主張だ。そして初回の盗塁失敗(森下エンドランのサイン見落とし?)は、5回表の大量点のキーとなった輝明の盗塁を引き出す伏線になった。

確かに多くの解説者や評論家が言うように輝明の二盗は予想外で、それによって由伸は動揺したかもしれない。またカーブの精度がイマイチだったために、投球の幅がせまくなったのもあっただろう。そうだったとしても4回までキッチリ抑えていたNPB最強投手を5回表一気に4得点と崩した攻撃ははあまりにも鮮やかだった。

まずは輝明のヒット。初球インハイ際どい速球を見送ってボール。2球目逃げ落ちるフォークにタイミング合わず空振り。3球目、初球より少し甘くなったインハイ速球は狙い打ったのだろうが完全に詰まらされる。ところが詰まっているのに、野手の間を抜くのに十分な打球速度を与える。力勝負の由伸に対して、力で勝ってヒットにした。由伸ほどの投手なら、回の先頭打者を抑える重要性を知っているだけに、予想外のボールをヒットにされたことが「最初の針穴」だった。

しかし打順は下位へと下がる。8番木浪は要注意だが、ほかに怖い打者はいない。6番ノイジーへの内角初球に輝明がスタート。低めへ落ちるフォーク、ノイジー空振り、捕手にとってはもっとも過酷な条件で、送球は右へそれてワンバウンド、ヘッドスライディングした輝明は余裕のセーフだった。

無死二塁、右打ちに意識を集中させたノイジーは、寄せてくるフォークを押っ付けてライトフライ、輝明は三塁へ進む。一死三塁にされるのを避けるために選択したはずの内角フォークが甘くなった。ミスとも呼べないような「ほんの小さな狂い」を見逃さず、やるべき仕事をし遂げたノイジーの働き。二つ目の針穴。

しかしこの段階で由伸は「ケガ」をしていない。一死三塁打順は下位、まだゼロで切り抜けられる可能性は十分あるし、たとえやったとしても1点だ。しかし、この時すでに由伸にはそんな風に考える余裕がなかったのかもしれない。そうさせた最大の要素は、阪神先発の村上の投球内容だ。まったく重圧を感じさせずにスイスイと思い通りのボールを投げ込み、ここまでパーフェクト。由伸に「その1点」で負けることさえ連想させるピッチングをしていた。

一死三塁で打席には渡邉諒。注目されたDHありの打順は、坂本を9番に回し、7番DHに渡邉を入れた。第1打席、なにもできず三球三振に終わっていた渡邉は初球フルスイング、内に食い込むシュートに詰まったが、深い守備位置だったセンターの前へのポテンと落ちるタイムリーヒットとなり阪神1点先制。起用が当たった岡田監督、ベンチで大喜び。かわいい。

確かにこの日の村上相手に先制されるのは嫌だったろうが、普通はこの1点で試合は決まらない。阪神サイドから見ればそうなのだが、オリックス側から見るとそうではない。開幕は本拠地、相手は何かと周囲をうるさくする、いまいましい阪神。こっちは大エース、あっちは「ぽっと出のエース」。岡田監督は戦前から「(山本由伸は)ええと思てない」と挑発している。このたったの1点が実に面白くなかったろう。気づけば小さな2本の針穴が一回り大きくなっていた。

一死一塁、8番木浪が2ボールから高め直球をいとも簡単にたたきつけ、一二塁間を破る。由伸に与えたショック、タイガース打線に与えた勢いという面で、この一打の影響力は大きかった。差し込めるはずの高め154キロの直球、これを完全に自分自身のポイントで捉えた。なんといっても8番打者に速球を完璧に打ち返されたのだ。これで由伸は「この日の出来」を信頼できなくなった。穴はもはや柱の近くまで侵食している。

とはいえ点が入ったわけではない。事実、次の坂本はバント失敗。二死二三塁にはできず、二死一二塁のまま。しかし岡田監督はなんとも思っていなかっただろう。なにせ、DHを最大限機能させることより、セでやってきた調子のいいつながりを維持するのを優先させた打順だ。ここは投手が入っているつもりでサインを出し、投手の打席のつもりで結果を受け止められる。

実際これが勝負のアヤとなった。二死一二塁で近本を迎え、オリックスの外野守備陣形は二走渡邉を帰さない前進態勢を取ったのだ。二三塁となっていたら、同じように前進させていただろうか。由伸への信頼があれば、同じように二人目の木浪を帰さない構えを取ったかもしれないが、守る側の意識は少し違っていたはずだ。一方近本は、坂本のバントの失敗をカバーしてやろうと考えたろう。もともと二死になっているのは変わらない。自分が打つかどうかだけ。外野前進は近本にとってむしろヒットゾーンが増えて「おいしい」と感じたのではないか。

初球フォークが高く抜けてボール。2球目カーブが決まってストライク。3球目、真ん中156キロの速球を近本は狙い澄ましたようにミートし、打球は浅く守っていた右中間の真ん中を抜けていく。走者二人が帰る2点タイムリー三塁打。坂本のバントミスをカバーした。甘くなった失投だが、もうこの打席では打てるという確信を持って振っていたように見えた。これで3点。小さな針穴から始まった攻撃で柱を傾けた。

さらには中野。1-2と追い込まれながら、ボールになろうかというフォークに対応して技ありの三遊間。三塁から近本を迎え入れてこの回4点。柱が折れた瞬間だった。

試合が動いたその裏の守りが村上の頑張りどころだった。先頭森に屋根玉入れの二塁打で出し、首位打者頓宮。粘られたが8球目の外角低めの直球をストライクと言わせる。ここは村上のコントロールはもちろん、捕手坂本の配球と捕球技術の勝利だった。

続く紅林にこの日唯一の四球を出して一死一二塁。ここでこの日村上に合いそうなゴンザレス。3球で追い込んだものの、その後はいい当たりのファウルを何本も打たれて粘られる。ストレートにもフォークにもついてくるのでカーブも投げたが振り切れない。最後10球目速球を内角に投げきり、詰まった二塁へのハーフライナーに斬った。スリーランでも打たれれば、わからなくなるところ、よく辛抱した。
若月三ゴロでこの回無失点。試合を固めるとともに、次の回3得点を呼び込む粘り強さだった。

近本、中野がともに3本で2打点、木浪が2本1打点。坂本が1安打1打点。大山はノーヒットだがそれ以上に価値ある3四球で、他の先発野手はヒット1本ずつ。心配だった打つ方が上々の滑り出し。とくに森下に1本出たのはよかった。

投げる方では7回100球無失点の村上のあと、調子落ちが心配された加治屋と岩貞がともに完璧な投球内容でつないで完封リレー完成。8-0の完勝で終わった。

1-0でも8-0でも1勝に変わりないので、気を緩めることなく残り6試合を戦うこと、それは間違いない。ただしこの勝ち方にまったく意味がないということはない。大いに勢いに乗って、自信を持って、暴れていったらいいと背中を押してくれる勝ち方になった。

コメント

  1. 虎ジジィ より:

    まさに「完璧勝利」、それに加え素晴らしい長文コラムにまた感動が蘇ります。

    村上様々、初回こそコントロールにズレがあり、解説の梨田氏に「シーズン通りではない」と言われていて心配しましたが、徐々に修正し4回までパーフェクト。
    5回無死2塁のピンチからも全く動じず、粘るゴンザレスとの対戦では、まるでバッテリーの2人が対戦を楽しんでいるかのように笑顔をみせながら「料理した」ようにも見えました。
    村上そして坂本の強心臓に驚かされたシーンでした。

    打線は、正直スタメンを見た時に「何故DHに渡邉諒?」と思いましたが、おみそれしました。
    スタメン全員がそれぞれの役割を果たし超難敵・山本由伸をKO、特に佐藤輝のフォークボールを読んだ盗塁(サイン?)が起点となりました。

    まとめると
    1番近本=ニアサイクル3安打猛打賞2打点。
    2番中野=技あり3安打猛打賞2打点。
    3番森下=鋭いスイング連発で最終打席でヒット1安打。
    4番大山=無安打も貫禄の3四球。
    5番佐藤輝=殊勲の盗塁と進塁打2を含む1安打1打点1盗塁。
    6番ノイジー=ヒットと貴重な進塁犠飛で先制点に絡む。
    7番渡邉=直球破壊の先制タイムリー。
    8番木浪=「恐怖の8番」健在2安打1打点。
    9番坂本=ダメ押しツーベース1安打1打点。
    とスタメン全員が持ち味存分に活かしました。

    点差がついたおかげで、ブルワーが体調不良で不在の中、イマイチ調子が把握出来ない加治屋・岩貞もテスト投球に成功し使えるメドが立ちました。

    オールOKの理想的な初戦勝利と言えるでしょう。

  2. 西田辺 より:

    今年の日本プロ野球の総決算、日本シリーズが始まりました。
    そこにタイガースの姿があるのは本当に誇らしい。
    パ・リーグ3連覇で昨年の日本シリーズを制しているオリックス
    相手ですから、タイガースが挑戦者の立場なのは仕方なし。
    第1戦の相手先発はパ・リーグ最強と言っても過言ではない山本由伸。
    タイガースは、今年大ブレークを果たした村上頌樹。
    山本は、CSファイナルでもロッテに初回打ち込まれていたりと、本来の
    調子ではない感じでした。
    スライダーが決まらず、フォークで誤魔化しているっぽかったですね。
    試合を動かしたのは5回表、センター前ヒットで先頭出塁した佐藤輝が
    ノイジーの初球に盗塁成功。
    これで山本やオリックスに動揺が広がったような気がします。
    この試合、DHで抜擢された渡邉諒がセンター前に落とし先制。
    そして毎度おなじみのキナチカナカで3点を追加。
    続く6回も攻撃の手を緩めず3点を奪い取る。
    タイガースの村上は、初の大舞台とは思えない堂々たる投球。
    7回100球 被安打2 与四球1 無失点と日本シリーズ開幕戦の先発
    として十分すぎる内容。
    結果として快勝でしたが、油断は大敵。
    短期決戦は、チョットした事で流れが大きく変わる事がよくあります。
    シッカリ守ってシッカリ打って、今年のタイガースの野球をやる事だけに
    集中して欲しい。
    特段ネガティヴになる必要もありませんが、2014年も初戦を取った後に
    一つもホークスに勝てなかったし、去年のシリーズも2敗1分けから
    オリックスが4連勝しています。
    この1勝で浮かれることなく引き締めて行って欲しいですね。

  3. サヨナラ3ラン より:

    昨日のゲームのひとつひとつのシーンを思い出させてもらう素晴らしいコラムでした。やはり日本シリーズだけに見る側の熱量も違いますね。
    阪神の勝ち筋は村上とブルペンが最少失点に抑えて、あとは打線がフォアボールなど絡めてワンチャンものにする。コレしかないだろうと考えていたが誰も予測できなかった展開に驚きました。流れを呼び込む佐藤の二盗、そして坂本が送りバント失敗したあとの近本の2点タイムリーが大きかった。ゲームの上では何と言っても村上と坂本バッテリーが素晴らしかった。日本シリーズの独特な雰囲気に呑み込まれることなく平常心のピッチングが出来ていた。ホント頼もしかった。頓宮への低めがストライク判定を取れたことも大差に繋がった要因。打線はアテに出来ないと思ってたが杞憂だったようだ。大山も打ちたい打席で我慢出来てたし心配は要らないと見た。今日も勝てれば38年前と同じ流れになる。遅れて戻ってきた西勇輝の意地に期待したいね。

  4. 岩修 より:

    昨夜は息子を含めた家族で大熱狂だった。喜びと疲れでプロ野球ニュース途中で爆睡。当然、torao様渾身の長文は大傑作で大納得。
    最初、ナベリョウ起用にズッコケそうに成ったけど、これが岡田野球なのだろう。森下には「盗塁の時は振らんし、ボール球ばっかり振るし変えたろうかと思ったけど、泣いたらあかんからそのまま使ったらヒット打ちよったよ。おーん」と。
    地味に凄いノイジーは奇襲輝明のスチールを助けるフォロースイングの大きな空振り。
    ノーヒットでも出塁率6割、フェンス際好守の大山。通年以上の大活躍キナチカナカ。
    本当に大エース山本を粉砕し、オリックスを圧倒した打者陣に天晴れ。
    1番の大殊勲は緊張の中、相手を絶句させた村上の快投。つられるように加治屋、岩貞も完璧。もう西勇や青柳も続くしかないと思う。昨日、虎ジジィ様やタクロー様の言われた通りになり怖くなった。このまま虎轍様の予言が当たったら気絶するかもw

  5. こうさん より:

    ファイナルでの近本・中野への不安が消えなかった午前中の弱気な俺。けど昼間に観たテレビで日本シリーズの番宣テロップが流れていて使われていた顔写真はタイガースが岡田監督とサトテル、オリックスは山本と森。…CMでも使われていないアチラの監督。いつだかのトラオさんの文章を思い出し「薪をくべるなよ…」と、また不安になったが夕方のBIRTHDAYで放送された横田さんを観て「信じなきゃダメだ」と奮い立つ。
    初回は「やはりアチラの応援の方が大きいか?」と思ったが回が進む毎に負けなくなった。5回の攻防戦は見応えがあった。サトテル、よく走ったな。ノイジーもナイスフォロー。ヘッスラのサトテルがウル○ラマンみたいだった。不安な近本・中野がタイムリー。坂本のバント失敗は痛かったがツーアウトだからこそ二人が帰ってこれた。坂本のテンション、ファイナル以上に異常。そして冷静。嬉しすぎる4点だが、まだ山本を替えないオリックス。裏もよく凌いだ。
    その山本を更に追い込んだ6回。大山が貫禄のフォアボール。ノイジーに一本ヒットが出たのは大きい(ヘアスタイルいいね)。そして坂本・木浪のタイムリー。「この点差で、山本で逆転勝ち」を狙っているアチラの監督の思惑を打ち砕いた。7-0で村上は3点差まで投げれるし、緊張する舞台で中継ぎも試せる。
    完全に予想していなかった大差勝ち。タイガースの選手から緊張が伝わらなかった。もしかしたら優勝が決まった甲子園の興奮は日本シリーズ以上だったのかもしれない。
    全員がヒーローになる土台が初戦で出来上がった。そしてオリックスは空回りし始める。

  6. ガク より:

    昨日は正に完璧な勝利でした!
    DH渡邊諒も先制タイムリー打って「なぜ糸原でないの?」と思った私も完全脱帽、さすが岡田監督の慧眼恐るべし。
    3三振にゲッツーの森下は「替えたろうと思ったけどまた泣いたらあかんから笑」
    と辛抱した甲斐あって最後難しい球を拾ってヒットにしました。
    危うく逆シリーズ男になりかけた森下もこれで伸び伸び打てるでしょう!
    岡田監督のことだから油断なぞしないでしょうが2014年のこともあるし今日も気を引き締めて宮城攻略といきましょう。

  7. Akira28 より:

    今朝のtorao さんの名解説はほかにもどの解説者よりも昨日のゲームの的を射ており感動いたしました。
    まずは、タイガースの快勝を皆様と祝福させて頂きます。
    また、対するオリックスも心配していた頓宮選手と紅林選手がシリーズに間に合ってくれてよかったです。
    お互い梅野や杉本他幾人かのレギュラーメンバーを欠きますが、やはりベストに近いメンバーで今年の頂上決戦を競い合っていけることが嬉しいです。
    その中での真剣勝負で勝ち切って優勝するところに真の日本一は輝きを増します。
    試合前から、岡田監督は山本を打てないとは思わないと言い放ち、自分ならストレートを狙うとのコメントでしたが、私は選手を鼓舞する為の発言かと思ってました。
    ところがどっこい。タイガース打線はストレートを次々と仕止めていくではないですか。序盤は山本に抑えられたように見えて、各打者は山本との間合いを確認してましたね。
    森下も大山も佐藤、ノイジーまでもが二回り目から打てる感じが私にも伝わってきました。
    4回大山がチャンスでフォークを見逃して三振に終わった瞬間、タイガース打線の狙いはやはりストレートとみてとれ、5回以降に必ず四球か盗塁を絡めて点を取ると確信しました。
    案の定、佐藤が初球からスチールを決め、ノイジーが右への犠飛。
    渡邊はストレートに絞り、シュートをフルスイング。詰まったのが幸いしましたが、この後タイガースの得意の下位から一二番で得点した攻めは気持ち良かったです。
    近本の三塁打は気持ちよかった。
    03年だったか05年だったか記憶が薄いのですが、日本シリーズで前進守備をあざ笑うかのように赤星の頭上を抜けていった打球に敗れた無念さが、昨日の近本の打球で払拭出来ました。
    勝負のあやは五回の頓宮との対戦でしたね。最後の素晴らしい村上のストレートは実に微妙な高さ。
    坂本のキャッチングも見事でしたが、球審・川口は村上のボールのキレに反応して渾身のストライクゼスチャーで応えてくれました。
    あそこで抗議を示さなかった頓宮も立派でした。どこぞのチームなら醜い抗議をしたでしょう。
    大山が見逃し三振を取られた刹那の潔い態度に感動するのは私だけではないと思います。
    頓宮選手も立派でした。
    あの回の攻防は実に見応えありました。
    初戦の印象としてはどっしり構え続けながらも、状況に応じた采配を繰り出す岡田監督。
    方や、三年連続の日本シリーズを戦う割ににはやや雰囲気に呑み込まれた感のある中島監督。森の打球をホームランではとアピールするのはおかしい。自分達のホームグランドでの天井ルールはしっかり把握してアピールしてください。
    でも選手のプレーに一喜一憂しながら、喜怒哀楽の表情を前面に出す中島監督のそんな表情も可愛いですが。
    正直、今日の宮城は打てる気がしない私ですが、こちらも調子が良い西勇です。
    明日は試合が無いので、リリーフ陣も総出で粘り勝ちたいところです。
    Vamos!

  8. torarest より:

     今季の野球の集大成、最終で最大のイベントの日本シリーズ開幕、敵地といえども地元もどきの京セラドームでの初戦マッチアップは、村上、山本です。実績、経験からいって山本が有利と大方みられていました。日本シリーズは第二戦の勝敗が重要と、独り言を呟き余裕を醸し出しての観戦です。
     試合は、両投手の出来は良く序盤から四回まで期待通りの投手戦です。山本は157,8のストレートと140後半台のカット、ツーシーム、フォークとカーブのコンビネーションとコントロールでNPBの最高級レベルの投球ですが、フォークの投球率が三球に一球と高め、後半高目に浮いた所を捕まえる勝負になるかとみていました。対して村上は普通にいい状態の時の村上で、ただオリックスのスタメンを見て、舐めてる訳ではないですが、四番五番位がマークすべきで、今日の村上の状態なら大丈夫かなと、良い勝負になるなともみていました。杉本、四番に起用していた長距離外国人が外れているのはやはり余裕で、言っちゃ悪いがCS時の広島打線より見劣りします。
     阪神は4回に相手エラーで無死一二塁のチャンスを掴み、三番森下が初球のカウントを取りに来た甘いフォークを見逃して次球のツーシームを打ち、術中にハマってのゲッツー、大山も抜け気味フォークを見逃しての三振とチャンスを潰しました。森下にバントでは?と外野は蘊蓄を語りますが、ここでの采配はまさに岡田野球で、ゲッツーに打っても、ツーアウト三塁でチャンスは続くやん、と序盤の作戦としては普段通りの信頼の岡田野球です。
     これで流れが変わるかとみていましたが、村上は悠然とその裏を三者で抑えて未だパーフェクト、相手先発山本に相当プレッシャーを与えたかもしれません。
     さて、五回です。先頭佐藤がフォーク空振りの後、甘め内角ストレートをセンターへのヒットで出塁、少し山本のストレートがシュート回転してきたかなとみてとれ、続くノイジーの初球に盗塁でした。試合後の監督談話で初球盗塁の作戦の話が出ていましたが、コレをそっくりそのまま鵜呑みにはしていません。ここの作戦は初球エンドランだったとみていて、岡田監督得意のプラフと読んでいます。ノイジーへのゲッツー回避、初球ストレート、ツーシームならノイジーはコンタクトでき、フォークならワンバンド空振りもありで、結果的に盗塁という策であったと推察しています。
     それで見事盗塁成功で、ノイジーはライトフライで進塁と、ノイジーはベンチの思惑通りの良い仕事を二度成就しました。続く渡邉は第一打席にカット、カット、フォークの変化球三昧の三球三振で打ち取られ、期待薄でみていましたが、初球ツーシームをセンターへポトリと落としツキを感じ、更に木浪がストレートをヒットと攻撃の流れを引き寄せます。続く坂本にはバント指示と、岡田監督は実に相手にとって嫌な采配をするなと感心しました。ここでのバントで二三塁にして近本のタイムリーが出れば、阪神村上の出来からいって、オリックスには致命的な失点となります。
     ここで坂本はバント失敗、ただ、オリックスは小フライをゲッツーまでを取れなかったことに悔いが残るでしょう。結果的に近本に右中間を破られて、阪神としてはバント失敗を取り返してくれる近本のタイムリーでした。更に中野がタイムリーとダメ押しです。
     その裏、村上は先頭森のホームランもどきの二塁打で無死二塁の初ピンチを球数を要しながら切り抜け、さらに6回に阪神は山本をKO攻撃にての完勝です。
     村上は七回まで無失点、八回加冶屋、九回岩貞と完璧、シーズン終盤にヘタっていた加冶屋、岩貞の球のキレが良い時に戻っていたのは何より頼もしい。
     このシリーズ、コレで阪神のブルペンは断然良いと確信しています。対してオリックスの勝ちパターンの宇田川、山崎、平野には、何とか阪神打線は対応できそうとみています。まして今日の山本KOの後の継投のメンツは、山本のレベルより明らかに落ちるので、油断してはいけないですが、山本、宮城まで一巡する六戦七戦まで絡れなければ、阪神有利となるはずです。

  9. タクロー より:

    「打―ちまひょ」「もひとつせ」

    まさに完璧勝利でしたね。
    初回の攻撃で森下見逃し三振、中野盗塁死のゲッツーになったとき、岡田監督えらい怒ってはりましたなあ。囲み語録によると、あの怒りの原因は「振らんからや、森下が」のせいだったらしいけど、あのブチ切れた怒り顔は、審判に向けてのマジ怒りに見えたけどね。隣にいた平田ヘッドも珍しくマジ顔になり慌てたようだったし、周りにも緊張が走ったのが透けて見えた。カウントを間違えたのでしょうか?なんて解説者が言ってたけど。さて真相は、、、まあどうでもええけど。
     今やリーグのエースとなった村上。今年ブレークして新人王確定の若者とは思えない落ち着きぶりで抜群の出来でしたね。メジャーのスコアラーに目を付けられたんとちゃうやろか?まだあかんよ。リードする坂本も相変わらず良かった。5回ウラあの見逃し三振を取ったフレーミング。ストライクと言わしめた。近本、中野、木浪がグランドを駆け回り、笑顔で拳を突き上げる姿があれば勝利確定。まさしく普段通りの野球。喜びと幸せを与えてくれる。
     さあ、今夜は西勇輝。入れ込み過ぎず立ち上がりに気を付けて、勇ましく輝いてもらいましょう。相手の宮城も難敵だけど、森下、大山、輝明のクリーンアップが普通に「打ーちまひょ」。一発攻勢で、もうひとつもらって連勝といきましょう!

  10. 星の輝き より:

    私は5回の先頭打者である佐藤輝のヒットを受けて、盗塁はもしかしてあるかも?と思いました。

    何故ならその前に二つの攻撃のミスがあったからです。
    一つ目は1回表、岡田監督が大声を上げた、森下が全然振る気を見せないまま見逃し三振し、中野が盗塁失敗して三振ゲッツーで攻撃終了となった場面。
    二つ目は4回、当たり損ねの安打と相手一塁手の失策で無死一塁二塁の貰ったようなチャンスを今度は打ち気が空回りしてボール球をブンブン振る森下の併殺と大山の三振であっけなく逃してしまったシーン。
    相手投手の山本が自力でチャンスの芽を摘んだとも言えますが、あまりあるとは思えない好機を自ら手放したと感じられなくもありませんでした。
    試合が嫌な流れに傾きそうだと皆が感じたのではないでしょうか?

    この二つの失敗を挽回するのが、相手の意表を突く佐藤輝の盗塁だったのだと思います。

    ペナントレースでのチーム盗塁数は昨年の110から79と大きく減らしました。
    岡田監督は今季開幕前から阪神の大きな攻撃手段である盗塁を管理すると発言していました。
    以前にも書きましたが、せっかくの武器を使わない手はないはずなのに、何故積極的に盗塁を仕掛けることをしないのか?
    これは岡田采配の中で非常に大きな疑問でした。
    今でも盗塁についてはどのように考えておられるのか、監督に直接お聞きしてみたいです。

    これは全く私の勝手な想像ですが、ペナントレースではそもそも阪神の絶対的武器である盗塁をあまり仕掛けなくても勝つことが出来たということが一つ。
    もう一つは盗塁失敗が試合の流れを大きく変えるという考えから、成功する確率が高いか、或いは盗塁によって流れを変えられる、流れを維持できる場合のみ企画したのではないか?ということが二つ目。

    佐藤輝の盗塁はまさにこの二つ目の意図ではなかったでしょうか?
    乾坤一擲、この盗塁から試合が大きく阪神有利に傾きます。
    その後、坂本の送りバント失敗もありましたが、近本中野が救ってくれました。
    この回は山本も完全に余裕を失っていて、安易にストレートを続けてくれたことも阪神にとってはありがたかったと思います。

    これも想像ですが、阪神打線は山本の速球を捉えるための準備を相当していたと思います。
    ペナントレースからCS、そして日本シリーズと攻撃が段階を踏んで高度になっているとも感じました。
    選手個人の好不調は勿論あると思いますが、ただ相手に球数を放らせること(四球奪取)ばかりに拘らず、狙い球を絞り、相手のスキを突く、とても嫌らしく強いチームになってきました。
    相手を甘く見るつもりは全くありませんが、これは4連勝する可能性が非常に高くなってきたと思います。
    もし、今日も宮城を攻略できればその可能性は8割くらいに上がるのではないでしょうか?
    昨日の試合は点差が離れたからとか、相手が打てないとかより、自分の攻撃を貫ける強さが今の阪神にあることが確信出来た、そんな試合だったと思います。

    勿論、村上鍾馗様がホント凄いことは言うまでもありません。

  11. より:

    五表の輝明の盗塁でうわーってなって
    五裏の村上vsマーゴンで痺れまくりました。2017年HOU世界一の立役者の一人(ゴミ箱騒動でケチは付いてますが(笑)マーゴンと阪神タイガースの投手が日本シリーズの大きな場面で対峙している事実!

    大量リードでも日本シリーズなので勝ちパで行くかと思ってましたが加治屋・岩貞を投入。思えば二人はシーズン前半は勝ちパやったな・・・ということを思い出すナイピッチでした。

    あの投げ方で150台後半連発してフォークのスピードが村上と変わらない山本由伸はやはり変態投手でしたが、アレを引っ張り込んで右中間破れる近本はさすが。
    しかし気になったのは相手バッテリーの木浪への配球。速球に強い木浪に速球で勝負に行って打たれているのは二試合目以降への伏線なのか研究不足なのか。
    特に二打席目は変化球で追い込んだ後に速球行って打たれているので気になりました。

  12. 虎轍 より:

    タイガースが絶対に勝つと信じてました!
    我らのタイガースですからね‼
    村上も由伸も最優秀防御率のタイトルを獲った投手ですが、ともに6敗はしている。
    しかも村上は群雄割拠の打者が居並ぶセ・リーグの最優秀防御率投手。いつも通りに初回を無失点で抑える村上を見て、勝てると思いましたね。
    ナイスピッチング村上!GJ
    打線も頑張りました。
    打ち勝つと信じていたよ!
    打撃陣ナイスバッティング!GJ
    後半に得点した4点は今日に回して貰えまへんか?(笑)
    今日も打とう!今日も勝とう!
    安心、安全に勝利。勝利。勝利。勝利。で一気に駈け上がろう!
    ガンバレ!タイガース!
    頑張ろう日本!

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