今年の二軍と来年の一軍

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金本監督が事実上の更迭となり、その後任として矢野監督に白羽の矢が立ったのは、「順番」という側面もあるが、ファーム優勝、ファーム日本一が評価されたというのは絶対にあるはずだ。
ただ普通に考えて、ファーム優勝、ファーム日本一にどれほどの価値があるかといえば、そう大したものではない。もちろん試合をするからには勝つことは大事だが、そこでなんぼ勝っても一銭にもならないのは、二軍で三冠王になっても給料が上がらないのと同じ。どうせなら勝ったほうがいい程度で、どの球団もファームの目的は「ファームチームの勝利」ではない。

そこを過大に評価することに意味はないが、求心力を作って、集団に一つの方向性をもたせる能力の高さ、有り体に言えば「リーダーシップ」に非凡なものを見せたのは確かだ。
とくに「超積極的」というキャッチフレーズを考案したイメージ戦略。どんな課題があり、それを解決するための優先順位を考え、もっとも重要なことをシンプルな言葉で表現する。その結果が163盗塁(盗塁失敗84)となった。

だが、二軍での「超積極的」は、一軍では通用しない。レベルの問題もあるし、成長が目的の二軍と、勝利が目的の一軍では、求められるものも変わってくる。

共通することもある。成功したときのメリットと失敗したときのデメリットを天秤にかけ、勝負していいかどうかを判断する「リスクテイクの習慣化」は、一軍でも二軍でも変わらず重要だ。二軍では失敗のデメリットがあまりにもないのでゴーゴーで行けるが、一軍では失敗のデメリットが二軍とは比較にならないほど大きくなる。それでも、成功したときのメリットは二軍のときと変わらずに存在する。そこに考えが至るか、それともデメリットを前にして恐れてしまうかで、一軍選手として成長できるかどうかが変わってくる。

矢野監督が再三言っている「自分自身がどうなりたいかに向き合う」というのは、そこに向かうためには何にチャレンジしなければならないか、どんなリスクがあるか、どう乗り越えるか……と考えることでもある。

ファームのチーム成績や個人成績を眺めると、盗塁だけは突出しているが、特別に打撃がよくなったという選手がいるわけではないし、チームの総得点数や打率やOPSがとりたてて高いわけでもない。初球から振る「超積極的」を掲げる割には四球が多く、三振も多い。
チーム防御率はものすごくいいから、しっかりディフェンスして、攻撃では塁上から重圧をかけながらゲームを優位に進めるスタイルで勝ってきたのがうかがえる。
程度の違いはあれ、そのスタイルをそのまま一軍にも持ち込むのが矢野戦略の基本になりそうだ。現実的に考えて、来季タイガースの打撃がびっくりするほど急変するとは考えにくいからね。

コメント

  1. 虎轍 より:

    北條は二軍で、濱中コーチ、矢野監督の指導と話し合って、打撃が成長したようですね。
    残念ながら怪我でシーズン途中から離脱してしまいましたが、そういった選手が出てくるとええですね。
    二軍で失敗をして熊谷もええ感じになったりしてましたからね。
    逆に植田海は一軍に居て失敗を恐れるあまりに、余計な失敗が増えてたような感じでしたね。
    無用な圧力を感じてたのかもしれませんがね。
    今日はファン感謝デーですね。
    今成は顔を出すんか?完全に森越が引き継いでるのか?(笑)
    今年最後の聖地甲子園に行ってきます。

  2. 西田辺 より:

    どういう選手になりたいかをまず自分の中でイメージをシッカリ
    持って練習なり試合に臨むべきと言うのは、全く以て正しい。
    逆に選手がチームに求められる選手になろうとしてはダメ。
    そりゃどんなチームだって、若手に山田哲や柳田になって欲しい(笑)
    そうじゃなくて、チームが求めるタイプの選手じゃなく
    チームから求められる選手になって欲しい。
    どんなタイプであれ、結果を出せば自然とチームから求められる。
    例えば、赤星。
    新庄の穴埋め的な扱いだったけど、結局唯一無二の赤星憲広と言う
    存在になりました。
    誰それに成るんではなく、自分の強みを活かした唯一のプレーヤーに
    なって欲しい。
    勝負はこれからよ、そらそうよ。

  3. ジュビロタイガース より:

    そうなんですよね。二軍は結果より過程が大事。上で同じ様に積極野球が出来るわけがない。
    引出しを増やすため、矢野監督にはもう1年、二軍で違った野球をしてほしかった。
    今日はファン感か。残念ながら外れたなあ。

  4. なかっち より:

    今年2軍で163盗塁をしたタイガース。しかし、成功率は7割にも満たない。けして高い数字とは言えませんね。

    1軍で開幕からスタートを切らし、失敗が続いたら首脳陣はどう考えるのか?

    そこでチャレンジ出来なくなったら今年と同じ。チャレンジさせても成功率が上がらなければやり玉にあげられます。

    リスクアセスメントではないが、上手く行かなかった時の想定も首脳陣はしておかないといけないと思います。

  5. 虎蜂 より:

    ファームと同じようにはいかないというのは一軍コーチも経験した監督自身がよくわかっているでしょう。盗塁も成功率によっては得点効率を下げてしまう。ただ、カープのようにバッテリーにプレッシャーをかける意味では失敗しても走る意味はあります。そのバランスをどう取っていくのか、注目ですね。

    しかし、話は違いますが、本拠地が鳴尾浜でも投高打低の傾向は同じなんですね。そもそともがそういうチームではありますが。他球団と何が違うのでしょう?

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